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「志高く」バックナンバー⑧~ほんの少しでも~

ちょっと長い前置き

こんにちは、志高塾です。
以下は、約1年前に掲載された「志高く」の一部抜粋です。

体験授業に来られた親御様に、志高塾がなぜ要約作文から始めるのかを理解していただくために、意見作文を小学生に取り組ませてもほとんど意味が無いことを次のような例を挙げながら説明する。
「戦争がテーマとして与えられると、大抵は『私は友達と喧嘩したとき、話し合いをして仲直りをした。だから、国同士も話し合いをすれば戦争はなくなるのに』などとして終わってしまいます。そんなどうでもいい意見を書かせるのであれば、なぜ戦争が無くならないのか、その原因を考えさせた方がよほど意味はあります。志高塾では、要約作文や読解問題を通して最低限の論理的な思考力や知識を身に付けさせた後に意見作文に移行させます」

Vol.533「自事問題」より(2022年3月1日/HP掲載)

 ※全文はこちらからご覧いただけます。
Vol.533 自事問題 | 志高塾 | 西宮北口校・豊中校・高槻校 (shiko-juku.com)

自分の力など遠く及ばない問題に対しては、「考えたところでなんにもならない」と思考を放棄したくなります。「正解」は決して見つからないし、世界に影響を及ぼせるわけでもなく、なんの意味もないように思えるかもしれません。

でも。
ほんの少しでも考えた人は、考えた分だけ変わります。
考えて、ほんの少しでも動いた人は、動いた分だけ、変わります。
おそらく、考える前よりも良い方向に。

 前置きが長くなりました。今回は、内部向け「志高く」のバックナンバー(2011年4月)を再録します。

Vol.48「ほんの少し」(2011年4月/内部向け発行)

作文のテーマの中の1つに、「環境対策として何をするべきか具体的に書きなさい」という課題がありました。

新6年生の生徒が、作文の前のメモとして、「二酸化炭素が増えることが地球温暖化の一因なので、木を植える」というようなことを書いていました。これは定型の解です。
 
そこで、私が「じゃあ、どこに木を植えるの?」と問うと、メモをスラスラと書いた生徒が黙り込んでしまいました。10分以上考えた結果(その間も、いろいろなやり取りをしました)、「砂漠」を挙げました。「木が育たないから砂漠になっているのに、どうやって植えるの?」と再び質問を投げかけると、また考え込んでしまいました。しばらく考えた末、「木が育つ環境を整える」と答えました。もちろん、もっと問いかけることもできましたが、その時点でOKを出し、作文に取りかかってもらいました。
 
意見作文を書くとき、子どもたちに一様に伝えるのは「専門家じゃないから、正しいか、正しくないかは、ある意味どうでもいい。ただ、自分ならどうするかを具体的に考えなさい。」ということです。
 
ここで挙げた子どもの例は、何も特別なものではありません。ほとんどの子どもが似たような状態に陥ります。子どもたちに我々が問いかけることで、「日頃、考えていると思っていたけど、単に知っているだけで考えていなかったんだ」ということをまずは知ってほしいと思っています。他問自答することで「自分は考えていなかったんだ」と現状を認識し、その次の段階として「自分の頭で考えているか?」と自問自答できるようになればいいのです。そうすれば、日頃から、自分の周りにあふれている事柄に対して敏感になり、かつ、盲目的に受け入れるのではなく、「それって、本当か?なぜ、そう言えるのだろう?」となっていきます。
 
西宮北口教室の生徒の1人は、東日本大震災が起こったことで、大好きなおやつを1週間我慢することに決めたと教えてくれました(作文の課題とは関係なく、お母さんと約束したとのことでした)。実行できたのか、その分を募金に回したのかなどは知りません。ただ、頭で考える以上に、このように行動することは重要です。
 
以前よりもほんの少し考えて、ほんの少しでも行動に移せるようになることで、成長していってほしいと思っています。そこには、「人のために」などという大義名分などなくてもいいのです。動いてみれば、見える景色も変わってくるはずです。
 
松蔭俊輔

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