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【ウマ娘 】ナリタトップロードの涙と渡辺薫彦の涙、史実との対応を紐解く

アニメ『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』第2話「栄光の舞台」
「あんなにみんなが応援してくれたのに…トレーナーさんが信じてくれたのに…勝てなかった!」ナリタトップロードがそう叫んで泣きじゃくる。

このセリフと涙が史実とどうリンクしているのか? Twitterで流れてきた「これが元ネタだよ」に少し違和感を覚えたので、史実との対応関係を整理してみた。

トップロードの涙とセリフの史実対応

アニメでトップロードが流した涙は、史実でトップロードの騎手だった渡辺薫彦がレース後に流した涙に対応している。セリフは概ね以下の対応になるだろう。

「あんなにみんなが応援してくれたのに…」
→日本ダービーという大レースで1番人気に支持してくれたファンに対して。

「トレーナーさんが信じてくれたのに…」
→デビュー5年目で実績も無い若手騎手である渡辺薫彦を信じて有力馬を任せてくれた沖調教師に対して。

個人競技であるウマ娘レースにおいて、自らの勝利欲求よりも「他人からの期待や信頼」を口にする子が多いのは個人的には少し引っかかるところがあるのだけど、そうなりがちなのは「作劇や動機づけのベースが(個人では完結しない)競馬だから」という理由もあるのかもしれない。

なお、渡辺薫彦は後年のインタビュー動画で涙の理由について、沖調教師から「最高の騎乗だったから、何も悔いることはない」と声をかけられたことで「悔しかったのと、先生の優しさが染みて…」と述懐している。

元ネタと涙盛りがち問題

さて、ここからが本題。
Twitterでは下記2つのWEB記事が「涙の元ネタ」として出回っていることを確認した。

引用1:東スポ競馬 連載「太陽の馬」2022/11/14
テイエムオペラオー連載【25】渡辺は号泣、和田竜は呆然…ダービー終わっても自問自答

渡辺は検量室に戻ってくる時には、泣きじゃくっていた。

「よくやった」

師匠の沖芳夫が声をかけたが、しばらく涙が止まらなかった。

引用2:個人ブログ「トレンド競馬 読む競馬」2011/8/11
ナリタトップロード物語

こわばった表情で引き揚げてきた渡辺を、沖が「力は出し切った。よく乗ってきたぞ」と温かい言葉で迎えた。その途端、弟子の目からは大粒の涙があふれ出した。

※個人ブログだが、内容からして紙媒体(優駿?)からの転記ではないかと思われる。確証は無いので違っていたら失礼ご容赦。

なお、Twitterでは記事の文面スクショ切り抜き画像が、出典の記載もなく無造作に貼られていた。出典URLくらいは記載しましょうね😓

東スポでは見出しに「渡辺は号泣」、更に「検量室に戻ってくる時には、泣きじゃくっていた」とあり、レースから戻ってくるなりボロ泣きの雰囲気を醸し出している。

しかし、これら涙の描写は相当誇張が入っている。実際の映像を見る限り、検量室に戻ってきたときの渡辺は強張りながらも笑顔を保っており、囲みインタビューになってから溢れてきた涙をタオルで拭う仕草をする程度だ。画面に映っていないところで「号泣」していた可能性もあるが、まぁ「盛ってる」だろう。東スポだしなぁ。

だからと言って、アニメでトップロードが号泣した姿を不適当な演出とは思わない。史実は史実、アニメはアニメ。史実を忠実になぞることだけが正解では無い。3話以降で挫折の悔しさを胸に、菊の舞台に向けて奮起するトップロードの姿に期待したい。


関連動画・リンク

日本ダービー敗戦後の映像は15分過ぎから確認できる。
弟子の渡辺騎手を思いやる沖調教師と山路オーナーの人情味溢れるコメントが染みる。

「ウマ娘」に新登場でファン歓喜!ナリタトップロードの「今度こそ!」を「東スポ」で振り返る
上で「東スポだしなぁ」とか言ってごめんなさい。このシリーズ大好きです。

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