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RAGE day1を突破する為の取り組み方まとめ ~エンジョイ勢の為の上達講座~

1.1 はじめに~記事の概要と対象読者~

初めまして、496と申します。
この記事は普段シャドウバースのグランプリやランクマッチはそこそこやるけど大会やレートなどの競技シーン(勝利を第一とした場)には取り組んでない...
みたいな人がRAGEに参加するときに、じゃあどうやって練習すればいいの?何をすれば上手くなるの?
ということを解説した記事になります。
想定読者は下画像の青で囲った層です。
特に自信絶頂期の初心者を卒業した直後あたりはゲームがつまらなくなったりするつらい時期だと思うのでそういう人は参考にしてみてください。
どんなことでも上手くなったりわかるようになってくると楽しいもんです。

"楽しむ為に、強くなる。"

そういったエンジョイの精神でこの記事は書かれています。
記事は投げ銭方式で全文無料です。
"エンジョイ勢の為の上達講座"約1万2千字の長い文章となりますがよろしくお願い致します。

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(注)
あくまで個人の考えという注釈はつきますので絶対的な物ではないです。
本記事が自分の練習の仕方が確立してない人にとっての発想の足掛かりとなってくれることを期待します

1.2 自己紹介

改めて、496(シクロ)です。一応解説する以上自分の紹介を挟むのは義務だと思うので軽く取り上げます。
Ratings for shadowverseの方は趣味程度にしかやらないで、気が向いたらRAGEなどの大会で結果を出すことに精力を注ぐエンジョイプレイヤーです。所属するチームはありませんが、一応一緒に調整をしてくれるシャドバの友人が2人だけいるのでその人たちとゲームを楽しんでいます。
RAGE終わったら別ゲーか2pickやってます。
シャドウバースを始めたのはDBNからなので、だいたい3年くらいやってるってことになります。古参の人にとっては弱卒ですが新参の人にとっては参考になる部分もあるんじゃないかな、みたいなそんな感じです。
RAGEは6回出場中4回day2進出。内訳と致しましては、
STR 5-0
UCL 2-0(諸事情により途中リタイア)
SOR 5-0
ETA 5-0
DOV 1-2
RCS 5-0
となります。サンプル数が少なくかなり上振れている方なのですが95%信頼区間をとっても戦績23-2は勝率73.90%はあるので、運だけにしてもまあそこそこ参考になる部分もあるのではないかなと思います。
参考になりそうな部分だけ参考にしてください。
RAGE以外の大会については本当に気まぐれ程度にしか出ていません。
(95%信頼区間が何ぞや?って人は以下をどうぞ)

1.3 基本事項 ~RAGEという大会と適切な目標決め~

RAGEday1を突破する為にはbo3で5-0又は5-1することが条件となります。
RAGEに慣れていない人にとってはこの水準にピンとこない方もいると思いますが、慣れている方ならたぶん殆どの人が頷きます。これめっちゃキツイです
ピンとくるようにグラフで出します。(詳しい式は下の補足で)

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はい、まずわかるのは、勝率5割の人だとday2率が大体1割なので大会に10回(2年半)参加しないとday2にいけないということですね。やばい。
目安としては、
bo3勝率61%4回に1回day2
bo3勝率66%3回に1回day2
bo3勝率74%2回に1回day2
となります。
RAGEに出るときに最初からday2を意識しすぎると行けなかったときにモチベ維持が難しくなると思うのでこの辺の確率認識はもっておきましょう。
その上で
”自分は〇回以内にday2いきたい!その為にはbo3勝率〇%とればいい!そのためには~”
みたいな目標ができるといいと思います。
はい。では次章から”そのためには~”の詳細に触れていきます。

Tips: 上の確率の導出について
高校で習う数学の範囲”反復試行の確率”で求められます。
平均bo3勝率をxとしてx^5が5-0確率、5C1x^4(1 - x)*xが5-1確率です。
day2確率はその和で求めることができます。

2.1 シャドウバースで実力差をつける要素とその努力配分

この章ではシャドウバースというゲームの実力要素の解説とRAGEday1で勝つ為の努力配分について考えていきます。
シャドウバースで人より勝率出そうと思ったときに僕たちができる練習方法は大体4つに大別できます。

