マガジンのカバー画像

各種感想・考察文

21
既存作品の感想や考察など。 作品の形態やジャンルはいろいろ。
運営しているクリエイター

#読書

江戸川乱歩『日記帳』考察③

 江戸川乱歩『日記帳』に関する考察を綴ってます。  いきなりこちらを開いた方は、先に①②からお読みください。  今回は、前回に引き続き、兄に関する考察を綴ります。  今回で、本作への考察は終わりです。 ■兄が知りたかったこと  雪枝からの葉書に貼られた切手は、最初から最後まで、ひとつの例外もなく、一貫して斜めに貼られています。  これを見たとき、兄は「雪枝も、弟に恋をしていた」ということを認めざるを得なくなります。  兄は、このとき初めて「何も知らずにいればよかった」と

江戸川乱歩『日記帳』考察②

 江戸川乱歩『日記帳』に関する考察の続きです。  前回はこちら。先に①を読んでいただけるとありがたいです。  今回は、25日の雪枝の葉書を目にした弟の真意から、綴ります。 ■私には、弟という男は、こう見える  弟の病は、おそらく、当時の不治の病です。  診断確定後、僅か数ヶ月で死亡したことや、自室に引きこもりがちだったことから考えると、急性の感染症だったのかもしれません。  もしかしたら、葉書のやりとりをしている頃、弟には何かしらの症状が出ていたかもしれません。  し

芥川龍之介「藪の中」考察⑥

 芥川龍之介「藪の中」について、綴ります。  今回から、事件の核心について考えます。  ここからは、3人の供述が、はっきりと食い違ってくるので、捉え方が非常に難しいです。  ちなみに私は現時点で、黒澤明「羅生門」は未視聴なんですが、あれこれ考えた挙げ句の内容が、万一まるかぶりしてたら、どうしよう。  一通り書き上げたら、その後観てみることにします。  今回は、事件の核心の考察の、序章のような感じになるかと思います。  詳細は、次回以降かな。 ■事が済むまでのこと  多