modified mRNAの研究、開発経緯
この記事は先に投稿した記事に続く、modmRNA研究のその後の経緯について概観する内容になります。
それまで抗ウィルス反応を乗り越えて、すぐに壊れずに寿命を延ばすことが研究の課題でしたが、2015年には目的のタンパク質を標的細胞で発現させる、という目標が挙げられています。
つまり安定性とともに、modmRNAが選択的にターゲットを絞り込むことを可能にしつつある状況がうかがえます。
化学合成mRNA(modRNA):心臓血管生物学と医学のための新しい技術プラットフォームを目指して 2015 Jan
さらに脂質ナノ粒子(LNP)を使った研究がすすめらた状況がありますが、これは「我々は善人だが、無知ではない!」でも言及されています。
ヌクレオシドで改変(合成)されたmRNAを脂質ナノ粒子として様々な経路でマウスに投与した場合の発現動態 2015 Nov
In recent years, in vitro transcribed messenger RNA (mRNA) has emerged as a potential therapeutic platform. To fulfill its promise, effective delivery of mRNA to specific cell types and tissues needs to be achieved.
Lipid nanoparticles (LNPs) are efficient carriers for short-interfering RNAs and have entered clinical trials. However, little is known about the potential of LNPs to deliver mRNA.
近年、in vitroで転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)は、潜在的な治療プラットフォームとして浮上してきた。その期待に応えるためには、mRNAを特定の細胞タイプや組織に効果的に送達する必要がある。
脂質ナノ粒子(LNP)は、短鎖干渉性RNAの効率的なキャリアであり、臨床試験に入っている。しかし、mRNAを送達するLNPの可能性についてはほとんど知られていない。
N(1)-メチルシュードウリジン導入mRNAは、哺乳動物細胞株およびマウスにおいて、タンパク質発現を増強し、免疫原性を低下させることにより、シュードウリジン導入mRNAを上回る。
2015 Nov
この論文では、メディアで大きく取り上げられたカタリン・カリコの業績について触れています。
The realization that nucleobase modifications can greatly enhance the properties of mRNA by reducing the immunogenicity and increasing the stability of the RNA molecule (the Kariko paradigm) has been pivotal for this revolution.
核酸塩基の修飾が、免疫原性を低下させ、RNA分子の安定性を高めることによって、mRNAの特性を大きく向上させることができるという認識(Karikoパラダイム)は、この革命にとって極めて重要であった。
カタリン・カリコについて
このようにして、現在使われる技術の開発がすすめられてきました。最後に、脂質ナノ粒子(LNP)についての2018年の論文を記載します。
治療タンパク質を発現する改変mRNAの白血球への細胞特異的デリバリーPublished: 29 October 2018
残念ながら、このように研究、開発されてきた技術は、人の健康を守るよりも、むしろ生命を脅かす脅威となっている現実があります。
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