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空き家所有者の実態と悩み

今回は、日本国内の空き家の数と実際の空き家所有者の状況、その方々が抱える悩みに関する調査データを読み解こうと思います!

空き家の数

まずは「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」のデータを見ていきましょう!

増え続ける空き家今の数は?

今年4月に総務省が発表した「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」によると、2023年10月1日時点の国内の総住宅数は6,502万戸と過去最多。空き家数も900万戸と過去最多となり、1993年から30年間で約2倍に増加しています。空き家率は13.8%となり、日本国内の空き家の数は着々と増えています。

悪いことばかりではない!地域によっては空き家が減少?

日本全体では、空き家は増えていますが、都道府県別にみるとなんと5府県で減少傾向がみられました。
その筆頭が神奈川県で、今回調査の2023年の空き家数は46万6000戸で、18年の前回調査(48万5000戸)と比べて約4%減少。ほとんどの都道府県で空き家が増える一方、減少率は全国トップでした。その後を埼玉、山梨、大阪、沖縄が続きます。
また神奈川、埼玉、沖縄は空き家数が減ったうえに、空き家率も全国で最も低いトップスリー(1位沖縄、2位埼玉、3位神奈川、4位東京)と優秀です。
何故減少傾向にあるのかは諸説あるようですが、「新築供給がそこまで高くないが住宅需要が高い」からではないかと言われているようです。

トップがあればワーストも

空き家率が最も高い都道府県は、同率で和歌山、徳島の両県で21・2%でした。5軒に1軒が空き家という割合はかなり深刻に感じます。また住宅数自体も都心よりも少ないため、人口減少などの社会的背景もうかがえます。

参考:総務省 報道資料(令和6年4月30日)

空き家所有者の実態と悩み

続いてジェクトワンが運営するアキサポ空き家総研が7月に発表した「空き家所有者の実態と悩みに関する意識調査」のデータから空き家所有者の現状と課題について読み解いてみましょう!

空き家所有者の現状

空き家を現在所有している方あるいは相続予定の方、計1,040名を対象に空き家の現在の所有状況を重複回答有で質問したところ、「常用していない空き家を所有している」が43.0%、「相続予定の空き家がある」が59.5%となり、現状所有していないが相続予定という方が多い結果となりました。
年代別で見ると、30代の約8割、40代では3人に2人が「相続予定の空き家がある」と回答し相続予定の方が多い傾向です。一方、50代~60代は所有している人も相続予定の人も増え、差が縮まる傾向でした。

空き家に関する悩み

所有者が抱えるお悩み上位5位は以下でした。
1位:不用品の整理・撤去ができていない
2位:売却や活用等、何をするのがよいかわからない
3位:活用する具体的なアイデアがない
4位:維持・管理のための金銭的負担
5位:解体や修繕費などの初期投資が必要
ざっくり分類すると、「片付け」「何をすればいいかわからない」「金銭的コスト」が挙げられるようです。

空き家の売却・活用の制約

所有者に「売却・活用を検討する際に制約になること」を尋ねたところ、上位5位は以下の通りでした。
1位:残置物が多くて片づけられない
2位:何から始めればよいかわからない
3位:リフォームや取り壊しの費用を捻出できない
4位:思い入れがあり、活用が心苦しい
5位:たまに利用する機会がある
上位3つは空き家に関する悩みと重複する部分がありますが、そこに「思い」が加わったのがこのランキングのポイントかと思います。
さらに、1年以内に売買・賃貸を検討していない所有者に「売買や賃貸に出してもいい条件」を尋ねたところ、「どんな条件でも1年以内は売買(賃貸)はしない」と回答していました。これは、荷物整理や登記など物理的な整理の他に、心の整理の問題も関わっているのではと思います。

参考:【アキサポ空き家総研】 空き家所有者の実態と悩みに関する意識調査

まとめ

常々このnoteでも発信していますが、空き家問題で一番避けたいことは、空き家を放置してしまうことです。空き家の早期対策ができれば、今のような社会問題にはならないかもしれませんね。
空き家を空き家のままにしてしまう背景には、片付けなどの物理的要因の他に、思い出などの心理的要因も関わってくるようですので、なかなか一筋縄では解決できない問題です。
空き家対策は一生のうちに一度あるかないかだと思います。なので、もしかしたらベストな解決策をまだ知らないだけかもしれません。まずはどのような選択肢があるかだけでも知ってみることで、空き家対策の第一歩を踏み出してみるのはいかがでしょうか?

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