勇往邁進 vs北九州 2-2
お得意様だったお犬様との前節は、塩試合で1ポイント拾おうとしたもののセットプレーで仕留められて敗戦。2014以来のシーズンダブルとなった。噛み合わせの悪さを誤魔化して試合を殺していたが、最後の局面で違いを見せられた。もう3バックとの対戦は結果を求めないと決める。
連敗中で挑む今節の相手は北九州。J2昇格同期だが、ウチと同じく昇格2年目は停滞。去年躍進した分、今年は草刈り場となってしまい、再構築を余儀なくされている。ここ数試合は以前よりも状態は上向いているが、前節は緑色のチームに勿体ない敗戦。佐藤のPK失敗をはじめ色々と勃発したが、6ポインターを落とした形。2戦連続となるウチとの試合では死にもの狂いで戦ってくるはず。
ここで3ポイント積めると少し先が見えてくるし、ダービーにも良い流れで臨める。少ないチャンスを確実に決め切りたい。
ウチは前節から3枚変更。ジャス→藤井、進→稔也、彰人→大前。3選手とも久しぶりのスタメン。ベンチには奥村とシラが入る。
対する北九州は逆転負けを喫した前節から2枚変更。村松→生駒、永野→針谷。村松をスタメンから外してきたのは意外な選択。
前半
数試合に1度ある良い入りを見せる。どちらもボール保持の局面では不安を抱えているので、あまりボールを持ちたくない。北九州は前半風下だったことも考慮し、割り切って蹴ってきた。セカンドを効率よく回収し、ウチは手際よくゲームの主導権を握る。
特にスタメン復帰した稔也のコンディションが目に見えて向上しており、藤井、大前と絡みながら狭いスペースを抜け出すことも度々。
14分、敵陣浅い位置からのFK。大前の見事なボールに大武が合わせるも枠に飛ばず。
18分、左からのCK。ペナルティスポット付近に180overの選手を並べ、さらに大前がキックモーションに入ると全員ゴールエリアに侵入する勢いで走り込む。すると、エアポケットの如くぽっかり空いたスペースにボールが上がり、岩上がボレー。09-10CLのリベリ→ロッベンを彷彿とさせるシュートを放つも枠に飛ばすことはできない。
続く20分、今度は右からのCK。大武が中央で右足を振るもミートしきれず。DFに跳ね返ったこぼれ球を翔大が詰める。さらにこぼれたボールを畑尾が胸トラップからボレーで狙うも足を振り切れずGKの正面に飛んでしまう。
セットプレーを足掛かりにして立て続けにチャンスを作っていたが、ここを得点に結びつけられない試合は今季何回かある。特に長崎戦は顕著な例で、立ち上がりに相手の脆弱性に付け込んで先制してはいたが、その後のセットプレーを決めきれず、後半に逆転を許した。決定機を仕留めないと、流れを引き寄せることは難しい。
31分、縦パスが上手く繋がらずに北九州のカウンターに。中央で前川が受けて前進し、右サイドでフリーの髙橋へ。髙橋は緩急を付けて4枚を引き付けながら進み、佐藤へラストパス。完全に崩されたが、佐藤は体の向きが悪く、シュートは慶記が右足に当てる。
徐々に北九州も落ち着いてきたと思われた35分、遂にウチが先制する。右で作って岩上のサイドチェンジで左へ。左からのクロスは合わないが、再度右から藤井が上げる。高橋に拾われるが和音がすかさずカット。そのままカットインして相手を引き付けて、一瞬空いたニアのコースに突き刺す。コースもインパクトも完璧なシュート。久しぶりに先制に成功する。
スタッツでも支配率が上回っていたように、前半はウチの流れを保ちながらリードで折り返す。
後半
後半も立ち上がりは良かった。
46分、中央で和音がボールを回収し、逆サイドの稔也へ。稔也はフェイクを入れながら大外のレーンの藤井へ渡す。藤井のクロスはサイドに流れてしまうが大前がキープし、フォローに来た小島に付ける。小島はワンフェイクで相手を剥がして和音に預けて縦にスプリント。和音は小島の動きを囮に中央の中山へ。中山は岩上に落として、最後はそのままミドルを狙う。惜しくも枠の上だったが、可能性を感じる場面。右に左に揺さぶることでスペースも広がっており、フリーの選手も増えていた。
