片親家庭で育った人は映画『空の青さを知る人よ』を一度観てみてください
人生ではじめてDVDを買いました。
ネットで簡単に映画を視聴できるこの時代、映画を観るだけなら、わざわざディスクを買う必要ないですね。自分にとって、最初で最後のDVD購入だったかもしれません。
買ったのは映画『空の青さを知る人よ』です。
Amazonの商品ページです
制作は超平和バスターズ。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』を制作したチームです。
『あの花』は名前だけでも聞いたことがあるって人、多いんじゃないでしょうか。
物語の舞台がすべて秩父であることや、三作品それぞれに魅力的な女主人公がいることが三作品の共通点だったり、どれも感動的な物語であったりするわけですが、今その話はしません。
今するのは、『空の青さを知る人よ』の主人公あおいのこと、彼女がどうしようもなく自分と重なって見えるってことです。
両親のどちらかがいない片親の家庭で育った方、両親がいなくて誰かに代わりに育ててもらった方、年の離れた姉・兄がいる方。
この中のどれかに当てはまる方は、『空の青さを知る人よ』をぜひ観てみてほしいです。
きっと、僕が言わんとすることが分かると思います。
映画『空の青さを知る人よ』の主人公あおいは、両親を幼いころに亡くし、姉のあかねと二人で暮らしている高校生です。
田舎での暮らしに辟易し、高校卒業と同時に東京へ行こうとしています。
姉のあかねは高校生の時に両親を失い、妹のあおいを育てるため、当時の恋人と東京へ行くという約束を断って秩父に残りました。
料理は裁縫など、あおいのためにたくさん時間を使って多くの人から協力してもらって、あおいを育ててきました。
もちろん、あおいにはそんなそぶりは見せません。
そんな二人のもとにあかねの当時の恋人が帰ってきて、色々あってあおいが一方的に喧嘩を吹っ掛けたりしたりした後に、あおいは、姉のあかねが自分のために膨大な時間を割いてくれていたことに気がつきます。
びっしり書かれたノートを見て、これまでの姉が陰でたくさん努力してくれたこと、しかもそれを自分には見せずにいてくれたことに気が付きます。
あおいは、あかねが自分の時間を削ってくれていることになんとなくだけど気が付いていました。自分なんかのために犠牲になっていると。
物語の序盤で、あおいは高校を卒業して東京へ行きバンドで天下を取ると言っていましたが、あれはこれ以上姉のあかねの負担になりたくなくて、自分が東京へ行けば姉が自分を犠牲にせずに済むと考えて言っているんだと思います。
おそらく、将来本当にバンドで生きていこうとは思っていないと思います。とにかく、今いる場所から離れたい、というのが本音かなと。
ちょっと映画のネタバレになってしまいますが、映画の題名や卒業文集に書いた言葉からわかるように、あかねはあおいが負担になっているなんてゆめゆめ思っていない、と言いたいところですが、それでも最後のあかねのセリフを聞くと、本当の本当は我慢していたんでしょうか。
これからは、ツナマヨのおにぎりを作ってください。
というのが映画の主人公あおいです。
次は僕のはなしです。
僕は父親がいない家庭で育ちました。
本来いるはずの夫がいないのに、母親には何不自由なく育ててもらいました。
母親は明るく活動的な人です。
パッと見ただけでは、一人で子どもを育てているようには見えません。
そんな母親ですが、僕を育てるためにずっと色んなことを我慢してきたんだと思います。
自分ことや趣味に使う時間はもちろん、寝る時間や食べる時間を割いて、僕のためにたくさんのことをしてくれました。
もしかしたら、いい人がいたかもしれませんが、そういうはなしも聞いたことがありませんし、仮にいたとしても絶対に僕にそのそぶりは見せないでしょう。
小さいときは全然気がつきませんでしたが、いつからか分かったような気がします。僕のために、自分を犠牲にしてくれているんだなと。
だからこそ、母親にこれ以上迷惑をかけたくないし、もう自分を犠牲にしてほしくない。とどこかで思うようになりました。
大学を卒業して東京から魚沼へ来たのも、そんな理由もあったかもしれません。自分が実家を出れば、母親にも少しは余裕ができるんじゃないかと。
実際に負担が軽くなったかどうかはわかりませんが。
そんな自分と、主人公のあおいがめちゃくちゃ重なって見えました。
ここから出たいと思う気持ちもわかるし、言いたくないことなのに言ってしまったこともあるし、なんかよく分かんなくなっちゃったりするし。
僕のために作られた映画なのかと錯覚するほどでした。
『空の青さを知る人よ』はざっくりいうと恋愛の物語です。ですが、僕にとっては、自分自身のようなあおいが、どういう想いを抱えているのか、どう悩むのか、どういう答えにたどり着くのか、を伝える映画でした。
誰しも、親や周りの人に育ててもらったからこそ今があるんだから、そういう意味では誰もがあおいに共感できると思います。
でもやっぱり、片親家庭だったり、複雑な家庭環境だったりで育った人の方が、よりあおいに感情移入しやすいんじゃないかなとも思います。
そういう背景がある方、男だろうが大人だろうが泣いちゃいますが、ぜひ観てみてください。
母さん、ありがとう。
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