1.デッキ開拓    →新しいデッキを開拓する 
2.勝ち方の確立   →自分の使っているデッキを強く使える
3.枚数調整     →自分のデッキを洗練させる
4.対面ごとの大局観 →対面のデッキに対し自分のデッキがどう戦うか考える

カードパックリリースからRAGEday1までは例年だと二週間半くらいなのでこれら4つの練習をバランス良く行うと勝率が最大化できるのではないかなと思います。
自分が考える理想的な配分はこんな感じです。

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具体的な比率となると直面してる環境が一強環境か多強環境かだったり、どのくらい早くデッキが固まるかだったりで変わってきますが、自分は大まかには上の図のような感じをイメージして練習比率を決めています。
この辺の努力配分などでプレイヤーとしての個性も決定されてくると思うので、自分がどういうプレイヤーになりたいのかだったり、自分が足りないのはどういう能力かだったりを考えて練習比率を決めるといいと思います。

↓参考にした図

次章からこの4つの要素についてどのように練習をするのがいいかについて考えていきます。

閑話休題: カードゲームにおける練習について
殆どの人が知ってるように、シャドウバースというゲームはFPSや格ゲーと違い、100%知識ゲーです。
このことが何を意味するかというと、練習の質を高めることが何よりも大事になってくる。ということです。どういうことか解説します。

一般にカードゲームというジャンルでは、先に挙げたFPSや格ゲーと違い、"フィジカルの強さ"のような概念が存在しません。
例えばApexのRas選手と同じくらいゲーム知識を持ってたとしてもエイムがその知識に追いつかない、スト5のウメハラ選手と同じくらいの攻略を有してもコンボや反応ができない、このようなことはカードゲームでは起こりえません。すべての人がSpicies選手の知識をインストールできたらそのまんまSpicies選手と同じプレイができると思います。
このゲーム性の違いは練習の仕方のヒントとなります。
FPSや格ゲーだと知識をつける前にキャラコンを体に覚えさせる必要があるので上手くなろうと思ったら必然的に練習時間を増やすことから始まると思います。
しかし、カードゲームではゲーム操作の障害は皆無なので練習時間を増やすことのメリットが他ゲーと比べかなり薄く、学んだ知識はそのまま使うことができます。
その為、線形的にしか増加しない練習時間よりも練習効率を改善した方が手早く強くなれると思います
カードゲームにおいて、
周りと差をつける ⇔ 練習効率を改善する
これは特に初中級者の方は覚えておいてほしいです。(十分に練習効率を高める努力をした場合、次点で量ももちろん大事なってくると思います。量と質どちらも大事だけど、どちらかというなら質という話)

2.2.1 練習方法考察① ~デッキ開拓~ その1

ここからは前章で挙げた4つの練習方法を1つずつ詳しく見ていきます。
デッキ開拓、つまりデッキについて知るという練習は、大会などで少しでも相手より優位なデッキ選択をできるように行うものです。
特にRAGEday1は比較的環境早期に行われる大会ということもあり、環境がまだ成熟しきっていないことも多く、運と実力がいいと一足先をいったデッキを握って一方的にコールド勝ち、みたいな状況もあり得ます。
自分がそういう風に勝つ、又は対戦相手にそうされないようにするためにもいろんなデッキを知る練習はしといて損のないことなのかなと思います。

カードパックリリースから1週間くらいは新しいデッキを知ることだったりそのデッキの強いムーブを知ることだったりする期間です。
そのような時期においてどう取り組むべきかは、プロ格闘ゲーマーのときど氏から学ぶことができます。
(ときど氏は、他のプロゲーマーと比べても能力調整後や新ゲームリリース直後の圧倒的な攻略速度に定評のあるプレイヤーです)

『ゲームにおいても「短時間化」は重要な意味を持つ。長い時間ただ漠然とやっていたってうまくなるものでもないし、第一ゲームには、ゆっくりじっくり研究する猶予が与えられていない。』
<中略>
『勝利数を重ねたければ、100点を目指すことより、最速で80点を獲得することも大切なのである。
そこで、最短距離で成果をつかむために有効な手法に、「しらみつぶし」がある。』

