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【登録・計算方法編】インボイスの超基本の話


はじめに

前回の記事で、インボイス制度がどんな税制で、誰に影響があるのか、という概要をお伝えしました。

この記事では実際にインボイスの登録をする場合の手続きと、登録後の消費税の計算方法の選択肢について解説していきます。

インボイス登録するのか決めよう

登録が必要な人、必要でないひと

そもそもですが、これだけ騒がれているインボイスも、登録するかどうかは任意です。

ざっくりですが、インボイス登録をしたほうがいいケースは次の場合です。
・お客様が事業者の場合(いわゆるBtoB事業)
・既に消費税の確定申告をしている場合

反対に、インボイス登録をする必要性が低いケースは次の場合です。
・お客様が消費者の場合(いわゆるBtoC事業)
・今も、今後もしばらくは年間の売上が1,000万円以下の場合
・収入が消費税の対象でない取引である場合(会費、寄付金、補助金など)

この記事を読んでくださっている方は、おそらく、いまは消費税の確定申告をしていない免税事業者だけれども、インボイス登録が必要なのではないか、と考えている方が多いと思うので、特にお客様が事業者の場合(いわゆるBtoB事業)はここから先をよく読んでいただければと思います


登録手続きの方法

これに関してはX(Twitter)でまとめてしまったのでこちらをご参照ください。

もちろんおススメはe-Taxです。

ただ、e-Taxを使うのがはじめてであれば初期設定に時間がかかります。
時間に余裕をもって提出しましょう。

ちなみに、10月1日以降でも、いつでもインボイス登録することができます。
上記はあくまで10月1日からインボイス登録をしたい場合なので。

10月1日以降に登録する場合も提出の選択肢は同じですが、提出日15日以降の任意の日を登録日とすることになります。

つまり、どうしても提出から登録まで15日間のタイムラグが発生するということです。

ですので、この間にインボイスが必要な取引があっても取引先に対してインボイスを発行することはできません。

この場合は、取引先の納税額が増えてしまう可能性がある点に注意が必要です。

ちなみに、インボイス登録は、登録申請手続(提出)→承認(登録)→登録通知の流れですが、上述の15日間は登録申請手続(提出)→承認(登録)の期間のことでです。

承認(登録)→登録通知の期間内は、通知を受ける前であっても適格請求書を発行することができます(所定の追加資料等の発行が必要です)。

計算方法の選択をしよう

インボイス登録をすると、いままで消費税の免税事業者で確定申告をしていなかった人も課税事業者となり、確定申告書の提出と納税が必要になります。

個人事業主であれば3月31日まで、法人であれば基本的には法人税の申告と同じく決算から2か月以内が期限です。

では、どうやって消費税の計算をすることになるのか。
計算の方法はいくつかあるのですが、簡単な順番に解説していきます。

2割特例

これはインボイス制度がはじまるにあたって初めて導入された計算方法です。

一番簡単な方法ですが、この方法を選択することができるのは、2年前の売上が1,000万円以下の場合の事業者、もしくは一定の新規事業者のみです。

なので、イメージとしては、小規模な事業者の事務負担を減らすために新設された簡便な計算方法と思っていただければと思います。

具体的な計算方法としては、売上で受け取った消費税の2割が納税額になります。

たとえば、年間の売上が税抜500万円、受け取った消費税がその10%で50万円あるとすると、50万円×2割=10万円を納税するということです。

事務負担は少ないですし、納税額もある程度優遇されていますので、この2割特例を適用できる条件が整っているなら、2割特例を選択することをおススメします。

簡易課税制度

簡易課税制度は、2年前の売上が5,000万円以下の事業者が対象です。

具体的な計算方法は1つ前の2割特例とほぼほぼ同じです。

違うのは、受け取った消費税から控除できる割合です。

2割特例は受け取った消費税から8割控除することができますが、簡易課税制度は業種によって、その控除できる割合が異なってきます。

この点で、卸売業以外の業種で、2割特例を選択できるなら2割特例を選択することをおススメします。

卸売業の場合や2割特例が適用できない場合は、簡易課税制度を選択したほうが事務負担的にはラクになります。

また、簡易課税制度を受けるためは別途届出書が必要です。

この届出書は、本来ならば事前(課税期間が始める前まで)に提出が必要になります。

が、今回のインボイス制度によって課税事業者になった事業者に限って、適用を受ける課税期間中の提出が認められています。

原則課税

まず、原則課税はインボイス制度によってかなり経理負担が重くなることが予想されます。

どういうことか説明していきますね。

原則課税の計算方法をざっくり説明すると、受け取った消費税-支払った消費税、です。

上2つの計算方法は受け取った消費税だけの集計でOKですが、原則課税は支払った消費税も集計しなければいけません。

これが面倒で、さらにインボイス制度でルールが複雑化したせいで、その面倒さが増しています。

ですがその反面、原則課税は場合によっては2割特例と簡易課税より納税負担が軽くなる可能性があります。

極端な例で言うと、受け取った消費税より支払った消費税のほうが大きければ、計算結果はマイナスになり、還付を受けられます。

つまり、税金が返ってくるということで、これは2割特例や簡易課税制度ではありえません。

特に、大きな設備投資をしたり、輸出事業を行っていたりする場合は、原則課税のほうが有利になる可能性があります

おわりに

今回は、インボイスの登録と計算方法という、少し各論のお話をしました。

特に、計算方法については、期末にぎりぎりになって、有利な計算方法の見極めをするのではなく、余裕をもって検討しておきましょう。

焦って税金を払いすぎることがないように。

ご自身の計算方法を迷っているのであれば、こちらのLINEからご相談いただければと思います。

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