力戦奮闘 vs京都 1-1

 幸先よく先制したものの、あっさりと返され、最後はカウンター喰らって屈した水戸戦。リードする時間をもう少し長くできれば展開は変わっていたように思うが、タイスコアの状況での矢がなかった。勝点は持ち帰れず、来場特典のTポイントの2ポイントと北関東ダービーの優勝カップを抱えての帰群だった。

 流れは芳しくない中で迎える今節の相手は京都。現在2位、昇格争い真っただ中。ウタカとバイスを擁する時点で超J2級だが、この夏に福島からイスマイラが加入。あの昇格決定@福島での群馬サポの寿命を5歳縮めるゴールを決めたお方。ウタカとイスマイラの2枚は破壊力抜群だが、そこまでボールを運ぶ過程はポジショナル志向。理論に基づいた動き方をする分、ウタカとバイスで生み出される歪みによって守備が崩れていく。

 前回対戦時は、バイスのロングフィード1本で局面変えられてのウタカで先制されるも、謎の連係ミスで得たPKを大前が沈め同点。後半再びウタカに個人技で突き放されるも、大前のCKから広大のヘッドで追いついた。どっかのチームみたいにただボールを蹴って、ついでに相手選手も蹴って前進する中身のないサッカーではなく、内容のある戦いをする分、ウチとするとやりやすい。前回は水戸に勝って京都に分け、流れに乗るかと思いきや、それが奥野政権最後の勝点だった。今回は水戸に負けて京都戦を迎えるが、結末や如何に。

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 ウチは前節から2枚変更。水戸戦で足を痛めて途中交代した大武に代わり広大。前線は翔大でなく北川が久々にスタメン。

 対する京都も2枚変更。荻原→白井、宮吉→福岡。ここ最近好調を維持していた宮吉がベンチにも入っていない。

前半

 コイントスで勝った京都がエンドチェンジを選択し、ウチは前半風下に立つことになる。ニュートラルな状況でも後半押し込まれるのは目に見えてるだけに、後半ウチが風上で戦えるのは大きい。

 エンドチェンジにより、前半は兎に角耐えるしかないことが明確になる。コンパクトに保ち続け、中途半端なプレーを避けることを徹底。

 とはいえ、破壊力抜群の京都攻撃陣に対峙するのは簡単ではない。ウタカが2・3人いるのではと思うくらい随所に顔を出してボールを引き出し、緩やかにウチの陣形が崩れていき、空いたスペースができるとバイスから大きな展開で揺さぶる場面が多い。

 20分、京都左サイド深い位置でのスローインから。ウタカが左サイドに位置して掴みづらいところでボールを何回か受ける。テンポが上がったところで松田に縦パスが入りスピードアップ。白井のシュートは畑尾がブロックするが、こぼれ球を飯田が左足でシュート。角度的には失点を覚悟したが、制度が伴わず事なきを得る。

 その後もほぼ京都のハーフコートゲーム。ホーム側からは遠いところで色々とボールが行き交ってはいたが、全体の統率がしっかりなされており、大崩れせず。CKの嵐だったが、相手も強風を嫌ってかショートコーナーを多用。ニアのストーンを動かしたかったのかと思うが、そんなに捻らなくてもウチからセットプレーで得点を奪うことは造作ないはず。角度つけて時間を作ってくれた方が逆にありがたかった。

 守備に回る時間が多かったが、ボール保持したくないウチからすると、持たれるのは好都合。我慢してポジトラで上回れれば形勢はひっくり返せる。23分には相手CKのクリアから大前→久保田とつなぎ、縦に仕掛けるところで松田のカードを誘発。40分にも稔也が白井の裏のスペースに走り込み上手く身体を入れ、これもカード。仕掛ける場面では速さを見せ、相手に印象付けた。

 そして44分、思いがけない形でゲームが動く。北川が左サイドで仕掛けるもボールロスト、奪った飯田はGKにバックパス。しかし、そのボールが中途半端な強度となり、大前がプレスを掛ける。慌てた若原は滑りながら対応するも、何故か大前のいる方向に蹴り出してしまい、ボールは結果的に大前の足元に転がる。角度はなかったが、大前が左足で無人のゴールに転がして専制に成功。映像を見ると、若原がルックアップしたタイミングで一度大前が中央にステップしており、それが視界に入った若原が判断ミスに結びついているのではないだろうか。大前の最後尾へのプレスは時として相手にスペースを与えることにもなりかねないが、今日は連動して嵌めにいけていたし、それが良い結果になった。