ときど(2014). 東大卒プロゲーマー 論理は結局、情熱にかなわない PHP新書

これは格ゲーについて扱った話ですが、もちろんカードゲームに置いても"しらみつぶし"が真理の一つであることは間違いないと思います。

デッキ開拓の基本的な方法としては、
1.自分でデッキを作ってみる(この方法は基本的に失敗することがかなり多いが成功時のアドバンテージが高い。つまり偏差が高い。)ことと、
2.twitter、youtube等で情報収集することがあげられます。

基本的には定期的に開かれているJCGという大会のトップ16プレイヤーのデッキは2~3戦でいいので、全部試すようにした方がいいと思います。結果的にしらみつぶしが一番効率いいです。また、環境序盤はレートがないのでランクマの連勝報告で上がったデッキも積極的に試した方がいいと思います。JCGの結果をいちいち見るのがめんどくさいという人は、ツイッターにて毎回主要大会の結果をまとめている方がいるので積極的にフォローしてみましょう。

↓こんな感じでいつもわかり易くまとめてくださっている。

フォローし得な方たちの紹介
・じ(@dimochi222)さん
・^D^(でぃー)(@d__sv)さん
・Zhiff(@Zhiff_SV)さん
・ところてん(@tokoroten_sv)さん

twitterなどの情報収集は、"やるかやらないか"の結構基礎的な部分であんまり差がつきません。だからこそ、やらない理由もあまりありません。

閑話休題:チームについて
自分がこのゲームを取り組めば取り組むほど痛感することがあります。
それは、『圧倒的に攻略時間が足りない』ということです。

このコラムでは、その問題に一番手っ取り早く取り組める対策として、チームに所属するという手段を軽く扱います。
チームは、複数人でゲーム知識の共有をすることで個人の攻略負担を軽減しようという目的で行なわれているシャドバ界隈におけるコミュニティです。自分にはない発想が欲しかったり攻略速度を早めたい人は入ってみるのも一つの手段だと思います。
チームとかそういうのはちょっと...という人は、有料ですがプロのサブスクに入るのも一つの手です。入ったことないので詳しくは言えないのですが、適切な質問する能力があればたぶんきっと料金分に見合った情報は得られるんじゃないのかなと思ったりです。

自分がチームに入っていないのもあり、詳しく掘り下げるつもりはないので有用そうなリンクだけ置いておきます。
iDealの紹介とシャドバチームの入り方|reina|note
シャドバBLOG | DSAL アマチュアチーム情報

2.2.2 練習方法考察① ~デッキ開拓~ その2

この章では大会でデッキ勝ちする上での少し実践的な内容に移ります。
大会が終わったあと、"対戦相手のあのデッキ知らなかったけど強かったな...握ればよかった..."と後悔しないために、デッキ選択時にそのデッキが選択肢に挙がるくらいにはしときたいのが多くのプレイヤーの心情だと思います。この章ではそうならない為の対策を考えます。

基本的に大会で持ち込む際、強いデッキが強いデッキとして選択肢に上がらない理由は大体3通りです。

1.JCG結果などで過去twitter等で挙がってきたがパッと見て弱いと思い選択肢から排除した
2.過去twitter等で挙がってきて試してみたが弱いと思い選択肢から排除した
3.デッキをそもそも知らなかった

1は簡単に対策できます。そうならないようにしらみつぶしに全デッキちょっとでも使っとくのが安全です。
3は大会結果や連勝報告をよく見るようにした後はチームやサブスク加入で情報網を広げるくらいしか対策がありません。それでも無理なら諦めてもいい要素だと思います。(一応自分で発見できる余地がなかったかの確認はしといてもいい)

2がかなり対策が難しく、経験の要素が大きい部分だと思います。
基本的には知らないデッキを使いまくった後、そのデッキの取捨選択でミスが発生するのは仕方のないことだと思います。それほどまでには難しい能力です。しかし、だからといって改善できないことはありません。

