五線紙4

リファレンスという危険物

さて今日は音楽という何ともあやふやで感覚的創造物について話したい。
これから話す事も僕の空想に近いかもしれない。。。

音楽(主に歌モノ、所謂ポップスについて)を構成する要素って何だろう?
歌声、歌詞、メロディ、コード(ハーモニー)、リズム、アレンジ、音色、その他、、、、、

ある1曲について感じるものは千差万別、十人十色だと思う。
という事はヒット曲っていうものはより多数の人の感覚に訴える何か「核」のような物があるのではないか?決して多数に好まれる為に色んな要素をごちゃ混ぜにして間口を拡げた訳ではないと思う。勿論作品を作る過程では色んな思考がそこには存在するのだが。
例えばターゲットの年齢層は?ジャンルは?時代感は?流行りは?テンポ感は?などなど、音楽を職業として行きて行く為には結果が全て。より多数の人に届けたい、伝えたいと思って作品に向き合っているはずである。

でこの文章を書こうと思ったきっかけになった出来事があった。

自分の過去の作品に似た楽曲がテレビから流れて来た。「えっ???」って思った。

Aメロ、Bメロの作りも違うし、コードチェンジのタイミングも違う。「似てる!」と感じたサビのメロディの音階も違う。でもそっくり(感覚)なのだ。
音楽的、理論的に話せば、それなりに似ている要素が多数、それもかなり重要なポイントを押さえる形で存在する。だから似ている!!と作家の僕自身はロジカルに感じ取っている。

そしてそれより最も傷ついたのは、曲が持っている世界観、DNA的なものがそっくりな事だ。
ここが曲作りで最もオリジナリティを表現できる大切な部分であり、「島野聡」の楽曲です!という最も悩み、苦しみ、違いを出せる僕に取っての「核」、「DNA」である。

ここで冒頭の「感覚」の話に戻すと、僕自身がそう感じているだけなんだ!また似ているという「感覚」を持ってしまっただけなのだ!という事もあり得る。他の第三者が聴いたら似てないのかもしれない、ましてや作った人はまた全く別の感覚に基づいて作品を作ったのだ!とも言い切れる。
それくらい感覚的であやふやで目に見えないのに、匂いを感じたり、色を感じたり五感に訴えることが出来るのが音楽の面白いところであるのは間違いない。

で何を言いたいか自分でも纏まらなくなって来ているのがわかる訳だが、タイトルの「リファレンスという危険物」という話をしよう。
楽曲の似ている、似ていない、言葉を悪くすると「パクった」「パクられた」という問題。これが起きやすい今の音楽を作る現場に警鐘を鳴らしたいのだ。
コンペが主戦場の作家にとっては発注書といわれる「コンペシート」を元に作品作りに向き合うと思う。そこには必ずと言っていいほど「リファレンス」となる曲、つまり参考楽曲が複数曲記載されている。YouTubeのリンクまで付いて、おまけにリンク先が著作権的問題で再生出来ないなんて事もザラだ。

まずはこの発注書の管理はちゃんと出来ているのか?メールでやりとり出来る今となっては不特定多数に行き渡っている可能性がある。
次にそのリファレンス楽曲を参考にして作られた楽曲は大丈夫か?「似過ぎ」てないか?作家が自身でリファレンスとした楽曲があったとして、出来上がって来た楽曲は信頼に足るものなのか?
楽曲作りに携わる人はこの辺をもう一度しっかり確認をして前に進んでもらいたい。

昔は良くあった!「何々っぽい曲、まんま作ってよ!」的なやり取り。実際これはやってるでしょ!みたいな楽曲は物凄く沢山ある。でも時代は変わった。どこかの体罰やパワハラで散々言われているワードで使い回された
感じはするけど、時代は変わったのだ。「可視化」という言葉は嫌いだけど、何でも見える時代だ。
そしてAIの時代が来ている。音楽だって逃げられるはずがない。きっと圧倒的データ量で、「リファレンス」から相当似た楽曲をAIは簡単に一瞬で作るようになる。そしてちょっとした係数の違いや、感覚を数値化したりして、
違いをも生み出せるようになる。そういう変化とも共存しなければいけないのだ。

リファレンス楽曲に頼る作り方が悪い訳ではない。入り口としては当然あって然るべきで、僕自身も何もヒントがない所から何かが生み出せるなんて思ってはいない、だけどその管理は今と違っていていいと思う。
発注書はもっと言語で伝えて欲しい。今のように曲のリンクをパッと貼って、「はい、これよろしく!」みたいなやり方ではなくね。
それからコンペというかなりザルな曲選びをするなら、楽曲の取り扱いには相当の注意が必要であると認識して欲しい。
責任の所在はどこにあるのか?何かあったら、作家の責任にして終わり!にしてはないか?


長文になってしまった。纏まってないな。。。

プライドを持って作って欲しい。

でもって音楽ってそんなに簡単じゃないんだ!!!って伝えたいんだよね。

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