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上垣ゆうこはなぜ吹田市長をめざすのか

吹田市長選挙への新たな挑戦者

 2023年は4年に一度の統一地方選挙が行われる年です。吹田は、4月9日に大阪府知事選挙と大阪府議会議員選挙が行われ、その2週間後の4月23日に吹田市長選挙と吹田市議会議員選挙が行われることになっています。

 吹田市は、保育や学童保育、公園、医療、障がい者福祉などで先駆的な施策を行い、「子育てするなら吹田」「福祉の吹田」といわれてきました。
 ところが、維新市政(2011~2015)と現市政(2015~)で、当事者との十分な対話もないまま、市民会館廃止や公立保育園の民営化、学童保育の民間委託、障がいが重い人を受け入れる作業所への補助金(重度加算制度)の大幅削減などが次々とすすめられてきました。

 一方、住民の運動によって、戸籍や住民票を扱う市民課窓口の民間委託や樹木伐採など民間事業者のための桃山公園の整備計画が見直されるなど、住民の手で市政をつくる動きも力強く起こってきました。

 吹田市長選挙には、3期目をめざす現職と大阪維新の会の市議が名乗りをあげていましたが、「市民を向いた人は出てこないのか」と思われていた時、前市議の上垣ゆうこさんが「市民が主役の吹田をつくる会」から立候補を表明しました。
 立候補表明から10日あまり。上垣さんにサポーターが話を聞きました。

インタビューに応じる上垣ゆうこ

上垣ゆうこ プロフィール
 1953年横浜市生まれ。関西大学社会学部マスコミュニケーション学科卒業。関西芸術座制作部で児童劇の普及にとりくむ。1996年から吹田市で学童保育指導員・補助員(2023年2月まで)。千二、千一、南小、東山田の育成室で勤務。吹田市議会議員2期(2019年まで)。
 子どもから大人、おひとりさまもファミリーもあなたが主役の吹田をめざします。

―投票権がない子どもたちの思いを代弁するために

《聞き手》
 上垣さんが、3月1日に吹田市長選挙への立候補表明をされたことに、「びっくりした」「驚いた」という反応を聞いています。なぜ決意されたのですか。

《上垣ゆうこ》
 一番驚いているのは、私自身かもしれません。立候補を決意したのは、ほんの1ヶ月前です。つい数日前まで学童保育の補助員として現場で働いていました。2月末日で退職をして、3月1日に記者会見したところです。
 なぜ私が決意をしたのか。このまま現市長か維新しか選択肢がなかったとしたら、私は選挙で白票を投じることになるんじゃないか、それはいやだなと思っていました。

 私は長く学童保育で働いてきました。本来、学童保育は児童福祉法で6年生まで受け入れるものですが、吹田市は指導員が足りないからと、4年生までになっていました。ところが、2023年度から4年生が「待機」となり、「居場所」事業に移されることになったのです。「居場所」事業に居室はありません。校庭や空き教室、学校図書室などでパソナグループのスタッフに「見守」られながら過ごすだけです。

 吹田市内の10の学童保育で200人以上の子どもたちが「待機」となり、「居場所事業」に移されます。ある3年生の子が、「私は4年生になったらイベントの実行委員になってもっと盛り上げようと思っていた。なのに、『待機』『居場所』ってなんですか。私の居場所は学童保育だったのに、それを奪っておいて『居場所』なんておかしい」と言ったんです。1年生の子が号泣しました。今、仲良く遊んでいる上級生が誰もいなくなる。それをなぐさめたのが3年生の子で、「しゃーないやん。俺らがいくら言っても決まったことだから諦めないと」と言っていて、こんなことを子どもに言わせる市政は許せないと思いました。

