「日本に住みたい」「トルコへは行きたくない」~入管法改悪反対を訴えるクルドの子どもたち

4月24日、参院会館で緊急院内集会(編む夢企画・織田朝日さん主催)に参加。
改悪入管法によって、強制送還されるかもしれない子どもたち9人が集まり、反対を訴えた。

難民支援を続ける織田朝日さん主催


埼玉からやってきた9人の子どもたち(小5~高2)

子どもたちは埼玉に住むトルコ国籍のクルド人。
日本には川口・蕨を中心に約2000人のクルド人が住むと言われている。トルコで差別・迫害されているクルド人だが、日本で難民申請してもこれまで認定されたのはたった1人(北海道在住者)だけ。川口・蕨に住むクルド人はこれまで誰も難民認定されず、多くは非正規滞在者だ(在留資格がない)。

 働くこともできず、社会保障、公的支援からも排除されている。

 なお、子どもたちの大半は小さい頃日本へやってきたか、日本生まれ。親とともに難民申請して結果が出るまで在留資格があったが、不認定となり喪失して、非正規滞在者となった。

●入管で「クソガキ」と言われた 中1・男子

ビザがなくなって、保険証がなくなり、病院へ行けなくなった。行けば1万円かかる。
入管へ行ったら「クソガキ」と言われた。誕生日とか大事な日に「ここに来い」と入管から言われる。何もしていないのにビザを取られた。「あなたたちは外国人だから」と言われる。外国人とは悪いことなのか。何もしていないのに犯人扱いされる。

●アルバイトをさせてください 高1・女子

毎年入管に通うようになった。定時制高校に通っている。お父さんは仮放免者なので働くことができない。自分がアルバイトをしようと思って、通帳をつくろうとしたら「ビザがないと通帳つくれない」と言われた。ビザがなくても人間だ。人間としての価値がないと言われているようで、嫌な思いをした。ビザを返してほしい。

友達はたくさんできた。人生は1回しかない。最後まで楽しみたい。日本人も外国に行ってビザがもらえなかったらどうするのか。自分がやられて嫌なことは人にしないでほしい。アルバイトをさせてください。

●入管から「国へ帰れ」と言われる 中1・男子

ビザがなくなり、風邪ひいて病院へ行くと5000円かかるようになった。気を付けているが、風邪をひいてしまう。ビザを返してほしい。入管では外人扱いされ、いじめられる。国へ帰れと言われる。

●風邪をひいても病院へ行けない。同じ人間なのに 中2・女子

去年8月家族が入管に呼ばれてビザを取られた。その日は朝5時に起きて入管へ行った。朝の電車はとても混んでいて、小さい子どもたちがいたので大変な思いをした。私たちはずっと1つの部屋にいたが、父だけ別の部屋に連れていかれた。入管へ行くために学校を休んだ。なぜ休まなければならないのか。ビザがなくなり、保険にも入れなくなったので、2歳半の妹は熱が出ても病院に連れていけなかった。悔しい。同じ人間なのに、風邪をひいても病院へ行けないのが悔しい。

●入管からビザを取られた。悔しい 小5・女子

入管からビザを取られたとき、とても悔しかった。

●大学へ行きたい。日本でいい職業に就きたい 高2・女子

小中高とこちら(日本)で過ごしてきた。こちらで大学へ進学したい。でも、法律が改正されるという。法律の改正がもう少し早かったら、自分の中でいろいろ変更できた。あちら(トルコ)へ行ったら、マイナスからの勉強になる。こちらで学んだことを生かしていい職業に就きたい。

法律には反対。

病気になった時、お金があると言っても保険証がないので、治療は十分できない。

大学へ進学したい。親や親せきが協力してくれたので自分も勉強して、成績はよい。大学も希望通り入れると言われている。

大学生活を送れるように、ビザの申請をしようと思う。

でも、突然法律を変えられたら対応できない。

●日本生まれ。トルコへ帰っても何もできない 中1・女子

家族の中でお父さんだけビザがない(本人は在留資格あり)。お母さんが働いているので、弟の面倒を私が見ている

日本で生まれたので、トルコへ帰っても何もできない。法律には反対。

●日本に住みたい。トルコへは行きたくない 小5・女子

トルコのことはよく知らない。日本に住みたい。話を聞いたけど、トルコへは行きたくない。

●日本で会社をつくりたい 小5・女子

トルコへ帰ったら何もわからない。日本のことのほうがわかる。日本にいて仕事をして会社をつくりたい。

●「ビザを返してくれれば、みんな平和になる」


最後に子どもたちの訴え。

「ビザを返してくれたら、日本もその人もみんな平和になる。だから返してください」

「ビザを返して。修学旅行へ行きたい」

次々に出てくる「ビザを返して!」という言葉を聞きながら、胸が詰まった。
風邪をひいたら病院に行きたい。県をまたいで移動するとき、入管に許可を取らなければならないが、そんなことをせずに自由に行き来がしたい。クラスの同級生と同じように、普通の当たり前の生活がしたい、という訴えだ。

子どもたちは日本語と日本文化の中で暮らしている。
しかし、入管へ行けば、大人から「クソガキ!」と罵倒され、「トルコへ帰れ!」と、自分はこの社会にいてはいけない存在であることを思い知らされる。

「病院へ行けない」という言葉に現れるように、非正規滞在者に基本的人権はない。ゼロあるいはマイナス100くらいか。
現状で基本的人権状態がマイナスなのだから、これが改悪されたらマイナス1000にも10000にもマイナス無限大にもなる。

明日(25日)の法務委員会で改悪入管法の採決が予定されている。
こんな法案、絶対通してはいけない。
社会が崩壊する。

入管法そのものが差別と排除を体現した法律だ。
ならばせめて、改悪を阻止して、マイナスをゼロに戻そう。
ゼロになれば、プラスへの可能性も開けてくるのだから。


プラカードと子どもたちの描いた絵

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