Sai☆Magica
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種書き
統合任務部隊の主力は陸上自衛隊だが、実際はもっと大きな規模の部隊であり海上自衛隊の護衛艦が洋上を警戒し、また市内周辺の空域は航空自衛隊第7航空団の戦闘機がローテーションにより、2機編隊で戦闘空中哨戒(CAP)を行っている。洋上や山岳、森林部上空を飛行して市内への侵入を図る場合は護衛艦または戦闘機が迎撃する手はずになっているが、大抵は市街地など人口密集地上空を通るため迎撃できず、市内への侵入を許してしまっており、陸上自衛隊神浜戦闘群が対処する羽目になっている。
作中の自衛隊は石安政権によって防衛省そのものの改革、特に装備調達のシステムが改められており、航空機や走行車両の充足率が高い。
装甲車"APC"や攻撃ヘリは新型の調達が進められており、西部と北部の方面隊にはAH-1ZとパトリアAMV(三菱MAVの制式化と実戦配備までの繋ぎ、三菱MAVの実戦配備後は予備装備に)が配備されている。
ただし、神浜戦闘群には96式装輪装甲車や軽装甲機動車、AH-1Sコブラが優先的に配備されている(使い慣れた装備の方が隊員にとって信頼できる、という陸幕の判断)。
モノローグ
今でも覚えている、世界が変わって間もない日。妹が姿を消したあの日を……。
後に〈魔女〉と呼ばれるようになる化物が街に現れ、死と破壊が街を埋め尽くし非常呼集がかかる中、自分は善通寺駐屯地の旅団司令部で各地からもたらされた錯綜する情報を整理するだけでは足りず、自分も偵察隊に同行して情報を集めるために装具と武装を整えていた時だった。
自分が仕事とは別に使っている私物のスマートフォンに1通のLINEが入った。
『兄さん、私は神浜に行きます。自分が救われたいからではありません、自分の過ちを償うために』
登場人物
(オリジナル)
長江 菜
主人公・耕(おさむ)の妹。
私服はよっぽどのことがない限り常に着物。
ボブカットの黒髪に、アホ毛が特徴。背丈は153㎝。
ある時〈魔女〉と魔法少女の戦いを知り、その戦いが人知れず行われ魔法少女や多くの人が犠牲になっているという現状に憂いと怒りを覚え『すべての魔女を結界から引きずり出し、それに関わる全てを人間に認知できるようにして欲しい』とキュゥべぇに願う。
しかし、その直後に魔女の正体を知り魔法少女たちを追い詰めてしまったと、後悔する。
謎の少女から「神浜に来れば魔法少女は救われる」と告げられる夢をみて独自に調査のために書置きを残し神浜市に向かう。
(非公開情報)
外見のモデルは「ネギま!」の宮崎のどか(性格は似てない)。
倉成美鶴(クラナリ・ミツル)
プロフィール
第二部から登場。
菜の同級生で非常に偏屈な魔法少女。
徳島市内を中心に活動していた。
性格
性格ははっきり言って人間のクズ。人としての取り柄がほとんどなく、私生活はズボラで学校の成績もよろしくない。
成績が悪いのは努力するのをめんどくさがっているため。
しかし、魔法少女としての戦闘能力は別格。
勉強の成績は中の下で、実は学力の面では はぐむ や時雨にも劣る。
一方で、気に入らない相手や嫌いな人間への嫌がらせやイジメを敢行するための技術や知識に関しては別で、P.B.やネオ・マギウスの魔法少女を相手に戦闘中、相手の衣服が損壊するなどしてあられもない姿になったり、相手を捕まえて無理やり服を脱がせてその様子を撮影し、晒し者にするために、メカの類が苦手何も拘らず違法なポルノサイトへのアクセスや身分を特定されない方法を独自に構築してアカウントや回線を構築するなど、歪んだ面での行動力の高さが見える。
自衛隊
長江 耕(ながえ おさむ)
(27歳)
階級 3等陸尉
所属 神浜戦闘群本部情報隊 小隊長
徳島県出身。
小平学校の心理戦防護課程を卒業している。