 スコアレス上等な状況下で、想定以上の出来で折り返す。

後半

 後半は風上になるため幾分長いボールも使いやすいが、そう簡単に勝たせてはもらえなかった。

 50分、ウチのロングボールをバイスが回収して飯田へ。飯田はウタカに向けてロングフィード、そのボールをしっかりウタカが収める。オーバーラップした白井を使い、ウタカ自身は中に入らず止まる。白井が切り返して稔也が喰いついたタイミングを見てウタカにリターン。一瞬フリーになったウタカは落ち着いてコントロールし、右足を振り抜く。岩上が懸命に足を出すも及ばず、ニアサイドを撃ち抜かれた。人数は足りていたが、あのクオリティは手に負えない。今季2試合でこれだけやられると、ピーターウタカ被害者の会を設立するしかない。

 失点してリードはなくなったが、これは想定内。ここからまだ十分時間が残っている中で、選手たちの意思統一ができるかが全てを変える。勿論、勝点3がベストだが、対戦相手、そして何よりウチの置かれている現状を考慮すると高望みしてポイントを失うことは避けたい。

 60分、この試合最大のピンチ。ウチの左サイドからボールを運ばれ、ウチもスライドして対応する。すると、中央の武田にボールが渡る。武田はワンタッチでウタカに完璧な楔を入れ、自らも走り込む。ウタカが背負う間にPA内に武田は侵入し、リターンを受ける。シュートを打てる位置だったが、状況が良く見えており、大外でフリーだった松田にラストパス。松田も、落ち着きを見せてキックフェイントでウチのDF2枚を寝かせ、ファーにコントロールショット。慶記の横を抜け、絶体絶命の状況だったが、そこを救ったのは小島。ライン上で身体を張って防ぐ。その後ろでは久保田も身を投げ出しており、選手たちの執念を感じた。

 そこからも、基本的には京都がボールを持つ時間が長くなるが、ウチも翔大とKJを投入し、カウンターの鋭さを増強。なかなかフィニッシュには持ち込めなかったが、終盤には進とシラも入れ、1度のチャンスにかけた。

 90+4分、CKの流れからこぼれ球をシラが拾う。間合いを空けて相手の両足が揃ったタイミングを狙って加速して剥がし、厳しい体勢から左足を振る。コースは良かったが、ボールスピードがない分GKに反応されて決まらず。

 最後まで攻めに行く姿勢を見せ、上位相手に1-1で試合を終える。

雑感

 試合終了の瞬間に、スタジアム全体から拍手が起こったことが今日の試合の評価の全て。それだけ、「伝わる」ものがあった。

 良く90分耐えた。いや、形的にはは耐えたって表現になるが、自分たちでコントロールしながらプレスに行けていたし、決して劣勢に陥ったわけではない。あの失点はどうにもならんし、それ以外では全員が間延びせず中央を締め、最後の局面では身を挺して失点を回避。弾幕にあったように、泥臭い戦いをした。
 得点の場面でも、北川と稔也がパスコースを予測して潰していたからこそ、大前があそこまで寄せることができた。失点シーンの時だけはバランスが崩れてしまったが、それ以外はスライドも早く、見応えがあった。

 カウンターでもう一刺しできれば夢は広がったと思うけど、上位相手にもポジトラでは引けを取らないと分かったのは収穫。KJが持って、大外を小島が駆け上がるシーンを久々に見て胸が熱くなった。稔也のコンディションがだいぶ戻ってきたし、ここでKJの状態がさらに上向けば、いよいよウチの攻撃陣が本領を発揮する。
 終了間際に自陣で囲まれて倒されながらも倒れずに前を向いた進も見事。あれがアドバンテージすらなかったのは疑問に思うが、気持ちが伝わってくる進のプレーは俺達を熱くさせる。

 他所に目を向ければ、踏○台がどう見てもオフサイドのゴールと度重なるカンフーで首位磐田から1ポイント。愛媛はここ最近ボーナスステージの様相を呈する琉球から3ポイント。益々混沌とするだけに、ここの1ポイントの価値は大きい。それでも降格圏とは勝点2しか離れていない。この後控えている盗賊戦と相模原戦の2試合の直接対決が鍵になるのは明白。あとは、今日のようにどこまで上位陣を揺さぶって勝点を落とさせるかになってくる。

 で、一難去ってまた一難、ここでアウェイ山形。夏場の無敗が途切れて一時期ほどの勢いがないが、樺山やら山田康太やらは脅威。岩上と内田の状況が分からないが、中盤が全然いない手負いの可能性もある。多分ボールは持ってくれるので、上手く誘導しながらカウンターで突き刺せ。

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