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詩 「金無垢」

蛍のように繊細な明滅を
あなたの澄み切った瞳に見た
ああ、生きている
瞳の奥にもまた瞳があって
その色は御射鹿池の静謐だった

原石のような未完成な愛に
狂気と正気の狭間に私は喘ぐ
ああ、生きている
手を伸ばせど届くことはなく
あなたは遥か遠くで微笑んでいる

焼きたてのベーグルのような
その手に自らの手を重ねたい
ああ、生きている
追えば追うほど私は逃げ腰
あなたはいつも泰然と優しい

あなたの金無垢の心は
この世界をたしかに潤している
ああ、生きている、美しい世界
私はそばにいれないから
慈雨と金風があなたに注ぐよう祈る

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