【日記】 憧れが1ペソに還元された日
ムーンライトストライクゲームを知っているだろうか。
そう、ラウンドワンのボウリング場で1時間に1回発生するイベントである。このムーンライトストライクゲーム(以下MSGとする)では、男性ならストライク、女性 or 小学生以下の場合は9ピン以上倒すとムーンライト達成という判定になり、何かしらが貰える。
僕は高校生の頃にハマってから長らくボウリングをやっているが、ムーンライト達成はどこか憧れだった。これが意外と難しいのだ。ただつい昨日、その瞬間が訪れた。
ムーンライト達成。ベートーヴェンもびっくりである。
すると、スタッフの方がやってきた。
「プリクラ撮影できるコインかこちらのカードどちらがいいですか」
カード??見てみよう。
お気づきだろうか。
本券10枚でボウリングゲーム料金より100円割引致します。
僕の憧れが、信じられないレートで取引されていたのである。
1ムーンライト=10JPYである。
メキシコの通貨ペソが大体JPYの10分の1なので、
1ムーンライト≒1ペソである。
この世には値段をつけない方がいいものがあると思う。MSGクリアは僕にとってお金に還元できない目標だった。ただ達成後に1ペソという金銭的価値を明確に示されたことで、MSGクリアの価値はどこか矮小化されてしまったように感じる。
雀の涙ほどの金銭で人を働かせるくらいなら、同じ労働を無償でやってくれないかとお願いされた方が人はすすんで働くという話をどこかで読んだことがある。確か、『それをお金で買いますか』マイケル・サンデルか『予想通りに不合理』ダン・アリエリーに書いてあった。最近バリューブックスで本をどかっと売ったので、ちょうど引用したい本が見つからないことが多い。話を戻すと、無償ならば親切心でやるものに少しでも賃金を出されると、自分の労働にはそれしか価値がないのかと憤りの感情が生まれるらしい。
今回のMSGにも同じことが言える。むしろ、ただのMSG達成カードを渡された方が気分がいい。10枚集めたら100円引きですよ!と言われることで、なんだ私のムーンライト達成には1ペソしか価値がないのか!と憤りの感情が生まれるのである。
私としては1ペソですよ相手に価値を提示されても、己の思う価値を感じ続けられる人でありたいなと思う。お金に還元されない欲望を大切に育てていきます。