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詩「不均衡」

私は無鉄砲で貴方は思慮深い
私はうどん派で貴方はそば派
私は裸眼でもよく見えるが
貴方は洒落た眼鏡をかける
私はブルックナーが苦手で
貴方はブルックナーを愛していた

昔貴方は無鉄砲なうどん派のフリをした
でも眼鏡をかけてブルックナーを愛す
昔私はブルックナーを聴きそばを勉強した
でも視力は保ちやはり考え無しの無鉄砲
積み木のバランスで調和の構築目指した
過去世からのすれ違いを勘定に入れずに

ある日貴方の誠実を裏切って
私は自らの影からも遁走した
時間が和解に導く前に
私の魂は自嘲の雨に打たれる
かつて傘を差し出してくれた貴方は
もう私の目の前にいない

今となってはそのしかめ面も思い出せない

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