2の対策として有力なのは、『環境終了時の反省』です。
”このデッキ弱い...捨てよ...”となることはこのゲームに割けられる時間に制限がある以上絶対にしないといけないことであり、それが偶然強いデッキだったとしても捨てるときはそんなことわからないのでしょうがないです。うんまけです。
なので、少しでもこの運要素を減らすために"なんで弱いと思ったのか?"というところから反省して、次環境へ活かしていきましょう。

例えば、DOVのセッカエルフが弱いと思ってしまったとしたら、理由としては特定ターンまでに特定のカードを引かなきゃいけないデッキを弱いと思ってしまったのかもしれません。そういう場合は、次環境以降偏差が高いデッキの評価をあらかじめ上方修正するようにしておきましょう。

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(セッカエルフ参考デッキ:《瘴気の妖精姫・アリア》をプレイすることでデッキパワーが格段に上がるが引かない時の凌ぎ方が難しい
Rumoi【Shadowverse】DOVセッカエルフ解説記事より引用)

今季(RCS環境)だったら、自分の場合になりますが、アディ前アクセラエルフの評価を明らかに間違えていました。理由としては、"とにかく序盤に顔を詰めることに専念して道中都合よく引いたラティカ開花で勝つ運だけアグロデッキ"という歪な見方をしてしまい、更にETA環境のアクセラエルフに引っ張られパスチャーも何時いかなる場合でもキープしていました。認識の幅が肝のこのゲームでこういった変な先入観が根付いてしまうと往々にして良くない結果になります(実際day2で対アクセラ下手負けした)。
この場合、反省点は、フェイス系のデッキを使うときに"ドローを繋ぐ"という意識が足りていなかった。ことと、旧環境の同じテーマのデッキにプレイマリガンを引っ張られすぎた。ことにあります。要改善です。

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(アクセラエルフ参考デッキ
karakuri1646 RSCアクセラエルフ解説記事より引用)

こんな感じで、デッキの強弱感覚は環境後に反省→検証→改善のサイクルを回すことで少しずつ育てていくものだと思います。

閑話休題:大会でのデッキ選択
大会のデッキの選択肢を豊富にしておくための対策を本章で考えましたが、実際その中からRAGEで使うデッキを2つまで絞るのは大いに悩むと思います(多強環境なら特に)。
人それぞれの考え方があると思いますが、このコラムではそのヒントとなりそうな記事を紹介します。

よく心理戦で「相手は私の思考を読んでこうするから、それに対し私はこうする」みたいな読み合いがありますが、ずっと互いに読み合っていたら無限ループで切りが無いはずです。どこまで読むのが正解なのですか?

この知識はシャドバのメタゲームとかでも役立つと思います。
例えば環境のTire1をメタろうとしたデッキを大会に持ち込もうとしたとき、そのデッキがさらに別プレイヤーにメタられないかは気になると思います。じゃあそのメタのメタをメタったデッキなら?って考え始めて堂々巡りになってしまう経験がある人は読んでみてもいいんじゃないかなと思います。

上のリンク読んだ人向け
自分の経験上、RAGEday1のk=0地点は、レート環境1~1.5週間前、ランクマ3~5日前、day1の2~3大会前のjcg環境あたりだと思っています。(経験論なので信用不可、参考程度に)
自分は人と同じデッキ使って勝ち切る自信がないのでよほど1強環境でない限りメタ嗜好になりがちなのですがプレイに自信がある人はこんな事考えなくても王道のTire1握るのが真っ当に強いと思います。

2.3 練習方法考察② ~勝ち方の確立~

この章では、"自分のデッキを強く使う"ことを意識した勝ち方の確立を効率よく行うための練習について考えてみます。
自分のデッキを使う際にそのデッキがどうやって勝つかを知っていないとプランが立てられません。また、デッキによっては使い込まないと思いつかないようなコンボやリーサルパターンなどがあると思います。
"自分のデッキを理解する"ことは環境のカードパワーが上がり、できることが増えるほど大事になってきます。

↓RCS環境の扱いが難しいカードの例(他にも無数にある)

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"効率良く行う"と言ってみたものの基本的にはこういった事柄は泥臭く地道に試合毎に思考を重ねることしかないです。