神浜に派遣された、戦闘群の情報将校として自衛隊が独自に進める魔法少女に関する情報収集を命じられる。かつては第14旅団第15即応機動連隊連隊本部付の情報幹部だったが、妹である菜の思想と彼女が遺したメッセージを頼りに、神浜戦闘群に情報幹部として志願する。
島崎和彦
年齢は26歳(耕より年下だが、お互い相手の年齢を知らない)
2等陸尉
普通科 小隊長
耕の一期上、すなわち久留米幹部学校の先輩。
防衛大学ではなく医大を卒業したが、最終的に医師免許は取らなかった変わり者。いわゆるU幹である。
知り合ったのは配属先の善通寺駐屯地で、どちらかと言えば幹部自衛官としての先輩というところ。
学歴からみて畑違いの仕事(医大なら衛生科を希望した方が、筋が通っている)をしながらも幹部自衛官・小隊長として部下を良く掌握しており、その手腕や指揮官としての振る舞いは様になっている。
このことから長江がはよく助言を求めており、彼もそれに応えている。
きわめて柔軟かつ果断な性格の指揮官であり、ある意味長江の理想。
無能な上官には厳しいが後輩や部下にはかなり柔らかく気さくに接している。
野戦指揮官としては、きわめて有能。
プロット
(第一話)
同じ街に住む魔法少女から「魔法少女は救われる」という噂を聞き事の真偽を確かめるために神浜に向かうことにした いろは。そんな時、ソウルジェムに魔女の反応が。
車内に現れるサンショウウオ型の使い魔。襲われる乗客。
騒然とする車内。
変身した彼女は、魔女の立て籠もる車内に向かい交戦を開始。
魔女は車体の天井を破壊し、戦いの場は列車の屋根に移った。高速で移動する列車の上で魔女と戦う いろは。近隣住民、乗客、そして運転手の連絡で警察や県の防災課、そして自衛隊のヘリまでもが集まって来た。
ヘリコプターのカメラが列車の上で戦う魔女と魔法少女を捉える。
緊急出動した自衛隊のUH-2には機銃が積まれていた。
キャビンのガンナーの無線。
「こちらOO(コールサイン)。車上に〈魔女〉….いえ、未確認生命体を確認。今なら撃てます。射撃許可を請う。送レ!」
『こちら司令部。OO、流れ弾が周辺及び乗客にあたる可能性があるため許可できない。送レ』
ガンナーは毒づいた。
「こちら〇〇。了解、監視を続行する。交信終わり」
ヘリの接近に気を取られたのか、魔女と魔法少女たちの戦いは魔法少女が優勢になっていった。不利だと悟ったのか魔女は結界を展開し、いろは もそれに巻き込まれてしまう。
結界が身を隠すことから移動手段に代わっている結界に いろは を乗せたまま飛翔。雲の上まで上がったところで いろは の攻撃を受け降下し、そのまま神浜駅に墜落した。
魔女の動きを追跡していた自衛隊は墜落地点に神浜市に展開する部隊を差し向ける。上空にはヘリが展開し、サーチライトで墜落してできた駅の大穴を照らし。ビルの周辺には軽装甲機動車や高機動車が展開。車両のドアが開き、降車した陸上自衛隊普通科の一個中隊が建物を包囲した。
1個小隊が周辺警戒に付き、中隊長の指揮下で2個小隊が建物に突入する。
89式小銃に田村装備開発製のタクティカルバンドで取り付けたフラッシュライトで建物内を照らしながら突入。階段を上り、魔女が落ちたとされるフロアに到達した。
フロアに到着した2個小隊は自動小銃や機関銃で魔女をけん制しながら、隙を見て84mm無反動砲と110mm携帯式対戦車榴弾を使用し魔女にとどめを刺した。
魔女との戦いが終わった直後、いろは は目を覚ました。気付くと自分が完全武装の自衛官たちに包囲されていることに気付く。法的には魔法少女は銃刀法違反を犯していることになるので逮捕されても仕方がない。このままでは拘束されて警察に引き渡されかねなかった。
そうでなくても顔を見られたら不味い。
衣装のフードを深めにかぶって何とか顔を隠そうとする。
包囲する隊員たちが小銃を構えフラッシュライトで二人を強く照らす。