 でも彼らには選挙権がありません。だから選挙権を持っている大人が彼らの思いを代弁しないといけない。ならば、私ががんばろうじゃないかと思ったのが1ヶ月前です。

3月1日にスタート集会を開き、立候補を表明した

―待機児が生じることは明かだったのに手を打たなかった吹田市

《聞き手》
 学童保育の待機児や指導員不足の原因は何なのでしょうか。

《上垣ゆうこ》
 保育園の待機児が問題になっていたころの子どもたちが小学校に入る年齢になれば、学童保育が足りなくなることは明かでした。なのに、何ら有効な手を吹田市は打ってこなかったのです。
 さらに学童保育指導員を含む非常勤職員の給与削減が、大阪維新の会の議員提案で突然行われました。経験の長い人であれば、年間100万円近く給料が減ることとなり、これによって指導員不足が深刻になっています。2022年度で、50人もの有資格指導員が欠員となり、国の開室基準を満たせず臨時休業となる日が発生しています。
 専門性が高い指導員を増やすことは、子どもの成長にとっても重要です。私は、フルタイム指導員を配置するなど、指導員の仕事と専門職に見合った処遇改善で欠員をなくし、待機児を早期に解消させたいと考えています。

―北千里駅前のタワーマンション問題

《聞き手》
 上垣さんは北千里駅前で東日本大震災のチャリティーイベントを行ってきました。今、北千里駅前にタワーマンションが建つ計画が持ち上がっていますが、これについてはどうお考えですか。

「北千里まちづくりシンポジウム」にコーディネーターとして登壇

《上垣ゆうこ》
 北千里で生活相談員をしていて、北千里駅前に36階建てのタワーマンションが二つ建つことがわかりました。マンション開発で人口が急増すれば、保育所の待機児が生じたり、過大校増で校区変更を余儀なくされたりするなど住民生活に影響が出ます。
 現市長は「開発を規制してほしい」と言う市民に、「開発業者には開発の自由がある」と答えています。しかし、この700戸のタワマン計画は吹田市も事業体の一員です。市の責任が問われています。

 学童保育でもタワーマンションでも共通しているのは、本当は市民が主役なのに、市民が不在にされていることです。税金の使い方をどうするのか、現場で何が起こっているのかを市は把握し、市としてやらなければいけないことをやる、これが当たり前なんです。

―公契約条例で吹田で働く人を応援、小学校のような中学校給食を

《聞き手》
 上垣さんは、吹田市議会議員を2期務めていましたが、議員時代にとりくんできたことで市長になってやりたいことを教えてください。

《上垣ゆうこ》
 耳慣れないかもしれませんが、議員時代は「公契約条例」を制定するように求めてきました。吹田市が発注する事業などの「公契約」について、一定額以上の賃金の支払いなどを条件にする条例です。
 自治体が公共サービスの民間委託や低価格の発注を増加させたことで、低賃金で働く人が増え、事業の質さえ低下してきました。私は吹田市の発注先として地元企業を優先し、そこで働く人の賃金を定めた「公契約条例」をつくりたい。

 「公契約条例」を制定した多摩市が、公契約を交わした企業にアンケートを行ったところ、「適正な賃金と労働条件により、労働者の安定した生活が図られている」「雇用期間と賃金が安定したことにより、離職者が無くなった」などの声が寄せられており、「地域経済・地域社会の活性化につながった」「今後、地域経済・地域社会の活性化につながる」と答えた企業は、66.6%になっています(2022年)。

 維新市政も現市政も民間委託はすすめたものの、そこで働く人の労働条件にはまったく関心を示してきませんでした。公契約条例にも消極的です。私は、吹田市でこの条例をつくって、地元企業とそこで働く人を大切にし、吹田の経済を活性化させていきたいと考えています。

給食は子どもの育ちに欠かせない

 また小学校のようにあたたかくみんなで食べる中学校給食の実現も提案してきました。今の吹田は弁当持参か、冷たいデリバリーの給食かの選択制です。子どもの貧困対策としても食育の視点からも給食は重要だと考えています。保護者の要望も強く、「中学校給食在り方検討会議」も全員喫食を提言しています。ぜひ具体的にすすめたいですね。