できることの数少ない例を挙げるとすると、環境の中で使用率の高い強いカードなどの効果の中にあまり目立たないものなどがあれば積極的に悪用していきましょう。
例えば、今季RCS環境なら《万緑の回帰・ラティカ》の8プレイ時に自動進化する効果を活用すると、そのターンの進化権を他のことに回せるため1ターン中に出せる打点の量が上がります。このようなデッキの"裏技"的なムーブは調べるとそこそこ出てくることがあるので、探してみるのもカードゲームの楽しいところなのかなと思います。
↓《万緑の回帰・ラティカ》の効果を活用したリーサル

また、2.2.2でも少し言いましたが自分の思いつかないような事柄は大抵何時までたっても一生思いつかないので、人に聞いてみるというのもかなり大事なことです。
これはこの章の内容以外にも言えるのですが自分がなかなか勝てないデッキが他の人から評価されていたりした時があると思います。その場合、チームなどのコミュニティに入っていたならその人だったり上手い人のプレイを積極的に見るようにした方がいいとです。コミュニティに入っていない人はプロがよく配信を行っていたりするのでそれを覗きに行きましょう。
人の意見を聞くことが一番効率良く新しい価値観を吸収する方法なので、上手く活用していきたいです。(多用しすぎると自分の考えを持たなくなったり他人がどこまで考えているかの運ゲーになったりする点は注意)

2.4 練習方法考察③ ~枚数調整~

3つ目の練習として、枚数調整の段階について気を付けることを書いていきます。ただし枚数調整に関しては人によってかなり差があり、それ故そこに優劣をつけることが非常に難しい。また僕自身も経験論的要素が強い分野だと考えている為必然的に基本的なことだけ扱います。

このShadowverseというゲームでは、ある程度主要デッキが固まった環境中期以降、メタゲームが活発に回っていき、テーマは同じでも1週間前のデッキとは全く様変わりしてしまう。ということが珍しくありません。
このようなことが起きる理由としては大きく以下の2パターンです。

・単純にそのデッキテーマと相性のいいカードが新たに発見された
・メタゲーム上で優位に立った別デッキを対策するために特定カードが積まれ(削られ)始めた

デッキの細かいカードに関しては人それぞれ個性の分かれる領域であり、勝つ為に自分の思う最適なカードを入れる人もいれば、自分のある種オリジナリティを出すために個性的なカードを入れる人もいるかと思います。
僕個人としてエンジョイの立場で言えばこういう楽しみ方は人それぞれ大事にしていくべきだと思います。
しかし、競技的に大会に出るのであれば、所謂"テンプレデッキ"のデッキ40枚それぞれのカードがどのような理由で積まれるようになったのか、などは上の2点を踏まえたりをして自分なりの理解を持てるといいのかなと思います。

2.5 練習方法考察④ ~対面ごとの大局観~

「大局観」とは、具体的な手順を考えるのではなく、文字通り、大局に立って考えることだ。パッとその局面を見て、今の状況はどうか、どうするべきかを判断する。
「ここは攻めるべきか」「守るべきか」「長い勝負にした方が得か」などの方針は、「大局観」から生まれる。
複雑な状況で決断を下す時は、この「大局観」で無駄な「読み」を省略でき、正確性が高まり思考が速くなる。

羽生善治(2014). 大局観 自分と闘って負けない心 角川新書

最後の章は、大局観について考えていきます。羽生棋士の本の一部を引用しましたが、「大局観」という言葉は僕が語るよりこの文が本質をついていると思います。"戦略"と言っても差し支えないでしょうか?この大局観が身についている人と身についていない人では勝率に大きな差が出ると感じてます。では、この大局観を身につける方法を考えます。

対面のデッキに対しての大局観を醸成する上で一番重要になってくるのは自分のデッキの基本となる勝ちパターンをしっかりと描けているかどうかです。これに関しては2.3で扱いました。
基本的には、対面のデッキにどうやって自分が使うデッキの強い部分を押し付けるかを考えましょう。その過程で、自分の理想のプランを遂行する上で弊害となっている相手のカードや立ち回りを見つけるのがいいと思います。

問題の発見ができたら、それに対する解決の仮説を立てて検証していきましょう。
問題発見→問題解決をたくさんこなすのが肝要です。

「相手のこのカードがきついのは〇〇を引かなかったから?じゃあ○○を持ってみよう。」
「中盤の面が強くてよく押し切られる...じゃあ相手の面を狭くして面を強くするターンを減らそう」

