気持ち vs金沢 1-1

 見飽きた内容で敗戦した前節。個々のクオリティが高いのは百も承知だったが、力を示されたというよりも自滅。新潟、琉球辺りほどのインパクトはなく、あの内容で完璧に近いっていう試合後の敵将の発言は納得しかねるが、負けている以上何も言えない。0で抑えようとする意識は持っているものの、先制された後の術を持ち合わせていない。かといって思い通りクリーンシートでまとめられるほどの守備が整っているわけでもない。ないものねだりは尽きないが、状況を打破しようとする動きが乏しいのが何よりも寂しい。お気持ち表明すれば改善するほど甘い現実はないし、結果で示してほしい。

 5戦勝ちなしの低空飛行で突撃する相手は金沢。こちらも仲良く5戦勝ちなし。ルカオが盗賊に持ってかれ、下川も山根もレンタルバック。極めつけは、ウチが目覚めさせた加藤陸次樹がセレッソに個人昇格。地方クラブの毎年の悩みだが、今年も骨格の再構築を余儀なくされた。
 それに伴い、今シーズンは積極的に殴り込むスタイルを試行。今まではオールコートマンツーマンで相手を無効化していたが、中位脱却を見据えてのシフトチェンジ。が、上手くいかず苦戦。序盤戦は調子の上がらない相手を退けて勝点を稼いだものの、ここ最近は停滞。

 互いに上昇のキッカケを作りたい思惑は同じだが、塩分要素の強い試合になるのは間違いない。ウチは石川西部で過去4戦4敗という驚異的な弱さ。昨シーズンも薄い内容で敗戦。今年はいかに。

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 ウチは前節から4枚変更。慶記→松原、ジャス→高木、ミツ→平尾、川上→広大。岩上がSB、内田がセントラル、稔也がRSH、高木はトップに。川上はベンチ入りしてるから重傷ではなさそうだが、後ろが足りない。進が久々メンバーに入った。

 対する金沢はスコアレスの前節盗賊戦から変更は1枚。本塚から大橋に変更。大橋と磯村の真ん中は厄介。両SBの松田、渡邊は2017-18の選手権優勝メンバー。対戦できるのも嬉しいが、いつでもお待ちしております。今年大学4年生となる同期の皆さんの加入も大歓迎です。角田(→横浜FM)、後藤田(→水戸)ってDFライン4枚全員プロになるのは恐ろしい。五十嵐(→隣)、田部井(→横浜FC)と続々決まってるし、1人くらい凱旋してもおかしくない(はず)。

前半

 映像を見る限り風下となった前半。決定力に課題を残すことを考えると、0で抑えるのはマストになる。

 ここ最近よりも選手たちの立ち位置が明確に定められていて、ボールを前に進めることはできていた。解説の松原氏も述べていたが、KJ、稔也が外に張らずに1つ中のレーンを意識することで、左の場合はSBの平尾、右は岩上ではなく内田が大外を追い越す場面が多くなる。藤村・大橋の脇を散歩する分、その2人がマークするのかSBが見るのかが定まらず、金沢の対応が後手に。よって、サイドのスペースを自由に使えた。これは去年のグリスタでの栃木攻略法としても効果的だったし、次節に向けても良い兆候。
 ただ、上手くCHを釣ってるのに、その間を刺すことができなかった。受け手が真ん中にいなかったのも要因の1つ。いくら前進できたとしても、ゴールに向かう姿勢がないと得点まで結び付けられない。

 それでも25分。スローインの流れからKJが掻っ攫ってラストパス。通れば確実に1点ものだが、カットされてチャンスを逃す。

 逆に28分、曖昧な対応から与えたCK。ゾーンの間で廣井に押し込まれて失点。ボールの精度は良かったが、誰一人として人にもボールにも反応できておらず、棒立ちに。

 展開自体は大崩れしていなかったが、1点ビハインドは重くのしかかる。一気に足取りは重くなり、パスの矢印が後ろに向く。見る側の捉え方次第だが、失点後に気落ちする雰囲気がピッチ内に蔓延るのが伝わる。

