おりたたみ自転車+ぎんしお=旅(散策)が楽しい♪
3月に出た、星井さえこ先生の新作『おりたたみ自転車と旅しています』。
その前作『おりたたみ自転車はじめました』の影響を思いっきり受け、おりたたみ自転車での散策と輪行旅を始めて1年ぐらい経ちましたが、この度の新作で著者が新たにハマったとされるのがフィルムカメラ。
今まで散策や旅でのはもっぱらデジカメやスマホといったデジタルだったが、この機会にアナログもいいなということで、写真知識ゼロから始めたのがトイカメラ。
そして、そのきっかけとなったのがこれまた漫画(苦笑)
ここでは、折りたたみ自転車での輪行旅とトイカメラで、更に楽しみが倍増ということをつらつら書いていきます。
『おりたたみ自転車と旅しています』について
おりたたみ自転車での輪行旅の楽しさを広めたのが、星井さえ子先生の漫画エッセイ『おりたたみ自転車をはじめました』。
その続編として今年の3月に出たのが『おりたたみ自転車と旅しています』。
前作が輪行旅の入門編ならば、今回のは実践編にあたる一冊。
前作は入門編ということで、輪行とは何かというところから始まり、行動エリアも鉄道網が充実している東京都内・近郊が中心、最後はサイクリストの聖地であるしまなみ海道の走破で締める形。
おりたたみ自転車ですから、その名前の通り自転車を小さくおりたたむことができ、しかも輪行袋というものに収納して運べばどんな乗り物へも持ち運んで乗ることができるのが強み(これが輪行)。
星井先生の自転車はブロンプトンで10年以上のお付き合いだそうですが、11㎏近くと女性が持ち運ぶには重量があるそうで、駅に入って電車に乗るまで重い自転車(それでも軽い方)を運ぶのは大変ですが、筆者はそれを”仕様”と片付けて割り切ることを書いています。
もっとも、最近は10㎏をも満たない軽量の車体も出ていて、輪行も楽なおりたたみ自転車も増えていますけどね。
そして続編となる今作では前半の振り返りをサラッと触れたうえでの実践編。
行動範囲も都内から更に拡大して全国エリアまで拡大、輪行の乗り物も鉄道からフェリー、果ては飛行機まで広がり、九州横断、更には乗鞍走破と次第にハードになり、改めて作者の健脚さに驚かされます!
そして、今作では自転車だけでなく新たな趣味が加わり、フィルムカメラにも嵌っている作者。
作中だけでも使用しているカメラは2∼3つでしょうか。
このように作者が触れているように、輪行旅の楽しみ方がさらに膨らむ要素にもなっています。
『ぎんしお少々』とDiana+Fについて
かく言う小生も、前作で折りたたみ自転車に興味を持ち、新たに購入して輪行旅を始めているのですが、今作に影響されたかのようにフィルムカメラに興味を持ってしまいます。
もっとも、本格的なフィルムカメラではなく、変化球で興味を持ったのがトイカメラ。
名前の通り”玩具カメラ”のことですが、そのトイカメラにもデジタル仕様もあれば、フィルムを使ったアナログ仕様もあり、今回嵌ったのは後者。
そのトイカメラに嵌るきっかけとなったのがこれまた漫画、若鶏にこみ先生が描いたストーリー四コマ漫画『ぎんしお少々』でした。
この作品に掲載されていた四コマ漫画誌『まんがタイムきらら』には、登場人物に特定の趣味やテーマが絡む作品が多いのですが、今作では写真がテーマ。
しかし、今では普通のデジカメやスマホではなく、フィルムカメラという点が特徴。
主人公である塩原もゆるが使っているのはフィルムカメラのモデルがLOMOGRAPHYという会社が出しているDiana+Fと呼ばれるトイカメラなのですが、それを通じて複数の登場人物とのつながりが展開されていく作品。
姉の塩原まほろから高校入学祝いとしてもらったカメラで、高校に通う途中で出会う藤見銀(しろ)を撮ろうとするところから物語が始まります。
この二人と姉のまほろ、銀の姉でまほろと行動を共にする高校生の藤見鈴(すず)を中心に展開されるのが『ぎんしお少々』(以下、『ぎんしお』)です。
タイトルの「ぎんしお」とは主人公の二人、藤見銀(ぎん)と塩原もゆる(しお)とを合わせたものですが、同時にフィルムカメラの事を「銀塩(ぎんえん)カメラ」とも呼ぶそうで、それを掛けたものでしょうね。
詳しい内容については単行本が全二巻発売されているので、是非ともお手にとってご覧いただくとして、この作品の影響を思い切って受けて、小生も購入しました、そのDiana+Fを!