など、間違っててもいいからより多くの仮説を立て、それを検証して自分のプレイに反映させるというサイクルを高速で回していきましょう。
そうするとより完成度の高い対策ができるようになるのではないかなと思います。問題発見にあたってのコツは他にも、

1.対面のデッキ視点で何がしたいかを考えてみる
2.他の人にこの組み合わせをどうしているのか聞いてみる

などいろいろなことが考えられると思います。

(注)
”この対面の大局観は○○だから絶対○○する!”みたいな凝り固まった思考にはなるべくならないようにした方がいいのかなと思います。羽生棋士の言葉にもありますが、大局観はパッとその局面を見て"なんとなくこうするだろうな"となる手を思いつけるようにするために身につけるものです。
その手が間違えていたり重要な部分を見落としている可能性は十分考えられるので余程慣れていない限りは直観で"なんとなくこうするだろうな"となった後は、浮いた時間を使って"本当にそうなのか?"と別の手を考えて検証したほうがいいです。その方が一試合当たりの思考量も多くなり成長も早くなると思います。

最後に、大局観を考える上でかなり勉強になりそうな動画を置いておきます

閑話休題:仮説思考
大局観の章でも軽く取り上げましたが、"仮説思考"についての紹介です。
仮説思考とは、「まだ十分な材料が集まってない段階から、自分なりの"仮説"を立て、それを検証していく」という思考法のことです。対義語は"網羅思考"、つまり「できるだけ多くの情報を集めてから物事の本質を見極め、さらに、そこで明らかになった問題に答えを出すために、また必要な情報を集める作業を繰り返す」思考法です。
限られた情報をベースに、人よりも早く正確に問題点を発見でき解決策につなげることのできる仮説思考はゲーム攻略にとって非常に有用なので試してみるのもいいのではないでしょうか?

以下 引用:内田和成(2006). 仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法 内田和成の思考

新人コンサルタント時代、私は「枝葉の男」と評されていた。細かい分析は得意だし、ちょっとしたアイデアをすぐ思いつく。一方で、肝心の問題全体がどんな構造になっていて、どの課題が最も重要であり、そこから手をつけて解決を図るべきだというような大きな話、すなわち幹の話が作れないでいた。幹がなくて、枝葉ばかりというわけだ。思いつく限りの課題をすべて順番に力任せに検証したり、問題をあらゆる角度から分析しようとし、関連する情報を網羅的に収集したりしていたために、問題の本質を見極めるのに膨大な時間を必要とした。費やした時間の割に成果が出せない。いや、問題の本質に到達する前に時間切れになったことさえある。これではいけない。仕事のやり方を変える必要があると痛感した。
閑話休題:負け試合からの反省
リプレイの反省について、書く機会がなかったのでここで書いておきます。
特定ターンのムーブが良くわからなかったり、自分のカードの引きがいいはずなのになぜか相手にやり込められて負けてしまった場合はリプレイを見るといいと思います。特に後者の場合において、注意してみてほしいのが1~3t以前の再序盤で別択がなかったかどうかです。
これは中盤のミスはミスの発生から問題発生が速い分気づきやすいのに対して、序盤のミスは後々になって影響してくるので気付きにくいからです。
序盤はppのくっつきが少ないので全択を検証してみましょう。
また、前の〈閑話休題:仮説思考〉でも触れましたが、”この試合になぜ負けたのか”という問いの答え(仮説)を考えてからリプレイを見るだけでも反省点が浮き彫りになる場合が多いです。

3.1 先人たちの記事紹介

この章では意欲ある人に向けて個人的おすすめ記事を列挙していきます。人によって合う合わないあると思うので量重視です。また、思いついた順で追加してるので番号の序列に意味はないです。もちろん全記事無料です。