 安定のビハインドで前半を折り返す。

後半

 後半開始から金沢は左サイドを2枚替え。HTの柳下氏のコメントから、ウチの右サイド、岩上・稔也・流れてくる高木のケアを考えての交代と思われる。

 ゴールに近づくことができないまま時間が経つにつれ、前半整理されていた立ち位置が徐々に崩れる。中盤2枚の位置が低くなることで選手間の距離が遠く、パスの成功率が低くなる。加えて、敵陣でロストした直後、金沢の中盤の前のスペースに自由を与えてしまう。セカンドボールを回収されて押し込まれる悪循環で糸口を掴めない。

 状況打開を図り、平尾→久保田の交代。数分後には高木→北川、内田→ジャス。
 荒治療気味だが、久保田が左でテンポを作って前進していく。久保田・中山・岩上・ジャスと供給源が多くなったことで、チームの重心を押し戻せるようになった。前では北川がポイントを作るとともに、前線で相手のコースを限定。

 最後の一手として、大前に替えてシラ。大前の存在が必要不可欠であることに議論の余地はない。だが、擦り減らしてコンディションを落としては元も子もない。今後勝点を積むためにも、大きな決断。そして、昨シーズンから何度も試合の流れを変えてきたシラに期待がかかる。

 迎えたラストプレー。松原のフィードからKJ、シラ、ジャスと繋いでいき、シラが上手くもらったスローイン。岩上のロングスローをニアで稔也がそらし、最後はシラが仕留める。J2でロングスローがゴールに結びつく可能性は低いこともあり、ロングスローの名手である岩上もフェイクが多く、シンプルに投げることは少なかった。土壇場でチャンスメイクするのは流石。ニアで稔也と畑尾が近付いたことでマークがズレた。大仕事したシラは、『執念で押し込む』って表現がぴったりなシュート。「気持ち込めてヘディングしました。」とインタビューで答えたように、気持ちを前面に出す姿はチームを引っ張る。
 栃木戦でもロングスローで失点したという実況の見事なフラグ回収。映像を確認すると、ロングスロー関係なく事故だった。

 そのまま1-1で終了。勝てなかったとはいえ、0を1に変えた。

雑感

 6戦勝ちなしとなったが、大宮戦同様、ATに追い付いて勝点を獲得したことはポジティブ。昨シーズンは極端に引き分けが少なかったことが尾を引いていたが、その面では成長かもしれない。

 相手の出来に助けられたとはいえ、決定機を作られる場面は多くなかった。セットプレーのマークは正解がないが、ボールへアクションしたかった。

 岩上のSB起用は敬遠されがちだったが、その原因は本人のタスクというよりも中盤の強度が落ちることにあった。中山と内田でそこをある程度カバーできる分、選択肢として含められる並び。勿論、後半途中からズルズル下がる習性は要改善だが…。
 岩上から1列飛ばして高木まで付けるパスが何度かあった。SBからゲームメイクするのは主流であり、プレスが来る方向が限られているのでボールを散らしやすい。
 高木もこれまでの出場数試合よりも数段フィットしてきた。稔也との関係性が良く、上手くスペースを使う動きでサイドを攻略した。今度はそこから如何にゴールまで近づくかをクリアしていけば出場時間は増える。TRMで結果を残し続けた北川もやっと出番が来た。翔大に近いプレースタイルだが、懐が深く簡単に失わない。やっぱり長い時間見たいし、何かやってくれそうな期待感が持てる。


「本当に勝たなきゃいけない試合でしたけど、先ずは追いついて良かったですけど、まだ本当ここ最近勝ってないので、勝利を届けたいのが最優先だと思います。
 誰が出てもザスパのサッカーというものを見せたいし、先週チームでもう一度ザスパのスタイルというものを話し合って、また1からやっていかなきゃ、絶対にこのままではだめなので、僕含めて、本当に、今日群馬で練習しているメンバーも含めて全員で、もう一度、また練習からやっていかなきゃいけないかなと思います。」

 白石のインタビューの最後のこの言葉が全て。こういう意識を選手が持っていることは頼もしいし、信じたくなる。

 次はホームでダービー。今日最後に拾った勝点1が次にプラスの作用をもたらすことを期待する。
 綺麗な内容はいらないし、結果がモノを言う戦。ラフプレーではなく、気持ちを正しい方向に押し出した「伝わるサッカー」を見せつけてほしい。

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