島守のうた実行委員会

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島守のうた実行委員会

舞台配信「島守のうた」公式アカウント╱沖縄戦とコロナ禍の現代╱目まぐるしく変わる時代の中、変わらぬ出来事・変わらぬ想いを動画配信にて世界へ発信╱【オンライン視聴チケットはこちら→】https://teket.jp/711/2777╱#島守のうた #シームレスシアター

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  • 【連載】「島守のうた~あした天気にしておくれ~」脚本

    舞台動画配信『シームレスシアター「島守のうた~あした天気にしておくれ~」』の脚本を連載化。全11回。

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シームレスシアターとは?

【シームレスシアター】 seamless=継ぎ目がない、途切れないという意味。 今舞台の様式を表した造語。 いわゆる通常の演劇とは少し異なる舞台。 <3つのシームレス> ①「劇場」のシームレス化<継ぎ目のない舞台>コロナ禍において役者同士の密を避ける為、 舞台・無観客の客席を使用するなど劇場全体を表現フィールドにする。 撮影もワンカメ、ノーカットで行い、よりLIVEに近い臨場感を演出した。 ②「距離」のシームレス化<継ぎ目のない繋がり> 舞台動画をネットを介して県内、

    • #11「島守のうた」脚本

      ●【場面十九、脱出】♪米軍の爆撃音 (横になる上里) (横たわる上里。ポケットの碁石に気付く) (白い碁石をつまみボーっと見つめる上里) 上里「…智…仁…勇…?…部長さん。何て言ってたっけ」 (大きな爆撃音) 上里「…智…仁…勇…。智とは何が正しいかを識ること。仁とは相手を思いやること。勇とは勇気をふるって打ち込むこと」 (ゆっくり立ち上がる。ぶつぶつと何かを言っている) 兵士A「おい、貴様!何をしている!…気でも触れたか?」 上里「…智…仁…勇…。」 兵士B[…大人しく座

      • #10「島守のうた」脚本

        ●【場面十八、日本兵】上里(老) 「そして…島田叡沖縄県知事、荒井退造沖縄県警察部長は、二度と我々の前に姿を現すことはありませんでした。 それからしばらくして、轟の壕に残されていた我々を待ち受けるのはまさに地獄のような惨劇でした。 島田知事、荒井部長が去った後、轟の壕に陸軍の大塚曹長を隊長とする日本兵の一団がなだれ込んできたのです。」 兵士A「これからこの壕にいる者は大塚曹長に従ってもらう。」 兵士B[壕から勝手に出ることもならん。」 上里「しかし、壕を出なければ我々はどこ

        • #9「島守のうた」脚本

          ●【場面十五、首里陸軍壕へ】上里(老) 「一九四五年五月。恐ろしいほどの戦力で、沖縄を蹂躙していくアメリカ軍の侵攻は、首里にある軍司令部ののど元にまで迫っていました。軍は、撤退かこの場に留まっての応戦か。決断を迫られていました」 (暗転) (艦砲射撃の音、ドーンドーンと暗闇の中、長い間鳴り響く) (艦砲射撃の合間をぬって、命がけで首里の陸軍壕へ向かおうとする島田と荒井) 小渡「島田知事、荒井部長、外は大変危険です!」 嘉数「敵の砲弾がいつ落ちてくるかわかりません。」 島田

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        シームレスシアターとは?

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        • 【連載】「島守のうた~あした天気にしておくれ~」脚本
          11本

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          #8「島守のうた」脚本

          ●【場面十三、戦争が終わったら】荒井「皆、どれだけの思いで、敵の砲弾をかいくぐって、この会議に参加したのでしょう。そしてまた、重責をおって、それぞれの村に帰って行きました。」 島田「ご無事を祈りましょう…。」 小渡「知事、荒井部長、またいつ敵の砲撃があるかわかりません。壕の入り口は危ないですので、さあ中へ。」 島田「ああ。」 (島田と荒井が戻るとそこには数名が残って、煙草をふかしている) 島田「皆さんはまだ残っていらっしゃいましたか。」 具志堅「いえ、ちょっと雑談を。」

          #8「島守のうた」脚本

          #7「島守のうた」脚本

          ●【場面十、嘉手納の部落】上里(老) 「島田知事は激務の合間をぬって、自ら地方行脚を試みました。すると、部落では知事さんがみえたというので大騒ぎ。 部落では、区長や顔役が集まって、とっさの間に泡盛が用意され、野菜や豆腐が運ばれました。 島田知事は酒のいける方だったので、部落の人たちと酒を酌み交わし、絆を深めていったものでした。」 (三線がやむ) 上里「知事さん、この島はやがて戦争になるんですよね?」 島田「…そうですね。確かに、やがて沖縄は激しい戦となるでしょう。沖縄の皆