1.シャドバプロがシャドバの練習方法について扱っている数少ないコンテンツの1つです

2.いい記事だと思います

3.こういう考えもあるんじゃないかなと思います

4.いい記事だと思います

5.読み物として面白いと思います

6.こういう考えもあるんじゃないかなと思います

7.こういう考えもあるんじゃないかなと思います

8.いい記事だと思います

9.ジャンルは格ゲーですがカードゲームにも通じると思います

10.大会などのメタゲームの参考に

11.ジャンルは格ゲーですがカードゲームの大局観にも応用できると思います

12.あくまで確率論ですが参考になるかもです

13.後半はMTGプレイヤーにしかわかりませんが前半はカードゲーム全般に通じることを言ってると思います

14.こういう考えもあるんじゃないかなと思います

15.知っといてもいいんじゃないかなと思います

16.ハースストーンの記事ですがシャドバにも応用できると思います

17.環境が少し古いですが反省の仕方という面でこの記事も参考になると思います

18.こういう考えもあるんじゃないかなと思います

19.Lvs | RyuさんがRAGEファイナリストになったときの調整の過程をブログで書いてくれました

20.格闘ゲーマーであるウメハラ氏とふーど氏のラジオ企画での話題です。
ふーど氏の「ゲームやってる時間が2時間だったら俺余裕なんですよね。」という言葉が印象的でした

21.カードゲームでよくある”勝つ為にはTire1を使えばいいじゃん。”という言説に対しての1つの反論です
環境を精査した上でその時1番強いデッキを握っている自信はあるんだけどなかなか勝てなくて悩んでる人は読んだ方がいいかもです

22.21の記事を受けて書かれた、”ただ創造性に寄りすぎてそれが目的になったら良くないよね”っていってる記事です
自分のオリジナルデッキに自信を持ってるけどなかなか勝てなくて悩んでる人は読んだ方がいいかもです

23.こういう考えもあるんじゃないかなと思います

24.こういう考えもあるんじゃないかなと思います

25.記事書く上でめっちゃ参考にしました。こういう考えもあるんじゃないかなと思います

3.2 参考文献

本記事を書く上で(大なり小なり)参考にした本です。
前章の記事で満足できなかった方は読んでみてもいいと思います。

東大卒プロゲーマー 論理は結局、情熱にかなわない ときど
大局観 自分と闘って負けない心 羽生善治
決断力 羽生善治
勝負論 ウメハラの流儀 梅原大吾
達人のサイエンス 真の自己成長のために ジョージ・レナード
仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法 内田和成の思考 内田和成

3.3 おわりに

ここまで約1万2千字の文章をブラウザバックせずに生き残った数少ない読者の皆様へ、この章で本記事の結びとさせていただきます。

読者の人の中には「こんなにやらなきゃいけないのか...」と思われた方もいるかもしれませんが全然そんなことはないです。本記事の主題は"エンジョイ勢が楽して勝ちたいならこんな練習の仕方がいいんじゃない?"ということなので、まずはどれか1つ自分の好きなデッキから上手くなるための努力を始めてみるといいんじゃないかなと思います。
書いといてなんですが自分も全部はやっていません。やる気と時間に応じてコスパよさそうな努力をやってるに過ぎないです。レートで本気で結果を残そうとするなら別ですが、そうでないなら、かいつまんで自分に合った"楽しい努力"をやってみてください

noteの投稿は自分にとって初めての経験で、この記事を書こうと思ったのは正直気まぐれな部分が多いのですが、それでもこの記事が一人でも多くの読者の糧になることがあったら筆者としてこれ以上の喜びはありません。また何か気まぐれが起こったら次の記事も投稿するかもしれません。

この記事の作成に当たっては、初中級者に網羅的に効率の良い練習法を伝えることができたらなという思いで執筆していきましたが、どう考えても1つの記事ではShadowverseの上達法を完備できるわけない(何より記事が無駄に長くなる)ので関心のある人がいろいろな情報に手早くアクセスできるような”導線”となることを目指しました。
記事への質問、反論、感想、誤字報告などがありましたらtwitter(@shikuro_sv)のほうに寄せていただけると返信ができると思います。
また、記事が良かったなと思ったら是非twitterの方でいいねリツイートお願いします...!
かなりカロリー使って書いた記事なので不躾ながら投げ銭を設定させていただきました。僕の本代になります。よろしければ是非! 

長くなりましたが、"エンジョイ勢の為の上達講座"ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。

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