見出し画像

詩 「潤い」

あなたは寝息を立て
あなたは頬杖をついて
あなたは悪夢を見て
あなたはため息をつく
私に何ができる
私は何も知らず
花屋の花を愛でている
じつは抱きしめたいけれど
今の私じゃだめみたい

あなたもひとりであるように
私もたったのひとりで
ずっとずっとひとりなんだ
今の私を見てほしいように
私は今のあなたを見ていたい
現と夢の山の端で
あなたの愛を受信し続けたのも
良い思い出とはまだ言えない
与えられる一方が嫌なんて
置いていかないでなんて
ひとりにしないでなんて
私はもう言わない

あなたの傷を
かわることはできないけれど
一輪の白い花、贈ります
「お見舞いです」って冗談に
あなたは笑ってくださった
あなたと私は
いつも世界を潤している
ひとつになれない我々は
ただただ世界を潤すのだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?