このDiana+FはLOMOGRAPHYという会社が1960年代に実際に販売したトイカメラの復刻版。
このカメラで撮った写真はノスタルジックで鮮やかな色とコントラストの強い写りが特徴で、クリアな写真が撮れるデジカメとは対照的に、ふんわりとした雰囲気の写真が撮れます。
で、このカメラで使用するフィルムですが、普通のフィルムカメラで使用するのが35ミリなのに対し、こちらではブローニー(または中盤)と呼ばれる120ミリという規格。
一般のカメラ店などで良く売られる35ミリとは違って出回っている店が多くないので、ネット通販などで購入するといいかも知れません。
(因みに自分はビックカメラでコダックの5個セットのものを購入、但し取り寄せ)
で、購入するフィルムですが、カラーとモノクロかの2種類があり、それは好き好きでいいでしょう。
それ以上に重要なのがISO感度、フィルムがどの程度弱い光まで記録できるかを示す値で、感度が高いほど数値が大きくなり、暗い場面や高速度の被写体ををより速いシャッターで撮ることができるというもの。
手振れを受けやすくなる分、画質が綺麗に撮れるので、できるだけ高めのものを選びたいが、自分みたいに初心者ならISO400から入るといいでしょう。
フィルムを手に入れたらカメラに装着しますが、その方法についてはYouTubeで公式の動画が出ているのでそちらを参照を。
その動画の通りに装着すればOK。
敢えて注意すべき点を書くなら、装着後のフィルムのロードとアンロードは慎重にすること。
しくじると写真が全部飛んでしまいます(汗)
フィルムをセットしたら、背面にある矢印で枚数をセットします。
通常サイズなら12枚、スクエアなら16枚撮れます。
そして、写真の撮り方ですが、こちらも上記動画を参照にしていただくといいでしょう。
最初の一枚を撮る前に、真ん中の小さい穴に”1”が見えるまでホイールを回します。
本格的なカメラでなく玩具カメラなので、設定する点は3つだけ。
『ぎんしお』では撮るものの距離(ピント)と天気(絞り)の2つだけとしているが、それともう一つシャッタースピード。
シャッタースピードはレンズ上部のNかBに合わせるわけだが、通常はNのままにしておけば十分。
あとは被写体にカメラを向けてシャッターを下ろせばいいが、ブレやすいのでカメラをしたからしっかり持とう。
不安なら三脚を使ってもいいでしょう(三脚を差す穴がカメラの下にある)。
一枚撮り終わったらホイールを”2”が窓から見えるまで回して次のものを撮る。
ホイール回し忘れてシャッターを切ると、現像した時に写真がダブって写ってしまいます(多重露光)。
※実はこの多重露光、LOMOGRAPHYのカメラの特徴でもあり、逆にわざとそれを使って撮るテクもありますが、ここでは詳しく触れないでおきます。
そうして何枚か撮って、12枚または16枚撮り終えたら全部下記の動画のようにフィルムを取り外します。
『ぎんしお』1巻でもその方法が出ています。
慎重にやらないとフィルムが感光し、現像で出てきた写真がすべて真っ白になるので気を付けてね。
あとは写真店に現像してもらう訳ですが、一般の35ミリとは異なり取り扱ってくれる店が限られているのが難点。
近くになければ、可能なお店に郵送して現像してもらうのがいいでしょう。
因みに自分はビックカメラで現像してもらってますが、支店によって扱いが異なるので、前もって聞いてみるといいでしょう。
旗艦店の有楽町店では現像だけでなくCD化もできるので、パソコンに取り入れるならそれができるお店を選びたい。
実際に輪行で世田谷線沿線をポタ、そして撮ってみた。
で、今回は実際に京王線の下高井戸駅まで輪行し、東急世田谷線沿線を三軒茶屋までポタリングして、その途中であちこち撮ってみました。
失敗作も少なくありませんでしたが、ここでは上手くいったなと思うものを中心に披露します。
