土木形骸 vs秋田 0-0

 長倉のスーペルゴラッソで先制し、後半から立ち位置を変えてきた相手にアジャストできぬうちに追い付かれてしまったものの、一進一退の攻防を繰り広げ1ポイントを得た前節。相手の個々のクオリティで押される場面もあったが、簡単に崩されはしなかった。
 週明けには長倉の新潟移籍のリリース。まあ、あのゴール見せられたら納得。その後、ヴェルディから杉本竜士のレンタル獲得を発表。推進力に長けたSH。色々とメンバーも変わっていくが、やるべきことは変わらない。

 目標までの10ポイントを積み上げるために乗り込む今節の相手は秋田。開幕戦で戦った際は、開幕したという晴れやかな気持ちが一切持てない試合となった。
 チームとしての戦い方は説明する必要もない。研ぎ澄まされたスタイルで今シーズンも着々と日程(と各試合の時間)を進めている。APTの平均が45分にすら満たないというのは、なかなかできることではないし感服する。シンプルに徹底してくるのは強み。

 開幕戦ではAPTが34分。この試合でも105×68の中でボールが動いている時間は極めて少ないのは間違いない。お互いに志向するものが全く異なるが、自分たちのすべきことを全うするのみ。どんな相手だろうとも乗り越えなければならないが、誰も怪我がなく試合を終えることができれば良い。


メンバー

 ウチは前節から1枚変更。長倉→平松。前節ゴールを決めた長倉がこの試合ではメンバーにすら入らず(それはそう)。彰人が久々にベンチ入り、NEW COMERの杉本も早速18人の枠に入る。

 対する秋田は勝利した山口戦からノーチェンジ。

前半

 秋田がエンドを入れ替え、ウチがキックオフ。立ち上がりからボールは落ち着かず、頭上を行き交う展開。開始1分満たずにロングスローで30秒近くかかっていて、改めて秋田戦だということを実感する。
 ウチも中途半端に足元に拘って足ごと刈られると嫌だし、ある程度は長い距離のボールも使う。平松がターゲットになるのと、サイドの深い位置にボールを落として全体を押し上げる。

 12分、ウチがゴールに近付く。中塩のパスが中村にカットされるも自ら奪い返してアマへ。アマは左外の山中に縦パスを刺すと、プレスバックで戻ってきていた梨誉に落とす。梨誉はオープンタッチでボールを晒して相手を引き付け、山中にリターン。前方にスペースが広がる中でフリーでボールを受けた山中はそのまま駆け上がる。アタッキングサードまで持っていき、阿部が喰い付いたタイミングを見計らって中央へ平行のパス。そこに梨誉が走り込んだが、相手に身体を入れられてシュートまでは至らず。
 山中の推進力とボールコントロールは日に日に向上しているのが良く分かる。また、パスを出した梨誉が長い距離を走ってPA内まで入ってきているのも偉い。

 13分、秋田に決定機。ハイボール処理で日差しが目に入り、城和がクリアしきれず、秋田のCKに。水谷のアウトスイングのボールに阿部が競り勝ち、その前方で齋藤がプッシュするが、ライン上で櫛引が身体に当てて防ぐ。こぼれたボールが齋藤の前に転がるが、櫛引が相手に蹴られながらもボールを死守。
 ゾーンで守るウチに対し、秋田はゾーンの外側のファーでポイントを作る。その上で、ポケットのように空くファーポストに1枚浮かせていた。完全に対応できていなかったが、神に救われた。

 24分、ウチもセットプレーの流れからチャンスを作る。風間のインスイングのボールは圍に触れられてファーに流れるが、佐藤が回収してアマに渡す。アマは後ろで作り直すように見せて、身体の向きとは異なる方向に対角線のボールを供給。PA内でフリーの城和が頭で落とし、山中が右足ボレーで狙うが、DFのブロックに遭う。
 アマが自陣方向を向きながら、腰の回転を利用して鋭いボールを蹴るのは流石。城和はフリーで抜け出して自らシュートを打てる状況ではあったが、山中フィニッシュまでがデザインされた形だったようだ。ここで仕留められれば理想的だったものの、しっかりフィニッシュまで行けた点は良かった。

 続くCKでも決定機。今度は右サイドのCK。風間からのボールにニアで平松が逸らす。そのボールが相手に当たった跳ね返りを城和がコントロールし、右足でボレー。ボールはゴールに向かっていたが、梶谷のクリアによって防がれる。
 平松で1つポイントを作ったのもデザイン通り。やや城和のシュートは窮屈になってボールに勢いがなかったが、惜しかった。