「武器を捨てて顔を見せなさい!」と強い口調で指揮官が警告する。
どうすべきか逡巡していたところ。
その時、新たな魔女〈砂場の魔女〉が出現。侵食型の結界が展開され、フロアが忽ち砂に満たされる。
隊員たちの意識は咄嗟に魔法少女ではなく、新たに出現した魔女に向いた。
魔女に対して一斉射撃が行われ、魔女の身体を構成する砂が派手に飛び散るが、効果は見えない。強力な火器は先程使い果たしたため、手詰まりだった。
銃撃しながら後退する隊員たち、通信士が背中に背負った携帯式無線機1号の送話器をとり必死に状況を報告するが魔女の攻撃により何人かの隊員が吹き飛ばされる。
いろはも戦闘に加わるが手ごたえがない。
そんな時、スリットの入った青いワンピース、白い胸甲、腰まで届く艶やかな黒髪に髪飾りに付けられた で顔を隠した、いろは達よりかなり年上と思われる魔法少女が現れた。
魔法少女は自分の獲物である槍を無数に出現させると、それを砲弾のように魔女へと突っ込ませた。
ハリネズミのようになって力尽きる魔女。
結界も消失し、砂も消えた。
自衛官たちは部隊の損害確認や負傷者の手当てを行う中、その魔法少女は呆然とする いろは に声をかけた。
「何をしているの!?早く逃げるわよ!!」
その声に我に返った いろは は黒江の手を引いて走り出した。気付いた自衛官の何人かに銃を向けられ「止まれ!」と警告され威嚇射撃もされたが魔法少女の身体能力を生かして走りフロアを脱出する。
通路を走っていると曲がり角から飛び出してきた一人の自衛官とぶつかった。その衝撃でフードが脱げてしまった いろは。小銃を向けられ警告されるも逃げきる。
前を行く年長の魔法少女が窓を突き破って向かいのビルまで飛んだのを見ると、いろは もそれに続いた。
自衛隊のヘリを何とか撒いた2人。いろは を助けたこの街の魔法少女――七海やちよ と名乗った――にバス停まで案内され、そこで一段落して彼女からこの街の説明を聞いた。
約半月前に、どうゆうわけか世界中で魔女たちが結界から引きずり出され、普通の人間にも認識できるようになってからという物、魔女たちが全国からこの街に集まっている。
政府は魔女を駆除するために災害出動を決定。
総員8,500名の掃討部隊〈神浜戦闘群〉が編成されこの街に集結しており、魔法少女たちも彼らの目を避けながら厳しい状態で活動していることを告げられる。
いろは はダメもとで「神浜に来れば魔法少女は救われる」という噂について知らないか?と尋ねるも答えはNOだった。
その後、神浜は地区ごとに魔法少女の縄張りが厳しいので、今度来たらタダでは済まさない。と やちよ から警告された いろは は、来たバスに乗り帰路についたのだった。
一方こちらは神浜駅。
自衛隊と警察による合同の現場検証が行われる中、一人の自衛官が現場となったフロアに入って来た。他の隊員と同じく防弾チョッキに鉄帽。手には小銃。眼鏡をかけた冴えない青年だったが、襟の階級章は横線に桜星が一つ。三等陸尉だった。脚のホルスターには新しい9mm拳銃 H&K FPS9が収まっている。
彼の名は長江耕(おさむ)、戦闘群本部情報隊に所属する情報将校だった。
普通科小隊の小隊長から、先ほどの戦闘について話を聞いた耕(おさむ)はその中でも彼らが遭遇した2人の魔法少女についてより詳しく聞こうとした。本部情報隊の任務は街の地理や気候、交通状態など様々だがその中でも彼の受けた任務は特殊だった。彼の任務は特殊な人的情報の収集、すなわち〈魔法少女〉についてだった。
小隊の指揮官は彼に、先ほど逃げる途中の魔法少女とぶつかったことを逆に尋ねてきた。
「顔を見たのか?」
「ああ…」
「どんな感じだった?」
「僕の妹と同じぐらいだったよ」
そう答えた後、彼は窓の外を見ながら思った。その先には神浜の夜景が見える。
菜(サイ)。君は今、どこにいる?
