自分は、人前では気丈に振る舞っているが、一人のときはウジ虫である。舞台を終えた後は大体いつも反省でいっぱいで、もっとこうしておけば良かった、あれを言うのを忘れた、などと振り返りながら部屋で一人ウジウジしてしまう。そこから思考は巡り、己の未熟さや至らなさや人気の無さへと派生して広がる闇を恥じるうち、誰もあたしを分かってくれなぁい、などと処女みたいな痛々しさを帯びて、いっそのこと遠いところへ旅でも行こうかな、なんて行く気も無いのに一応ミャンマーまでの交通費を調べたりして、動かず、虫のように布団で転がっている。ウジ虫である。

たまに、面白かったです、なんて声を掛けてくれる人がいると、クールに、どうも、なんて言う自分だが、心の中では河内音頭を踊りながら顔を真っ赤にして大喜びしている。そもそも、見に来てくれる人たちがいる時点で奇跡であるし、心から嬉しく思うのだが、自分は、その人たちをもっと、強烈に、びびらせたいのである。

まだ、何も知らない人がいる。世界は広く、ミャンマーは遠い。漫才を始めたのが高校一年のときで、今年で15年が経った。一区切りついた今、これから何かが始まるような気がしている。

何もいりません。舞台に来てください。