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【みんなでプレビュー静岡ダービー】2019年J1第30節 vs磐田(H)【Preview】

※見出し画像はエスパルス公式HPから拝借しました

2019年のJ1リーグも、早いもので残り5試合。ここまで両チームとも思うような成績を残せていない中、このタイミングで静岡ダービーとは…
サッカーの神様も、粋な計らいをしてくれるものです。
日頃レビューの真似事をしているおかげで、「みんなでプレビュー」という良い企画のご縁をいただきました。せっかくなので、静岡ダービーが少しでも盛り上がるよう、自身の願望も含めて試合を展望してみようと思います。

1.対戦情報

(直近5試合の成績)※直接対戦を除く

直近5試合

直近5試合を振り返ると、エスパルスは今シーズンを象徴するような波のあるスコアが続いています。殴り合いを制した名古屋戦、エウシーニョが実力をいかんなく発揮した湘南戦は、こちらの特徴(プランA)が上手くハマった試合といえるでしょう。一方で、先制しながら逆転負けした浦和戦・広島戦は、苦しい時間帯に戦い方を修正する術(プランB・C)がない、今のエスパルスが抱える脆さを見せた試合でした。
こうした反省を踏まえてか、天皇杯の鳥栖戦では、後半にシステムを5-3-2に変更して逃げ切るなど相手に合わせた対応で結果を出し、前を向いた状態で静岡ダービーを迎えられるのは好材料です。

一方の磐田は、フベロ監督への交代後、なかなか結果が出ませんでしたが、第27節・大分戦で待望の就任後初勝利。この試合のアディショナルタイムの劇的ゴールや、前節のアダイウトンのゴラッソなど、最後まで諦めないメンタリティで粘り強く勝ち点を拾っています。

(今季の直接対戦の戦績)※スコアはエスパルス側から見たもの

今季対戦

(↑磐田サポさん、すみません…)
エスパルスにとっては、静岡ダービー史上初のシーズン5連勝が懸かっています。戦績だけ見ればエスパルスが圧倒しているように見えますが、スコアはいずれも僅差ですし、両チームとも監督交代を挟んでおり、過去のデータは参考になりません
ここからは、実際にピッチでなにが起きているか、両チームがぶつかることでどんなことが起きそうかを見ていきましょう。

2.予想スタメン

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怪我人の情報はデリケートなので、あくまで前節をベースに予想しました。

エスパルスは、CHに怪我人が続出しており、やむなく引き続き河井がここを担当することになりそう。懸案のトップ下は、天皇杯・鳥栖戦で一定のパフォーマンスを見せたドゥトラが1番手でしょうか。また、右SBは、クロス対応などの点から、こちらも鳥栖戦に続き立田が入ると考えます。エウシーニョ・ヘナトは間に合わない想定です。

磐田は前節、大南を右SBに起用。3バック気味にする意図かと思いきや、高い位置を取っていたので、磐田の事情をよく知らない自分には、正直スタメンにした意図がわかりませんでした。とはいえ、ルキアン・アダイウトンのゴールは、彼が絡んで生まれたものなので…わからないものです。今回のダービーでは、SBには本職(宮崎・小川)が入り、CBは対人にやや弱さが見える藤田の代わりに、大南が入るとみます。

3.試合展開

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基本的には、ボールを持ってサイドから揺さぶりをかけようとする磐田に対し、エスパルスがカウンターを狙う展開が想定されます。

磐田のビルドアップは、CHを1枚ディフェンスラインに下ろすとともに、両SBが高い位置を取るのが特徴。加えて、ボールサイドのSHも大外に開き、サイドの高い位置で基点を作ろうとします。
基点ができると、FWが相手SBの裏に流れたり、SBがSHを追い越したりと、サイドから分厚い攻撃を仕掛けてきます。また、SHの位置からルキアンを目がけてシンプルにクロスを入れるシーンも目立ちます。逆サイドのSHも中に絞って(ときにはボールサイドにまで寄って)ボールに絡もうとします。さらに、CHが加勢することも。
うまくボールが前に進まなかった場合は、無理せず後方に戻し、逆サイドからのやり直しを図ります。この結果、相手よりもボールを持つ時間は長くなりますが、ボールが相手の守備ブロックの外側で弧を描くように動くことも多く、状況を打開しようと難しい縦パスを入れて引っかけられるシーンもみられます。

(エスパルスはどう守るべきか)