世界中に怪物が現れて間もない頃、自分の居た善通寺駐屯地でも非常呼集がかかり装具を整えていた時に自分のスマホにかかってきた一通のLINEメッセージ。
「私は愚かな、過ちを犯しました。私は神浜へ行きます。自分が救われるのではなく、魔法少女たちへの償いのために」
最初は意味が分からなかったが、神浜戦闘群の編成に伴い自ら志願してこの街にやって来て、少し意味が分かった気がした。
妹はこの街に居る。
第2話
上
いろは達と遭遇した翌朝。朝礼の後、長江は情報隊隊長の深見2等陸佐に呼び出される。
深見2佐は彼に新しい任務として神浜市内にて確認された『魔法少女』の追跡とその実態調査を命じられる。調査においては12名の普通科隊員からなる分隊を指揮することが認められた。
彼らを率いて市内に出撃する長江。編成は12名の隊員と彼、車両は高機動車1,1/2tトラック(パジェロ)1、軽装甲機動車1。
車窓から見える景色は異常だった。自分たちは完全武装で、街をパトロールしているが、市内の人々は当たり前のように街を行き来し日常を過ごしている。みんな町が危険な状態と言うことはわかっていた。しかし、生活の基盤も仕事場も街にしかない。街から逃げる小童人は少数派だったのだ。内戦下の異国の町もこんな感じなのかと思ったりした。
一方で先日、やちよ に助けられる形で街を後にした いろは。小さなキュゥべぇに触れたことで自分の失った記憶を思い出し、彼女はその真実を確かめるためにもう一度、神浜に来ていた。
先日のこともあり、小銃を手にした自衛官たちが警戒する神浜駅を出て、バスに乗った。
バスが渋滞で止まった時だった。どこからともなく表れた魔女が車列に襲い掛かりバスが横転。車を捨てて逃げる人々の混乱の中で、魔女を倒そうと彼女は変身した。我先に逃げようとする人々の混乱の中で変身に気づいた人はいなかった(いたとしても顔を見たものはいまい)。片腕に着けたおもちゃのような見た目のボウガンを構え、魔力でできた光の矢を放ち応戦。先日やって来た時に交戦した個体とは違うが手ごわい。あの年上の魔法少女が言っていた通り、この街の魔女はやはり強かった。ひるませるだけでも精いっぱいだ。直後にこちらに向かってくる複数のエンジン音。そして、自動小銃の銃声を聞いた。
付近を走っていた、長江の率いる情報小隊は通信を受けとるまでもなく、爆音とともに事態を察知し駆け付けた。
パジェロに取り付けられた12.7㎜機銃が火を噴き、魔女を牽制。さらに、長江は降車戦闘を命じ分隊の戦闘指揮を熊野曹長に任せると、自分は無線機をひっつかみ状況を報告し駐屯地に増援を要請した。警務隊の車両による先導のもと駐屯地から16式機動戦闘車(MCV)を含む相応機動部隊が出動。到着までの間、何とかここで食い止める必要が出た。
長江は熊野に機を見て110mm携帯式対戦車榴弾(LAM)による攻撃を指示する。
しばらくすると、魔法少女はさらに3人増えていた。計4人の魔法少女と陸上自衛官12名。熊野は側面に回り込み、彼女たちを射線に入れないように指示する。
程なくして「魔女」の動きが止まった。
長江は腕のいい隊員に命じてLAMを発射させる。4発以上のLAMが命中し魔女は消滅した。素直に自分たちの戦果だとは喜べなかった。魔法少女たちが居たからこそ、魔女の動きを止められたのだから。
魔女の消滅と同時に増援部隊が到着し、周辺の閉鎖を行った。建物の中に隠れていた人々が逃げ出して阻止線に殺到。展開部隊の指揮官は負傷者の救護を命じた。
