見出し画像

鹿島学園vs明秀日立 マッチレビュー

今回は第98回全国高校サッカー選手権大会茨城県大会決勝の試合を分析していきたいと思います。

1.スタメン

画像1

注目ポイント
・明秀日立はDMF横のスペースを狙って攻撃できるか
・鹿島学園は相手の3バックに対してFW+OMFで優位を作り出せるか

2.試合情報

得点
1-0(後半38分・16根本)

交代
後半11分(明秀):IN2長谷川↔OUT28原田
後半23分(明秀):IN18根本↔OUT14楠原
後半23分(明秀):IN26箕輪↔OUT23中沢
後半30分(鹿島):IN4豊島↔OUT7橋口
後半31分(鹿島):IN30宮島↔OUT18押久保
後半35分(明秀):IN27海老原↔OUT7長谷川
後半39分(鹿島):IN19奥↔OUT6仲佐
後半42分(明秀):IN16石井↔OUT18根本

3.ワンマンチームの難しさ

鹿島学園のFW磯部は茨城県リーグで歴代3位となる得点をとっているストライカーである。
タイプとしては大迫に似た選手であり、小柄ながらも前線へのロングボールをしっかり収められる。
しかし、鹿島学園の攻撃が磯部に依存しすぎていて明秀日立の守備が比較的守りやすいように見えた。

3バックが功を奏した明秀日立ディフェンス

画像2

鹿島学園の攻撃のオプションは深い位置でボール奪取をしたら磯部にロングボールを狙うカウンター依存だった。
明秀日立はカウンターをくらってもFW2枚に対してDFが3枚いて、かつ磯部と2トップを組んでいた押久保が積極果敢に裏を狙う選手ではないので、3バックの中央の鎌上が両CBのカバーへ行ける適切なポジションをとることが常にできているので磯部が頑張ってロングボールを収めてもカウンターとしての威力が大幅に減少していた。

SBの役割とは?

画像3

鹿島学園は時折自陣からビルドアップをしてSMFまでボールを運べるシーンがあった。しかし、必ずと言っていいほどそこでボールロストしてしまうのである。
両SBが攻撃参加をしてこないうえに、明秀日立両WGがしっかりプレスバックをするのでサイドで1対2の数的不利になっていしまうのだ。
たしかに鹿島学園はこの試合を見る限りカウンター思考のチームであり、SBが攻撃参加しないことで非カウンター対策にはなっていたのだろう。
しかしSBが攻撃参加しないことにより、
ポゼッション時にサイドでボールロストを繰り返す
→カウンターに依存するしかなくなる
→明秀日立DF陣が鹿島学園FW陣の攻撃を絞りやすくなる
→カウンターでの脅威が薄くなっていく
という悪循環が生まれていたように思えた。

4.即断即決

自分が後半で一番気になったのは鹿島学園監督の優柔不断さだった。
アナウンサーに「鹿島学園の監督が作戦ボードを開いては閉じてを繰り返して悩んでいます」と目をつけられて実況されるほどの狼狽ぶりだったのである。
もちろん鹿島学園のベンチの選手層については全く把握していないので部外者としての意見だが、選手交代の時間帯に注目してもらえば分かるように鹿島学園が1枚目の選手交代を行ったのが後半30分と終盤だったのに対して明秀日立は後半30分までに3枚も交代カードを切っているのである。
たらればの話にはなってしまうが、おそらく少し後半押し込まれている時に予め対応策を考えていたり即断即決が出来ていれば事態を好転できたのではないのかと思ってしまう。

5.総括

鹿島学園のようにはっきりとロングカウンターを武器に戦うチームを初めて分析したので、ロングカウンターに馴染みのない自分としては参考になる試合だった。
その一方で、鹿島学園のSBの攻撃参加のあり方や劣勢における監督の采配には個人的に違和感をかなり覚えたので、この違和感を大切にして自分のサッカー観をもう一度考え直していきたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?