エスパルスのCBはクロス対応にやや難があり、パワー不足も目立つので、最も警戒が必要な磐田の攻め筋は、シンプルにルキアンを使ってくること
ルキアンを使わせないようにするには、ボールの出所に蓋をするとともに、ボールが収まってもすぐにアタックに行ける距離感を保つ必要があります。
言い換えれば、FWからディフェンスラインまでの距離をコンパクトに保つこと。そこで提案したいのは、前線からプレスに行くのではなく、あえて磐田の選手を自陣に引き込んでしまうことです。

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相手が3バックの形でビルドアップを試みる場合、エスパルスは通常、相手CBにSHをぶつけてプレッシャーをかけていました(上図)。
ただ、磐田に対してこれをやってしまうと、相手SHがSB(松原)をピン止めしているため、相手SBに自由を与えてしまいます。この時点でサイドは数的不利なので、守備が後手を踏むことになります。
また、相手SBにボールが出なくても、GKまでボールを戻して逆サイドからやり直せるため、磐田がやりやすい展開となります。

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ここで、相手CB(大井)にボールを持たせるとどうなるでしょうか。
磐田はこの状態で無理にロングボールをルキアンに入れても、エスパルスの中盤とディフェンスラインとの距離が近いため、セカンドボールを回収されて終了です。パッと見て他のパスコースも見つからないので、恐らく相手CBはドリブルで持ち上がりながら次の展開を探ることになります。持ち上がってきたところを待ち構え、周囲へのパスコースを切りながらプレスをかければ、相手CBはボールを後ろに戻すこともできないので、無理やり前線にパスを入れようとするでしょう。
そのパスをカットできれば、相手CBの裏には広大なスペースが…!こうなれば、エスパルスの得意な攻撃パターンに入ります。

現実はこんなにうまくいかないと思いますが、磐田にボールを「持たせる」「運ばせる」局面を意図的に作ることで、エスパルスが得意とする展開に持ち込むことが可能とみます。エスパルスにとっては、無理に前からプレスに行き、剥がされていくのは最も避けなければなりません。
磐田は両サイドのSBが高い位置を取る一方で、後方のスペースのリスクマネジメントについては明確な整理がないように見えるので、エスパルスはそうした弱みを突いていきたいところです。

(エスパルスのボール保持時)

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次に、エスパルスがボールを持った場面を考えてみます。
磐田は、相手がディフェンスラインでボールを持つと、ファーストディフェンダーとなるルキアンのプレスをスイッチに、近くの選手をマンツーマンで捕えるような、かなり攻撃的な守備を仕掛けてきます。攻撃側のCHが下りていって数的優位を作ろうとしても、磐田のCH(上原)が離さないようについていくほどです。裏を返せば、そのプレスさえ剥がせれば、後方には大きなスペースが広がっているということ。
大久保・二見あたりは特に、相手にプレスをかけられるとロングボールで逃げるところがありますが(前線にドウグラスがいるのも大きいが…)、今節ではSH(西澤・金子)をビルドアップに関与させてでも、相手のプレッシャーを1つ1つ丁寧に剥がしていくことが勝利への近道になるでしょう。
相手を恐れず、ボールを握るべきときに握る。そうした意識付けをする練習もしているようなので、これまでとは違う姿を見せてほしいところです。
満員のホームの大観衆が味方についているのだから、恐れるものなどないはずですが…

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相手のファーストディフェンスを剥がして、相手のブロックを崩すフェーズに移行した場合を図示したのが上図です。前述の通り、磐田の選手は相手の動きに食いついてくる傾向にあるので、各々が自分の持ち場を離れてしまうこともよくあります。
それを利用して、金子と河井がポジションチェンジをすることでCHを食いつかせ、河井がバイタルエリアに侵入する攻撃は有効とみます。このパターンは湘南戦でもやっていましたが、かなり効果的に見えました。いずれにしても、SHのポジショニングと動き方が、攻撃のカギを握りそうです。

4.まとめ

初めてプレビューなるものを書いてみましたが、メンバーがわからない中で試合展開を想像するのは相当に難儀で、もしかしたら現実的にあり得ない話になってしまったかもしれません。それでも恐らく、磐田がボールを持ち、エスパルスが待ち構える展開にはなる可能性は高いはずです。

この試合で大切なのは「焦れないこと」だと思います。それは選手だけではなく、サポーターにも言えることです。というのは、相手にボールを「持たせている」状態こそが相手の弱点をさらけ出す好機であり、相手が焦れて攻撃を仕掛けてきた瞬間こそ、最大のチャンスだからです。
ボールを握った華麗なサッカーは見られないかもしれませんが、じっと我慢して決定機を待つ。泥臭くても、勝てば良い。そんな王国・王者のメンタリティで、最高の瞬間をみんなで迎えられればと思います。

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