自衛隊と魔女との戦闘に乱入する形となった魔法少女のチーム かえで、レナ、ももこ の3人。自衛隊の持つ火力の予想以上の威力に舌を巻きつつも、増援部隊の到着とともに逃げようとする人々に交じって現場を出ようとしたところ、自分たちより先に戦っていた魔法少女が気絶しているのを発見。彼女の変身は ももこ が気づくと同時に解けた。レナは置いて行こう言うものの、面倒見のいい彼女はそんな気にはならなかった。
かえでとともに彼女に肩を貸すと、避難者に交じって逃げようと試みる。しかし、途中、駆け付けた救急隊員とともに手当てをしていた自衛官たちに見つかってしまう。
当の自衛官=長江は全くの善意から、彼女らを呼び止めぐったりしている いろは を見て手当てしようと呼びかける。
面倒なことになると思った、ももこ は下手な言い訳をしてその場を逃亡。長江は追いかけたものの角を曲がったところで見失ってしまった。
ももこ達はとっさに魔力で身体能力を強化し、近くの建物の屋根に飛び移ったのだ。彼女たちを見失った直後、長江はあることに気づいた。彼女たちの背格好は先ほどまで戦っていた魔法少女たちにそっくりなことに。もしや、と思い、彼は駐屯地に帰投すると、彼女たちが来ていた制服から学校を割り出そうと試みた。
中
長江を撒いた直後、ももこ 達は いろは を調整屋に運び込んでいた。
目を覚ました いろは に ももこ達は状況と調整屋について説明。
いろは も自分がこの街に来た理由を話した。
事情を聴いた ももこ は自分たちも捜索を手伝おうと申し出るが、同じチームのレナが渋った。ただでさえ、魔女が結界から引きずり出されたかと思えば、常人にも認識できるようになったので自衛隊も出張ってきているのだ。よそ者に付き合うのはリスクが高いと。
また、彼女たちは未確認の魔女と思われる「鎖の怪物」を追っている途中だった。
しかし、もう一人のメンバーである かえで も いろは を手伝おうと申し出たため渋々いろは の妹を探すのを手伝うことになった。
病院を訪れる いろは。しかし、受けつてで話を訊いたものの、「そのような患者の記録は無い」と言われる。
病院からの帰り道、(か・も・レ)3人が行きつけのバーガーショップに寄り いろは の事後報告。変身魔法をつかえるレナが病院内部に潜入して情報を集めることを かえで から提案されるが、当のレナはリスクが高いことを理由に(もろ不法侵入)嫌がる。
かえで から「どうでもいいことにだけ魔法を使うくせに!」と非難され口論になりついには絶好宣言までしてしまった。
喧嘩別れした直後、いろは は ももこ に〈鎖の怪物〉について尋ねた。
ももこ は『絶交階段のウワサ』について説明する。
結局、この日はなし崩しに解散となってしまい、いろは 宝崎市に戻った。
一方、駐屯地では長江が不審な中学生4人組のことを深見2佐に報告。報告を聞いた深見2佐は彼に引き続き調査を命じた(ただし、警察官ではないのでその権限に限界があることから、くれぐれも越権行為や問題になりそうな行為は控え慎重に動くように釘はさした)。
その後、インターネットを使い市内の女子高のサイトを片っ端から検索して調べ周った。(ほかの情報科隊員や幹部からは不審な目で見られたが気にしなかった)。検索してすぐにヒット、あの4人のうち3人は神浜市立大付属女子の生徒だと分かったが肩を貸されていたおさげの少女についてはわからなかった。市内全ての学校の制服を検索してもヒットせず、市外から来た学生と考えた。
翌日、再び神浜市にやって来た いろは。駅で いろは は ももこ・かえで と合流する。
あれから、レナは学校に来ていないという。3人で手分けをして探すことにした。
