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『地球外少年少女』感想︰心の中から『Butter-Fly』が聴こえてくる作品だった【ネタバレあり】

『Butter-Fly』は知ってるか?

デジモンシリーズ第一作目の『デジモンアドベンチャー』のopで、当シリーズの看板曲でもある。
アニメ好きで知らないやつはいないだろう。

アニメに興味がない人でも、アニメが好きな20代から30代前半くらいのやつとカラオケに行ったことがあるなら、一度は耳にしているはず。

♪無限大な夢のあとの


自分の学生時代、問題用紙が裏側で配られてあとは試験開始時刻を待つだけのあの時間、目をつむって頭の中をからっぽにして『Butter-Fly』を脳内再生することで自分自身を昂らせていた。

なにか根拠があってやっていたわけではないし、それで点数があがるのかどうかはわからない。
とにかく、それくらい好きだし思い入れもある曲。


その『Butter-Fly』が聴こえてきた。

画面の中にデジモンはいない、デジヴァイスもない、だけど『地球外少年少女』を観ているとき、確かに『Butter-Fly』が聞こえていた。



『地球外少年少女』という作品が面白い、という情報をキャッチした。

SF、宇宙、数人の子どもたちと命運、
どれも自分好みの要素だったからすごく惹かれた。近くの映画館では上映していないもののサブスクサービスで配信してると知って、いても立ってもいられなくなった。
結果的に自分には縁がないと思っていたNetflix契約の壁もついには超えて、視聴した。


最高だった。
視聴中、ずっとワクワクしていた。

スマホもタブレットも目に写らないようによけて部屋を暗くして音量を上げて、音と映像に集中した。

全話食い入るようにして観た。
前篇のエピソード3『ルナティック・セブン』はed曲が流れふと我に返ると、泣いていた。
色んな感情でぐちゃぐちゃになりながら観た。


この『地球外少年少女』、すでにかなり話題になっている作品で、たくさんの人がネットに感想をあげている。
感想文にはネタバレも多分に含まれているものだから、はじめに『地球外少年少女』を観てから、自分はこう思ったという自分なりの感想をつくってから、ほかの人の感想を読んでほしい。

例に漏れず、この文章にももれなくネタバレがある。すでにここまでで作品の雰囲気のネタバレがあるとは思うけど、ここからは具体的な内容のネタバレも入ってくるから、この先は自分の目で耳で『地球外少年少女』を観てからにしてほしい。







この『地球外少年少女』という作品を観て、
これは、

デジモンなしのデジモンアドベンチャーだ。

だと感じた。


商業宇宙ステーションあんしんに取り残されたのは、
・不器用ながらもみんなをまとめる、ガッツの登矢
・登矢とぶつかりながら問題に立ち向かう大洋
・虚弱でもみんなに気を配る心葉
・登矢を尊敬する思考のアイディアマン博士
・自由に振る舞い野望を抱く美衣奈

以上の子ども5名に大人2名。

彼らがそれぞれ、

登矢は太一、
大洋はヤマト、
博士は光子郎、
美衣奈はミミ、
だとしか思えなかった。

大洋はヤマトよりは大人っぽく、美衣奈はミミより鬱陶しくように思ったが、かなり重なって見えた。残る子どもの心葉は、空でもありヒカリでもある、といったところか。

問題に直面しながら、誰かとぶつかり合いながら、生きて帰るという目的のために協力し困難を超えていく子どもたち。まさに『デジモンアドベンチャー』の選ばれし子どもたちを見ているようだった。


こんなのキャラクターだけ見ればほぼ『デジモンアドベンチャー』じゃないか。



当然、デジモン要素はない。
この作品あるのはSF要素。
それもフレーバーとしてのSFではなく、あくまでも現代の科学に準拠したガッツリのSF。

高度に発展を遂げた科学、

より近くの存在となったAI、

スマホやBluetoothといった今のテクノロジーをさらに進化させたような未知のテクノロジーとギアの数々、そしてそれを当たり前のように使いこなすキャラクターたち、

最高にワクワクする。
そこにさらに、


「電磁パルス」とか「EVA」とか「オーラン製宇宙服」とかの実際の科学&SF御用達の専門用語たち、

かと思えば背景に見える現代科学を超越した超科学や、さも当然のように出てくる皆さんご存知ですよね?的な全くご存知ない超科学専門用語の数々、

地球から遠く離れていて誰かの応援が望めない宇宙ステーションという舞台、これみよがしに登場する彗星、


『地球外少年少女』の全編を通して、
ねえ?こういうのが好きなんでしょう?
と言われているような感覚だった。

手に「スマート」をプリントしてみたい、
小指と親指を立てて電話のジャスチャーで電話をかけてみたい、
色んな機器に「ピアコム」してみたい、
接続しようと思ってから実際に繋がるまでの反応速度を体感してみたい、


宇宙ステーションだから外からの助けは得られないんでしょう?
宇宙空間は真空だから徐々に酸素がなくなっていくんでしょう?食料足りなくなるんでしょう?
ダッキー、どんどん暴走するんでしょう?
その彗星、最後に地球めがけて落ちていくんでしょう?
それを止めるんでしょう?


まさしく、こういうのが好きだ。
仕方がない。もう心が求めているのだから。

SFが好きだし、出てくる舞台装置から展開が予想できる部分もある、
だけど、それでも興奮するし、アツくなる。

ああ、SFっていいよな。
『地球外少年少女』を観ながら、純粋にそう思えた。


親しみやすいアニメーションタッチの映像、
超科学で飾られたまったく未知の概念、その中でもしっかりと生きる礎となる現代科学やテクノロジー、
危険で孤立した子どもたちが衝突しつつも協力し壁を乗り越えていく王道でアツいストーリー、
『ぼくらのウォーゲーム!』、『サマーウォーズ』を彷彿とさせる舞台設計、
あからさまに登場しご多分に漏れずに地球へと落ちる彗星、


『地球外少年少女』は、デジモンなしのデジモンアドベンチャーであり、SF好きなら沸き立つことこの上なしの最高のSFロマン映画だった。


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