 ウチのビルドアップに対し、秋田は他チームと同様に1stプレスのラインをCMFに設定し、2枚でアマを挟む。ただ、中塩のところを消すために中村が2トップの脇で構えていた。中塩にボールが入ると中村がプレスを掛け、そこから城和にボールが戻ると、齋藤と梶谷が3バックを埋めるように圧を掛けながら、背中でアマと風間を消す。そこで詰まらせて蹴り捨てさせるが秋田の狙い。
 立ち上がりはウチもリスク回避で長いボールを使って相手に乗ってあげたが、15分過ぎた辺りからはいつも通り。少ないタッチでプレスをいなせれば一気にチャンスは広がる。山中は中塩のフォローで近くに立つのではなく、高い位置で深さを取り、中村の後ろのスペースを使った。

 物理的なアタックにも冷静に対応していたが、ボールが転がらないピッチにやや手こずる。速攻に行けそうな場面でも足元でボールが跳ねてコントロールに時間を要してしまい、スピードダウンする。
 どちらも試合を動かすことなく前半を終える。

後半

 HTを挟んでも、基本的にはゲーム展開は変わらず。アバウトなボールで勢いを伴いながら前進してセットプレーを狙う秋田。

 51分、秋田の左サイドのスローイン。才藤のロングスローは風間が跳ね返したが、水谷がすぐに前に蹴る。それを齋藤が足に当てると、阿部が落とし、藤山が右足を振る。シュートはミートしていなかったが、PA内で齋藤が反応してコースを変える。櫛引は重心がファー側に寄っていたが堪えて瞬時にボールに反応。ピンチを防ぐ。

 63分、佐藤のパスをカットされてセカンドを秋田が回収。佐藤が才藤にアプローチしたが頭上を通される。佐藤がアプロ―チに行き、エドも内側を取っていたので、青木にフリーでボールが通る。青木はそのまま左サイドでボールを運ぶと、オーバーラップしてきた才藤を使うのではなく止まってタメを作る。一度後ろに戻し、藤山が大外のレーンでボールを受ける。そのまま左足でクロスを入れると、中塩の外側から畑が頭で叩くが櫛引がここでもファインセーブ。
 トランジション時の入れ替わりはいつでも注意が必要。サイドtoサイドの展開は対応しにくいが、最後の砦として櫛引が窮地を救った。

 64分、ウチは佐藤→杉本、梨誉→北川の2枚替え。ウチでのデビューとなる杉本はLSHに入り、山中が右に来る。
 71分にはエド→内田。これによって前節同様に中盤3枚の形。RWBに山中、LWBに杉本。両サイド共に幅を目一杯取って高い位置で張る。

 内田とアマがIHで相手SHのセットポジションを下げさせ、風間がボールに触れる回数が増えた。CB陣から風間への楔も刺せるようになり、そこから風間がターンして北川まで付けられる。それに合わせて秋田は3CB+風間を潰すべく4枚を掛けてきた。となると、サイドへのパスコースは広がる。杉本と中塩の距離感はまだ手探り感はあったが、そこが開通すればもっと杉本の推進力が活かせるはず。

 82分、秋田に決定機。杉本に入ったところを後ろから突かれる。一度後ろでボールを落ち着かせ、阿部から畑にロングボール。これを畑が頭で落とすと、PA手前で青木が受けて左足でフィニッシュ。鋭いシュートだったが、酒井が足に当ててコースを変え、シュートは左に逸れボトルをクラッシュ。
 なんてことないハイボール1つでパスを作るのは長年の積み重ねの賜物。これに何回もやられているが、よく酒井が寄せた。

 ラストはセットプレーで押し込まれそうにはなったが、跳ね返し続けてゴールを許さず。スコアレスで試合終了。

雑感

 怪我人が出なかったのが最大の収穫。重馬場の中で根気強く戦った。

 守備はだいぶセットプレーでチャンスを作られたが、ゴール前で櫛引が仁王立ち。相手が枚数掛けてくるので、少しラインアップが遅れてしまい、それによってセカンドをチャンスに結びられていたが、何とか90分締めた。

 オフェンスは、どうしても重心を押し上げられず。秋田が半分業制でポジトラしてもアタッキングサード手前でライン形成されるので、なかなか勢いが出せない。70分ごろからシステムを変えていったことで徐々に連動した動きは見えた。杉本もフィットしてくれば、また一段階上がった働きが期待できる。

 上に行くならば、こういった相手・ピッチコンディションでも屈せずに3ポイント積まなければならない。一方で、相手の研ぎ澄まされた圧力に屈して勝点を持ち帰れなかったことも過去にある。今の立ち位置を確認したうえで、次やる時はこういう相手をも上回る必要がある。

 次節の相手も志向するものは同じだろう。ただ、そんなことはどうでも良い。1万人入った最高の雰囲気で蹴散らせ。

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