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最近のこととか

思い返すと今年はまだ一度も日記を書いていないことに気がついた。もう夏手前になる。すっかり空気がぬるい。今年の盛りは忙しくなりそうなので今のうちにざっくり半年分を振り返ってみたい。

大体ここ半年はこの感じで、気にしないつもりで傍目に見ていたインターネットの騒動から知らないうちにスリップダメージを受けていたようで、気づいたら新作イラストや仕事の告知の手が遠のいてしまっていた。明確にこう、という理由があるというよりも、漠然と手が動かず、やらなきゃ…という焦りだけが募っていくような感覚でずっと居心地が悪い。そんな質感だった。その分Discordで親しい人とながく話たり、直接会って話す機会をなるべく増やすようにしていた。仕事の継続という意味ではあまり良くないけれど、そういうときも必要なのだと思う。手の届く範囲のことだけに目をかける時間は癒しに繋がるはず、そう信じてみる。

以前東さんと一緒にやっていたアパートメントラジオを今年から再開することにした。おもにイラストレーターの方をゲストにお呼びしてざっくばらんに話し合う企画で、以前はYouTubeをプラットフォームにしていたのをこのときからTwitter(自称X)のスペースで行うことにした。今の所月一ペースを
維持できているのでこのまま走り抜けたい。初回のゲストはぽちさんをお迎えした。信用と信頼の友達です。
その後ゆのさん、hikoさん、ごろくさん、チェリ子さんとお呼びして、それぞれ全く違った角度の話が展開されたのが興味深かった。
今後はイラストレーター以外の方もお呼びしていきたい。そしてゆくゆくは文化放送さんで番組を…なんてね。

先日アニメが一旦の区切りとなった「ダンジョン飯」の作者こと九井諒子先生のラクガキ集「デイドリーム・アワー」がとてつもなかった。

もうずっとこの気持ち、何度頁を捲っても同じ新鮮さでさざなみのように筆を走らせる楽しさが伝わってくる。もともと短編集が好きすぎて、連載作品を描かれると知った時はどうなるのだろうと思っていたけれど、本当に見事、そうとしか言えないくらいの完成度で走り抜けた作品だった。
個人的には鋼の錬金術師に並ぶくらいの満足度だったと思う。この作品に立ち会える今生きていることに感謝しつつ、今日もごはんをつくります。
ダンジョン飯、ああダンジョン飯!

年明けすぐは暇だったんだと思う。
立て続けに映画を見る時間がとれたのは嬉しかった。年々映画を観る心理的なコストが上がっているように感じる。これはあまりよくない。
2時間テレビの前に座っているのが億劫になり、すると頑張って観たものがいまいちだった時の落ち込み具合が深刻になっていく。絵を描くのもそういうところがある。時間をかけて納得のいく出来にならないと心理的なコストは鰻登りに高まっていく。こういう時はなんらかの工夫でそのコストを下げるしかない。映画でいえば友達と観るなどしてあんまりだったときに笑い飛ばすなど、時間を有意義なものに変えてしまいたい。
ただ、最近は脚本の質に言及する友達のおかげで、ではなぜ面白くないのか?という点を考えるようになってきたので、トータルの負荷はだいぶ下がったように感じる。友達に感謝だ。このときに観た4本はどれも大傑作だった。
いやぁ、映画って本当にいいもんですね。
あの声が聞こえるような気がする。

教本についても触れておこうと思う。春先に刊行した「描きたい絵が描けるようになる本」が大変ありがたいことに3刷となった。手に取ってくださった全ての人に感謝の気持ちでいっぱいです。
自分でも若干大きく出たな、というタイトルなのだけれど、編集さん、編集部の方々の意見をいただきつつ決めた名前だった。この本のコンセプトは、景色や作品を観察する力を養うことで何が起きているのかを理解し、その結果各々が描きたいと目指すイラストが描けるような土台を作る、というものだった。遠回りして、大きく出たように感じたタイトルはコンセプトを直感的に表した言葉になったように思う。
また執筆するにあたってまだこの世に無い本はどんな本か、近年の教本は洋書の翻訳されたものも充実していて十分に出揃っているように感じ、今更自分が語れる内容など無いように思えた。けれど、構図に関するレベル100まで教えてくれる本、配色のレベル100まで教えてくれる本はあれど、イラストに必要な一通りの知識をレベル20まで教えてくれるスターターキットのような本はまだ少ないように感じ、そこを主軸にすることにした。
他人のことはわからないけれど、10代の自分が読んだらきっと大喜びしてくれる本になっただろうと思う。Amazonその他で取扱中です。絵を見るのがすきなひとももっと好きになれるような本を目指しました。どうぞよろしくお願いします。