―政策に共感してくれるなら政党も個人もウエルカム

《聞き手》
 新しい政治団体「市民が主役の吹田をつくる会」を立ち上げ、無所属での立候補表明となりました。どのようにたたかっていくのでしょうか。

《上垣ゆうこ》
 スタート集会には吹田市議会から複数の会派にご参加いただきました。私は政策に共感していただけるなら、政党や団体の推薦はウエルカムです。

 「市民が主役の吹田をつくる会」代表の川西玲子さんは、吹田市の学童保育で働き、NPO法人「働き方ASU-NET」副代表理事として、女性の非正規雇用の問題にとりくんできた私の20年来の友人です。「上垣ゆうこなら市民と対話しながら、子どもや女性の声を掘り起こせる」と太鼓判を押してもらいました。

 会の共同代表もどんどん増やしていきたい。選挙自体をみんなとつくっていきたいと考えています。早速、北千里で勝手連ができたり、保護者や保育士、学童保育関係者でつくる「こどもチーム」が立ち上がったりするなど、アクションが起こっています。「選挙に関わるのは、投票するときぐらいだった」という保護者が、チラシづくりに参加してくれて、友人・知人に上垣ゆうこを紹介してくれています。

 もう一つは、私もその一人ですが、"おひとりさま"へのメッセージも発信したいですね。子育て支援はもちろん重要ですが、一人で取り残されていると感じている方もいると思います。ファミリーもおひとりさまも、豊かな生活ができる町をめざします。

 市政は、あなたが主役なんです。私はその先頭に立つのか、後から押すのかはともかく、市長として願いを実現していきたい。特に声を上げられない子どもたち、声を上げることを諦めている方々に希望を持っていただけるように町の隅々で対話をしていきたいと考えています。

「こどもチーム」のメンバーとアイディアを出し合う

《聞き手》
 大阪でこれまでにない市民参加型の市政が誕生すれば、大きな希望になります。今日はありがとうございました。

《市民が主役の吹田をつくる会が発表した3つのまちづくり》

基本姿勢
1 教育、医療、子育て、福祉が充実したまちづくり
2 地域の資源を生かした循環型地域経済の活性化と豊かな文化のまちづくり
3 市民生活を守り、 市政・まちづくりへの市民参加を貫く行政運営

5つの基本政策
1 誰もが生きづらさを かかえずに、安心して暮らせるための施策を充実させます

・保健・医療、福祉分野の独自政策の拡充で、かつて高く評価された「福祉の吹田」を復活します。

・介護・福祉・保育施策の充実で雇用創出と地域経済を活性化します。

・ ジェンダー平 等の取り組み と LGBTQ 施策をすすめます。

2 安心して、子どもを生み、育てられるまちへ
・すべての子どもの豊かな放課後を保障します。

・4年生まで安心して通える学童保育にします。

・豊かな学びを保障するために、小中学校の少人数学級を実現します。

・市の責任で、中学校でも小学校と同じように、あたたかい給食を全員に提供します。

3 良好な住環境を守るまちづくりを市の責任ですすめます
・過大校での教室不足や交通環境の悪化を招く開発を抑制します。

・市民の参加と合意を基本に地域ごとのまちづくりをすすめます。

・高齢者や障がい者の移動を保障するユニバーサルデザインのまちをめざします。

・カジノ誘致にきっぱり反対します。

4 気候危機打開の取り組みを吹田からすすめます
・「ゼロカーボン推進課」を設置し、全庁体制で省エネ・再エネ化をすすめます。

・市民参加と自治体主導の環境政策づくりに取り組みます。

・市民・事業者への支援を強め、環境保全のまちづくりと地域経済の循環をはかります。

5 市民との対話を大切に 住民参加型の市政運営をすすめます
・総合計画を見直し、地域ごとのまちづくり計画を住民参加ですすめます。

・本庁中心の行政運営から、地域の生活を支える行政組織に再編します。

・福祉や子育て、教育分野ですすめられ てきた委託や民営化の検証を行います。

以上の政策について、実現をめざし 、 双方が努力するものとする 。

2023年3月1日
吹田市長選挙予定候補者 上垣ゆうこ
市民が主役の吹田をつくる会 代表 川西玲子


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