こちらがそのDiana+Fで実際に撮った豪徳寺の街ですが、東急世田谷線沿線をおりたたみ自転車でポタリングしながらあちこちとったものの一枚です。
路面電車(実際には専用軌道ですが)が通る街をフィルムカメラで撮ると、どこか懐かしい雰囲気になるかな、と思い一枚パチリ。
しっかりカメラを持ってシャッターを切らないとブレる失敗例(汗)
下高井戸駅前市場は昭和30年代からある古い市場で、今でも元気に営業しているお店が多い。
出来れば帰りにそこで何かを買っておきたい。
豪徳寺の街にある銭湯。
お風呂がある家が普通な中でも、街中に銭湯が残っている所はまだまだある。
写真に写っている、赤いおりたたみ自転車がマイチャリ。
それにしても世田谷区というと、どこかモダンで今どきの街というイメージだったが、こういう下町に近い雰囲気の町並みも残っているのは面白い。
途中、豪徳寺にお参りした時に撮った一枚。
招き猫で有名なお寺で、自分も撮ってみたのですがブレまくりで大失敗( ;∀;)
でも、なんとなくわかるよね?
もう一枚、豪徳寺境内、上手くいったこちらの狛犬の写真も載せておきます(^_^;)
でもこの狛犬、猫みたく球を転がしていますね(笑)
招き猫のお寺なのだから”狛猫”でいいでしょう...…という訳にはいかないんでしょうかね。
豪徳寺は井伊家の菩提寺で、有名な井伊直弼の墓も境内にあるのですが、沿線にはもう一つ、あの直弼が処刑した吉田松陰を祀る松陰神社というのがあり、何だか歴史の皮肉を感じさせます。
もっとも、当の松陰はもともと彦根藩主としての井伊直弼を肯定的に評価していたそうですけどね。
その後、幕末の激動でこの二人が対立してしまうのですから分からないものです。
若林踏切のこの写真、世田谷線を語るうえで必ずと言っていいほど登場する風景です。
踏切と呼んでますが、遮断機も警報器もありません。
その代わりと言ってなんですが、信号機があり、その信号の通りに赤になれば車が停車する仕組みで、如何にも代表する幹線道路らしい。
ここだけは世田谷線の電車も信号を守って停車して待つことになります。
三軒茶屋の一つ手前にある西太子堂駅近く。
正面に見えるのが三軒茶屋のキャロットタワーですが、タワーから真っ直ぐ電車が近づいてくるシーンがこの踏切から見られます。
正面にそびえる巨塔、キャロットタワーは三軒茶屋のシンボル、最上階の展望台からの景色は抜群ですよ。
東急世田谷線は約5㎞と短い路線で、もともとは「玉電」と呼ばれる路面電車「玉川電気鉄道」の一部でしたが、モータリゼーションで車社会になるにつれて路面電車は邪魔者扱いにされ、東急で残ったのは専用軌道を走る世田谷線のみ。
近隣住民の生活の足として健在ですが、沿線には豪徳寺だけでなく松陰神社や代官屋敷、世田谷城址など、歴史的スポットにも事欠きません。
勿論、帰りは世田谷線に乗って(もちろんチャリはおりたたんで輪行で)。
最後に
『おりたたみ自転車をはじめました』がきっかけで初めて折りたたみ自転車を購入してポタリングを楽しむようになり、『おりたたみ自転車と旅しています』そして『ぎんしお』でこのDiana+Fを持つようになり、ポタリング+フィルムカメラという新たな楽しみに触れるようになりました。
フィルムカメラの楽しみの一つ、それは『ぎんしお』2巻の帯で表しているこの一言に尽きます。
デジカメと違って予め何が写るか分からない、それは現像した後のお楽しみ。
上手くいくものもあれば、失敗作もある、でもそれがフィルムカメラの面白さでもあります。
これらの作品で、自分みたくポタリングとフィルムカメラに興味を持つ人が少しでも増えてくれると、筆者としても喜ばしい限りです。
ダラダラと長い駄文でしたが、最後までお付き合いしてくれてありがとうございました。
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