一方、4人のうち3人の身元を突き止めた長江も小隊を引き連れて3人を捜索。もし接触できれば、なるべく穏便に話だけを聞こうと考えていた。
当学校の生徒が立ち寄る場所を重点的に捜索。そして、レナの立ち寄り場所を片っ端から探していた いろは、ももこ、かえで の三人が行きつけのアミューズメント・パーク(ゲーム・センター)に入ったところで長江たちもそこに但り着いた。
〈魔女〉の発生から、非常事態宣言が発令され全国で外出制限やこうした娯楽施設での営業時間短縮が行われている。学生が集まるゲームセンターも例外では無く、5時にはすでに閉店に入っていた。
来場者のほとんどが女子学生の中に自動小銃と迷彩服を着た自衛官が入ると目立つ(こういうところは、私服警官が羨ましい)ので、閉店を待って店の前で車両を止め待機。
市内で武装した自衛隊車両を見かけるのは当たり前になったので、娯楽施設の前に停車させても不審に思わなかった。
ゲームセンターが閉店し、来客として来ていた若者や女学生たちがわらわらと出てくる。
追いかけていた、4人の姿も見えた。
レナを楓、ももこ、いろは の三人が追いかけていくように見えた。
鎖のバケモノ=「絶好階段のウワサ」出現
それを周囲の人間も目撃、騒然となる現場。
長江たちは車両を飛び降りて駆け寄ったが遅かった。
間に合わず、鎖のバケモノ=「絶好階段のウワサ」が かえで をさらうのを目撃した。
ほどなくして警察と陸自の応援が現場に駆け付ける。
警察が謎の存在によりつれ連れ去られ不明になった少女の連れ3人――レナ、ももこ、いろは に事情を訊く。
長江もそれを聴こうとしたがシャットアウトされた。
結局、駐屯地に戻った長江は深見2佐に報告。警察が来る前に訊いておけと叱責され、2佐が手を回して警察から調書の内容を持ってきてくれた。
さすがはその手のプロだけあって、3人ともなかなか話をしてくれなかったものの最終的にそのうちの一人水波レナから事情を訊けたらしい。
といっても、その内容は参考になりそうにないもので、都市伝説――絶交階段のウワサの通り、学校にある階段の段に行方不明になった楓の名前を書いてしまったから、というものだった。
第2部
またマギウスが用いた魔女を1カ所に集める手段として人間の感情を脳波パターンとして読み取らせ、さらにそれを電波として発信することにより魔女を引き寄せられることが発覚。
これを使って全国にいる魔女を海上もしくは実弾射撃が可能な面積を持つ自衛隊の円周上に尾引寄せ殲滅すると言う方法がとられ、これによって集められたグリーフシードを、全国で保護されている魔法少女に供給する体制を確立することが決定される。
同様の魔女殲滅プランが各国でも取り入られ、採用されることになり人類と魔女との戦いは新たな局面を迎えようとしていた。
(原作8章)
プロミスドブラッド(以下"P.B")との抗争は、首謀者である紅晴結奈の自首という形で幕を閉じた。
市長令嬢で学校の生徒会長すら務める才女が殺人と重要施設への襲撃を含む、凶悪事件を起こした魔法少女グループのリーダーだったという事実はセンセーショナルなものとなった。
結菜は一連の騒ぎの責任を取り、メンバー全員の角を自分1人が被ることを決意彼女のために開かれた公判でも「P.Bのメンバーが起こした事は全て自分の魔法によって誘導されたものであり全員に刑事責任は無い」とけじめをつけることを選んだ。
自首を選んだ時、樹里は「自首するならアタシが!」と申し出たが、結奈は笑って『あなたが事件の首謀者なんて、誰も信じないわ』と却下した。
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