【開催レポート】第2回市民ゼロポイントブックトーク※当日レジュメあり
第2回市民ゼロポイントブックトーク
開催日:2021年3月20日(土) 於:松本市中央公民館
紹介した本:上野千鶴子著『ケアの社会学―当事者主権の福祉社会へ』(太田出版、2011年)
紹介者:田多井(企画運営委員)
参加者:8名(企画運営委員含む)
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開催レポート
超少子高齢化のなかでは、介護という経験を過去・現在・未来にすることが多いと考えられますが、今回は本を読んで見えてくる介護のあり方についての議論や福祉社会の持続性についての議論が交わされました。会場の声をまとめて、ご報告とさせていただきます。
★会場からの声
・紹介された本とは異なり、NPO の方が介護に直接的にかかわることはなかったが、NPOなどの人々がふだん介護で精神的な疲労を感じている自分の話を聞いてくれる機会が多くあり、助かった。
・本では介護を NPO が担う社会が描かれているが、実際は精神病院に認知症というかたちで、要介護者を入れてしまう準備(いわゆる社会的入院)がなされており、今後ちゃんとした介護を受けられる社会になるか注意していかなければならないのではないか。
・介護系の NPO に勤める人の賃金はとても安いことが分かったが、やはり賃金の上昇を目的とした要請をしてゆくべきなのではないか。
・介護系 NPO のモデルケースが紹介されているが、実態は多くがそうなっておらず、著者が唱える未来像や提言(ケアを高齢者・障害者・幼児を問わず、だれでもケアを必要な時に受けられる世代間連帯を形成すること)は、観念的な印象を受けた。
★会場からの声を受けて見えてくる今後の介護のあり方
関心は深まっているテーマということもあり、会場からはなまなましい声も上がりました。その一方で、福祉・医療にかんしては政府の方針は、本にあったように「自助」を前提に家族を主体とした介護か、それとも会場の声に見られるように介護を認知症として精神科といった本来なら介護とはことなる分野の病院へ入れる傾向が見られます。いずれは全世代が介護する・される経験が待っているなか、今後福祉をどう財源を確保したかたちで再編成してゆくのかは、喫緊の課題である一方で、グローバル化の中で福祉予算が削られる状態についてどう対処するかは、模索段階なのではないかと思われます。(田多井)
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