ここのところの仕事のスタンスは完全にこれで、楽しければ金額とかも一旦置いておいたらいいんじゃない?というていです。
ただこれは一応今日から一切の仕事が途切れても生活していける分の体力があるから出来ることでもあって、バランス感覚が問われるのだろうなと感じる。
そういえば人間だれしも1000枚クロッキーをこなしたら目に見えて絵が変わるのではないか?と思いついてから挑戦していて、今800枚ちょっと描いたところで、やっぱり如実に変化が見られるようになってきた。子供の頃から絵を描くのが好きなタイプではなかったので、そういった人たちが人生でこなしてきた枚数を意図的にこなしたら同じ土俵に立てるのではないかと思った。結果として形をとる速度が以前の倍くらいになってきた上に、作画コストが下がったことで心理的なプレッシャーが下がって気楽に筆を走らせることができるようになってきた。それは仕事で描くイラストに対しても同様で、真面目に、ちゃんとしなければ、という肩肘を張って硬い絵になってしまいがちだった自分にとってかなり大きなブレイクスルーとなった。今仕事がものすごく楽しいです。このクロッキーについてはまた別の機会にまとめたいと思う。

みんなこういうツイートすきだねえ…

先日6/1はNHK文化センターで自著をベースにしたワークショップを開催する運びとなった。人前で話す機会は何度かいただいているものの、いまだに新鮮な気持ちで緊張してしまう。ただ来場された皆様のなごやかな空気にひっぱられ途中からは落ち着いて話せたのではなかろうか。どうだろうか。
内容としては自著で紹介した方法からもう少し踏み込んで、実際のイラスト制作ではどのように紹介した知識を運用しているのか、という話にした。本の中ではあくまで誰にでも役立つ範囲の話にとどめていたので、かなり自分個人の話になったように思う。これでいよいよ自分が世の中に発信出来るハウツーは出し切ったなという手応えと、あとはもう、本当に、一介のイラストレーターであろうという清々しい気持ちだけが残った。窓を開けた初夏のような心地がする。絵を描くぞ。

たなかまさあきさんが紹介してくださっていたのだけれど、フィレンツェのウフィツィ美術館に僕の本が並んでいるのだそう。隣、米山舞さんだし。
わぁ…(宇宙猫)
イタリアはいつか行ってみたいです。パスポート持ってないけど。英語も話せないけど。海外…海外かあ…

2024年のSEIBU PRINCE CLUBのメインビジュアルを担当させていただいたことが記憶に新しい。特にこのビジュアルというのは上杉忠弘さんが長年携わっておられた案件で、上杉さんを敬愛する僕にとっては憧れどころの話ではない。自分に務まるのか、同じだけ満足してもらえるのか、勝負の一枚となった。
が、いざ触り始めてみると先述のクロッキーの経験値もあってかもう、とにかく楽しい。なんせ思いついたものが倍の速さで出せるものだからこれもどうか、こんなのもどうかと若干ハイになっていたように思う。
結果として明るく楽しげなポスターに仕上げていただいた。楽団はあとからいただいたアイデアでこれもとても素敵なイメージになったと思う。サイズに負けない密度にしたいと描き込んだら人生で一番細かいイラストが完成した。思い出深い一枚となりました。

