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詩「虚しさを食う」

少しずつの虚しさを
板チョコレートを割るように
私はゆっくり食っている
胃袋が虚しさでいっぱいになって
いつかはち切れてしまうまで
私はゆっくり食っている

絶望する人は微笑う
希望する人は涙を流す
私の表情筋はどちらともなく
絶望とも希望とも取れる喪失感が
お冷の氷を噛むように口内にしみるのみ
ただ私は全ての人の絶望に加担している

突然の吐き気
小さくて弱い胃袋がいよいよはち切れそうだ
細切れの虚しさを
一欠片も残らず空へぶちまけてしまえ
ほら、こんなに晴れた空
吐き出した暁にまた私は虚しさを食う

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