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「犬が好き人」なのか、それとも「私の犬が好きな人」なのか?

犬が好きな人は主に二つに分類される。「犬が好きな人」と「私の犬が好きな人」だ。

M台の散歩道で出会う人のほとんどは前者だ。「サンちゃんはいい子だねえ」必ずなでてくれる バンダナ柴犬・サテツのお父さん。デカいラブラドールが引っ張るのを抑えて「サンちゃん」と手を伸ばしてなでようとする大麦とビーツのお父さん。しゃがみ込んでサンちゃんと同じ高さで声をかけてくれたり、時にはおやつをくれたりするお母さんやお姉さん。だから、サンちゃんもワンコというより、飼い主にすり寄っていくケースが多い。合理的なヤツめ。

適度な距離を保つM台の顔見知りの犬たち

では、後者の人はというと、ドッグランで会っても、「私の犬と私」の関係性が濃厚で、二人の世界が築かれている。飼い主とのボール遊びに没頭していて、他の犬とは目を合わさない。たぶん、訓練の一環なのだろう。

一度、散歩に立ち寄る大きな緑地で、ボール遊びをしているテリア系の犬と飼い主がいたので、「(近くに行っても)大丈夫ですか」と聞いてみたら、「そんなハアハアして来られたら」と断られたことがある。そりゃ、サンちゃんは犬が大好きで挨拶したいから、「ハアハア」しているが、それが何か?  「うちの犬は黒い犬が苦手」(けっこう言われる)とか、言い方があるだろうよ。あきらかに、「私の犬」の事情ではなく、「お宅の犬」の振る舞いにNGを出している。ムカッ。なんとか見返してやりたいことよ、とサンちゃん(はどうかわからないが)と私は思った。

さて、犬の競技に、アジリティというものがある。犬と飼い主がペアを組んで、ハードルむやトンネル、シーソーなど障害物を制限時間内クリアしてゴールするという1978年にイギリスで生まれたドッグスポーツ。アジリティを楽しむには、まず、前段階としてしつけができていないといけない。一緒に歩く、止まる、待つ、来る、他の犬に気を取られない。サンちゃんにもできることはできるが、主体性を伴っている。つまり、「私が行きたいから」、ではなく、飼い主の「指示」どおりにできるかどうかが問われてくる。

走りたいから走ります

予々思っていたのだが、犬の指示はプログラミングに似ているような気がする。つまり、行動をひとつひとつ分解して指示することが必要らしい。しつけの主なコマンドは以下の8つ。サンちゃんが今のところできるのが太字の5つ。

 ●「まて」stay ※ごはんを「まて」はできるが、散歩中に他の犬を追いかけたり、郵便屋さんに吠えたりするところまでは使えていない。ドッグランで練習していたら、近くにいた犬も反応して固まっていた。

好きなドッグフードの順番はいかに? 待てをするサンちゃん「

 ●「来い」come ※ごほうびがないとなかなか動かない。とくに、散歩の帰り道では、自ら「まて」を課していて、「来い」+「おやつ」のセットを期待する節があり、一向に帰れない現象が起こる。根比べに負けが続いている
 ●「よし」 ok, go
 ●「 ダメ」no ※低い声で言うと「効き目」がある。これはマスターさせたいが、つい「名前」+「ダメ」になりがち。「名前」も「ダメ」な意味になってしまう
 ●「おすわり」sit
 ●「お手」hand  「おかわり」change
 ●「ふせ」down ※「おすわり」からスライドさせて覚えることができた
 ●「ハウス」house ※冬は家犬になっていて、居場所のクッションはあるが、ケージがないので、使えていない。でも、安心感も持たせるためにも必要かも

リビングでくつろぐ。置物と化している
縁側から庭に出入りできるサンボ部屋。ここがハウス?

というわけで、最低限、サンちゃんに覚えてもらうことがまだまだある。というか、サンちゃんが混乱しないように、「指示」を明確に、感情に左右されず、統一性を持って出す必要がある。プログラミングだったら、動かないからね。

指示は明確に! ブレるな!

なぜ、しつけが必要かと言うと、いつも行くドッグランの隣にアジリティのスクールがあるから。訓練の終わったワンコたちが、帰りがけにドッグランに立ち寄る。すると、新しいもの好きのサンちゃんは、待ってましたとばかり匂いを嗅ぎに行く。それも、グイグイと。しかも、自分より若干小ぶりなワンコを狙う。かなり付け回した挙句、女子のくせにマウントしだす。さらに、ワンコプロレスを仕掛ける。そのあたりで、相手のワンコが吠えてくれるとサンちゃんも諦めるのだが、逃げ惑うと追っかけてしまう。案の定、飼い主にも犬にも敬遠される。あまりにしつこいと、リードにつないで、興奮がおさまるのを待つしかない。って、リードをつけて引っ張ると、余計に固執してしまう。目に余ると、退場することになる。まあ、言うことをきかない、しつけができていないと言えばそれまでだ。ここで、「まて」と「だめ」がピタッとできたりすると、かっこいいのに。まだまだ、発展途上の我々である。でも、「しつけ」って上から目線だよな。これ、「ルール」だね。飼い主と犬との間で結ばれる「ルール」。

ワンプロ仲間。体重がほぼ同じだと安心
嗅がせてくれたら、嗅がせてあげる

まずは遠慮がちにドッグランに入り、最初の挨拶は、お尻の匂いを嗅ぎっこ。相手の情報を得るための重要な儀式だ。できれば性別、年齢、体重、名前をきいてみる。パピーだったら、遊びたがるだろうし、同じくらいの体重であれば、ワンプロを仕掛けても、吹っ飛んだりしない。体が小さくても脚が速い、もしくは立ち向かって吠える犬であれば、安心度は高まる。

マウントというより組体操?

大きな犬でも、うまーく、慣れさせてくれて、ちょっとでも追っかけこができたときのサンちゃんの顔は笑ってる。目と目の間が広くなって「遊んでもらたー」って。

遊んでもらいました

けっこう飼い主たちが気を配っていることをサンちゃんは知らない。ボールやディスクをみんなが均等に取りに行けるように投げる位置を調整していることを。呑気なもんだね。

ひと休み中

で、私は、他の犬と出会った時、しゃがんで撫でてあげることができない。なぜなら、サンちゃんがヤキモチを焼く。もしくは、おやつをあげると勘違いして、威嚇するからだ。なんて、心が狭いんだ!!! ゆえに私は「犬が好きな人」に見えないと思われる。

仲が良いのかどうか?

(甲斐犬サンボの散歩道/2023/01/22)