日記 2024/06/03

こんばんは、島流しです。今日は劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』を見てきました。ですので、その感想を書こうかと思います。

結論から申し上げますと…

最強です。


 本作はウマ娘シリーズの中で言えばRTTTの後の時代の話で、主人公はジャングルポケットです。この映画はとにもかくにも、このジャングルポケットという主人公が本当に気持ちいい。最初はどこかアウトサイダーな印象を受けましたが、すぐにそのカラっとした明るさと、情熱的な言動に心を奪われます。序盤から中盤にかけてはかなりデフォルメされてコミカルな立ち回りも多く、とても親しみやすくて応援したくなるキャラクターになっていました。
 そしてジャングルポケットの仲間やライバルたちもまた魅力的です。一人一人を挙げればキリがないですが、今回の登場人物たちには共通するテーマがあり、それに対してどのように挑み、乗り越えんとするのか、その違いが彼らの個性を際立たせています。よくよく考えれば、ウマ娘という作品全体が同じテーマだったようにも思えますが、この作品を一貫しながら極彩色の輝きを生み出す源泉となっています。とはいえ、実際に見て感じていただくのが最も良いでしょう。この映画を観たら、きっと何かを思い出します。それが何かは分かりません。一人一人異なるものでしょう。今、毎日を忙しなく生きている人にこそ、見ていただきたい。そんな映画体験でした。本当に素晴らしかったです。


蛇足


 私は今回の映画の中ではダンツフレームが好きです。元々アニメ2期でのナイスネイチャ等、名も知らぬウマ娘たちがトウカイテイオーのいないダービーを走るシーン、あのシーンが本当に大好きで、あの回ばかりは何度見返したか分かりません。私は、ウマ娘は最高のスポ根コンテンツだと思っています。
 本来、スポーツには勝者と敗者が存在します。「勝ちたい」という欲求に向かって努力し、成長し、それでもなお敗れる。そんな人々が必ず存在します。しかし往々にして『主人公』になるのは勝者の側の人間です。ピラミッドの頂点に向かって正しく走り続ける、そんな人間だけです。しかしながら敗れる者にも人生があり、夢があり、成長があるのです。それは時に正しい姿ではないかもしれませんが、事実全ての敗者にだって主人公だった人生があるのです。
 ウマ娘シリーズは敗者に対してとても真摯な作品だと感じています。ゲームやアニメに出てくるネームドキャラは、ほとんどが栄えある勝利と実績がある側の競走馬です。しかしながら、年間9,000頭とも言われる競走馬生産の総体から見れば、彼らなどほんのごく一部でしかありません。ウマ娘というコンテンツで活躍しているのは、その大きなフィールドから恣意的に抽出したヒーローたちです。先に述べたように、ピラミッドの頂点たる勝者がいれば、ピラミッドの裾野には敗者がいます。私はウマ娘の描く『敗者』の姿を通して、彼らもまた視点が異なれば『主人公』であったのだといつも感じます。そこにあるのは憐憫でも同情でもなく、勝者へ向かう尊敬と質的になんら変わらない別の尊敬です。その広がりを持て囃されることこそあれ、その一つ一つに目を向けられることのない『裾野』をしっかりと認める。それこそが敗者への真摯さであると私は思うからこそ、ダンツフレームやナイスネイチャのような彼らを愛しく思えるのでしょう。スポ根で流れる汗は、全ての人の汗です。
 

長くなってしまいました。今日はこの辺にしておきます。

それでは、おやすみなさい。


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