          #7「島守のうた」脚本

          #6「島守のうた」脚本

          ●【場面九、島田行政】島田「…ところで、県庁にいる職員が少ないようですが…?」 浦崎「いや…。」 島田「先ほど県庁内を覗いたのですが、空いたままになっている部屋も多い。あれは…?」 内政「はい…非常事態に備えて県職員も分散疎開を…。」 島田「分散疎開?」 内政「大きな建物は狙われやすいので、各部を分散して民家に配置しております。」 島田「そういうことですか。…内政部長、それはあなたの指示ですか?」 内政「まあ…。」 島田「我々は県民を守る為に尽くすのが第一であって、まっ先に己

          #6「島守のうた」脚本

          #5「島守のうた」脚本

          ●【場面八、新しい知事】(暗い表情を浮かべ、新しい県知事を待つ県庁職員) 職員A「はぁ」 職員B「どうした?そんなに深いため息をついて。」 職員A「昨日の新聞。」 職員B「あぁ…あれね…。」 記者「知事、市長頼むに足りず。役所はあってなきがごとし!」 職員A「本来であれば、県知事指揮のもと内政・経済・警察の三部長が、戦場行政を分担して担うべきなのに…。」 職員B「知事が去り、県民からは見放され。」 職員A「この非常事態に、県も市も何をやっているんだか。」 職員B「今はただ、

          #5「島守のうた」脚本

          #4「島守のうた」脚本

          ●【場面六、泉知事】上里(老) 「政府は沖縄県に本土に八万人、台湾に二万人、計十万人を疎開させるよう通達しました。 部長さんは、最悪の事態を想定し、意見を異にしている県知事を半ば強引に説得しながら、疎開業務を進めていきました。 沖縄の治安警備の責任者は自分であると奮いたたせ…。部長さんをはじめ警察部は黙々と疎開業務を続けたのでした。」 (クマゼミの鳴き声) (県知事室。泉守紀沖縄県知事と内政部長、荒井退造、浦崎純が会議をしている) (泉守紀沖縄県知事は暑そうに扇子を扇ぐ)

          #4「島守のうた」脚本

          #3「島守のうた」脚本

          ●【場面四、ある朝】 ♪BGM(朝食を食べる荒井退造。笑顔はなく、食もなかなかすすまない) 荒井「…ご馳走さまでした。」 上里「部長さん。ほとんど食べてないじゃないですか」 荒井「あぁ・・・」 上里「大丈夫ですか?」 荒井「行ってくる。」 上里「部長さん!」 荒井「・・・行ってくる」 上里「行ってらっしゃいませ。」 (トボトボ歩く荒井) 警察B「対馬丸に乗った息子たちから連絡がない」 父兄A「いったいどうなったの!?」 役人「それは…。」 軍人A「対馬丸の件は軍事機密で

          #3「島守のうた」脚本

          #2「島守のうた」脚本

          ●【場面三、荒井の奮闘】上里(老) 「一九四三年七月、部長さんは、沖縄県警察部長として珊瑚の島に降り立ちました。」 警察A「気をつけー!礼!」 上里(老) 「しかし、戦況は悪化の一途をたどり、軍は沖縄に十六か所の飛行場建設を計画。建設作業にあたるのは当然…沖縄県民。 矢継ぎ早に来る軍からの住民の動員要求に、部長さんをはじめ警察部は困惑していました。」 軍人A「飛行場は沖縄本島北部・中部・南部、そして離島にも作られる。人手はいくらあっても足りぬ!警察部はすみやかに住民を動

          #2「島守のうた」脚本

          #1「島守のうた」脚本

          島守のうた(栃木県公演) 作:上原 圭泰(うえはら けいた)  ●【場面一、語り部】♪蝉の鳴き声 (とある講堂。高校生がずらりと並んだ椅子に座っている。真ん中にはテーブル。テーブルの上にはお水とマイク。90歳代の老婆が現れる。老婆は、真ん中のテーブルに腰掛け、学生に向かって語りかける) 上里(老) 「皆さま、今日は暑い中、お越しくださりご苦労様でございます。私は上里ヨシ枝と申します。 皆さまはどちらから来られました?…宇都宮?…栃木県宇都高校の学生さんですか。そうですかぁ

          #1「島守のうた」脚本