【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】27
月日は流れ
30歳4月
スポーツトレーナーの資格を取得
それまでなかなかやりたいことが見つからなかったが、ようやく自分がしたい仕事を見つけた
それとほぼ同時期に新しい野球チームに所属することとなる
東京の1部リーグで活躍するチームへ入団したが、そのチームは僕より上手い選手がたくさんいる
「負けてたまるかっ!」
どんなに差があっても気持ちだけは負けない
練習も全力でアピールする
そんなある練習のとき
監督から投手を中心にプレーすることと
投球フォームの変更を打診された
変更した方が僕に合うから、とのこと
だが
投げ方を変えることに対して多少の抵抗と
なぜその方が合うのか、という疑問があったので
「合わないと思ったらすぐ元に戻す」
という条件で投球フォーム変更に挑戦することとなった
上から投げるオーバースローから
横から投げるサイドスローへの変更
やるからには本気で取り組むこととした
一時間後…
ギューーーーーン
今までにない勢いのボールが投げられる
ギューーーーーン
自分のこととは思えない出来事を目の前にして
唖然としながらもパフォーマンスが上がった喜びが僕の心を埋め尽くす
その数ヶ月後
僕はある試合で130キロのストレートを投げた
軟式球は硬式球よりスピードは出にくい上に、サイドスローは横から投げるため重力を使うことが出来にくいためスピードは出にくいとされている
それでも僕は130キロを投げることができた
《人はいつでも成長できる》
昔の自分には戻ることはできない
でも新しい自分を作ることはできる
一つの達成感が
今まで乾いていた心を潤す
最高の瞬間
でもなぜ横から投げるサイドスローがハマったのか?
それは腹部の傷のせいだと気づくのはもう少し後の話…
つづく