先日コミティアに向けて4年ぶりの新作同人誌をつくった。POOL SIDE GIRLと題し、水着の女性をテーマとした。クロッキー1000枚チャレンジの途中報告ということで一旦今やれることをまとめた形になる。
まだまだ詰められる部分はあるなと多分に思う一方これくらい描けるといよいよ楽しいな!という手応えもあり、自分では満足の一冊となった。
あとデザインが可愛く仕上がったので今回はこれでよしとしよう、といった具合。今後背景を描きつつ、人物にフォーカスした作品も描いていけそうな予感があり扱えるモチーフも格段に増えて可能性が広げられそう。
楽しいね。

初の海外での装画仕事となったのが「ハウルの動く城」シリーズで自分でもびっくりの走り出しとなった。実は作画自体は去年のうちに終わっていて、サンプルを無事受け取ってからの告知となった。少し間が空いたけれど、仕事の絵にも確かな手応えを感じ始めた時期で今もとても気に入っている。
このとき普段より鮮やかなほうがいいと思うという旨のディレクションをいただき、その後制作するイラストにも良い影響があった。どうも僕はシックな色味よりもいくらか鮮やかな色の方が得意なようだ。
洋書のデザインでは帯を考慮する必要がなく、その点も自由を感じられたポイントだった。高校の時いくらか英語を真面目にやっていたおかげでGoogle翻訳などを駆使すればコミュニケーションには問題が無かった。もちろん先方が平易な言葉を使ってくれていたというのはおおいにあるだろうけれど。
せっかく非言語コミュニケーションであるイラストレーションをさわっているのだから今後もっと海外での仕事をふやしていきたい。そうなるといよいよしゃべれたほうがいいよなぁ…なども思うので、人生はいつも時間が足りないみたいだ。

https://youtu.be/PvEW46TAHQU?si=QFUTOEiDXy1ERMng

せっかくだからオタクトークもしちゃお。
にじさんじの3人グループさんばかを主軸に公式二次創作のOPアニメが公開された。公式二次創作とはこれいかに、なんだけれど、ファンがどんどん参加してファンメイドで広がっていく双方向でのコミュニケーションが目的なのかな。暇だったらイラストで参加したい(時間をつくれ)
この3人はVtuberを観るようになった時期にちょうどデビューしていて思い入れがある。コロナ禍で人と会う機会が軒並み無くなって、少しメンタルが落ちていた頃、何かながく楽しめるコンテンツに触れたいと思っていた。そんな矢先で、さんばかひいてはにじさんじに精神的に救われた部分が多分にあった。ずっと仲の良い3人がとてもすきです。お友達のア・メリカさんがグッズのイラストを描いていた時は流石に羨ましかった。けどグッズイラストは自分じゃないよな〜〜とも思う。
花畑チャイカさん、椎名唯華さん、月ノ美兎さんジョー・力一さんなどがすきです。大体箱推し。いつか恩返しができたらいいな。

ブルアカことブルーアーカイブを触ってはいるものの連続してソシャゲを遊ぶことがどうしてもできず、よく遊ぶときと全然触らないときを反復横跳びしている。遊んでいる途中で気づいたのだけどこれ、サントラがとてつもなく良い。絵を描くときによし、散歩の時によし、なんて素晴らしい仕事なんだ…。キャラクターは便利屋のみんながすきです。先生がいなくても元気にやっていけそうだから。

ちょっとずつ観てるアンナチュラル、これすごくないですか?こんなに面白いならもっと早く観たらよかった。中堂さんのキャラクターすごすぎてずっとテンション上がってる気がする。Lemon / 米津玄師の歌詞に今までと違う解釈が付与されていって"夢ならばどれほどよかったでしょう"に頭をブンブンし、"何をしていたの 何を見ていたの 私の知らない横顔で"のラインで亡くなった方を思う遺族と重なってくるのがあまりに巧みでそれだけで泣きそうになってしまった。しばらく野木亜紀子さんの仕事をおっかけるのが趣味になりそうです。

最近は大体そんな感じ。
文章は書かないと下手になっていく気がするのでもう少し機会を増やしたいですね。けれど夏の間はこもってひたすら制作になりそう。また楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

それではまた!


ご支援頂いたお金は新しいグッズの制作や遠方のイベントへの遠征、取材旅行の費用などに充てさせていただきます。あと単純にモチベーションがものすごくあがります。