49分、大前に縦パスが入ったところを掻っ攫われたことからの北九州のショートカウンター。センターサークルの中から針谷が髙橋に楔を入れる。利き足でない右足でのコントロールとなった髙橋だったが、見事なオープンタッチで前川へパス。前川はすぐに髙橋に戻す。再びボールを持った髙橋は、一気に仕掛けるが小島が左足を切って間合いを詰め、シュートをブロック。結構怖い場面だったが、小島の冷静の対応は完璧だった。
51分、ウチに決定機。自陣でボールを失ったが、中山が即時奪回。そのこぼれを拾った大武がワンタッチでサイドに展開。稔也がフリーの状態で大外を進み、相手の寄せが来る前にクロス。ニアで翔大と和音が潰れ、ファーに走り込んだ大前が左足ボレー。狙い通りの形で追加点と思われたが、大前のシュートは枠を捉え切れない。トランジションで相手を上回って押し込み、スペースを活かす理想的な攻撃だっただけに、決めたかった。
53分、鋭いプレスで相手のビルドアップのミスを誘ってスローインを得る。稔也→中山→稔也→藤井→中山→藤井とテンポ良く繋いで相手を引き寄せる。藤井は稔也に渡し、オーバーラップ。稔也はタメを作ってスペースを作り、浮き球で藤井に返す。藤井は中を見ながら、PA角でフリーの岩上へ。岩上はワンタッチで稔也に落とし、稔也は左足でクロス。ファーで大前が折り返し、翔大が立て続けにシュートを放つが、追加点には至らない。
形は作りながらもゴールを奪えない状況が続き、次第に雲行きが怪しくなる。北九州も徐々にウチの攻撃に慣れ始め、ボールロストの位置を気に掛けた。失いそうになった際には、アメフトの投げ捨てに近いようにロングボールでリスク回避。後半は北九州が風上のため、ロングボールを使うメリットは大きい。
62分、ついにホームチームがイーブンに持ち込む。左サイドのスローインから藤井の裏を取られる。抜け出した永田はシンプルに中へ上げる。ニアの佐藤には合わなかったが、その後ろから髙橋がハーフボレー。上手く身体を寝かせて被せたシュートは慶記にとってノーチャンス。クロスを上げるに至るまでで少しウチの緩さがあり、スライドが中途半端になったが、シュート自体は防ぎようがない。
追いついたことで北九州は俄然元気に。ホームの雰囲気&風を味方に勢いで押し切ろうとする。
70分、鋭いチェイスで深い位置で北九州がボールを回収。そのまま西村が思い切りよく右足を振る。慶記が弾くと、さらに新垣に詰めるが枠を逸れる。
84分、北九州に決定機。大前が意表を突こうとしたところを岡村が防ぐ。ウチの陣形が攻めに行って崩れており、新垣に完全にフリーの状態、4対3の数的優位。新垣は前方の前川へ。前川は中央に進んでCB2枚を近付かせ、隣のレーンの髙橋にラストパス。左足でトラップし、髙橋は右足でGKの逆を取ったが、シュートは僅かに枠の右。
最大のピンチを防いだかに思われたが、直後の86分に決壊。右サイドの稔也から北川、更には大前へとボールが渡る。大前はシラにラストパスを送ろうとするが、福森が間一髪でカット。そのクリアボールを小島がヘディングで跳ね返すが、不運にも針谷の足元に収まってしまう。枚数は足りていたが、富山がレーン移動で畑尾を引き付け、髙橋の前にスペースを空ける。ボールホルダーへのファーストチェックが遅れ、小島が針谷を見ながら戻る難しい状態に。それを見た針谷が絶妙なスルーパス。受けた髙橋は見事なコントロールから落ち着いて左足で流し込む。失点の原因といえるような欠陥はないが、それぞれの少しの歪み、ボールのこぼれ方、身体の向きがバタフライ効果となって失点になってしまった。オープンな展開になった以上は仕方ない。
残された時間はわずか、それでもチームはなりふり構わずゴールを狙う。それが実ったのが90+4分。岩上が中央から左サイド深い位置のシラへ正確なフィード。スペースと時間を得たシラは、深い切り返しで生駒を剥がし切って左足のクロス。そのボールにファーで畑尾がドンピシャのヘッド。土壇場でチームの窮地を救うゴール。
最後の最後で踏みとどまり、6ポインターは2-2で決着。
雑感
首の皮一枚繋がったが、この1ポイントも価値大きい。
失点2つとも厳しい。1失点目はスローインのリスタートのところのアラートが足りず、これはシーズン当初からの課題だが、あのシュートはどうにもならん。2失点目は攻めに行った結果だし割り切る。リスク犯して前に人数掛けた分、カウンターは致し方ない。スコアラーに関しても、J2の域を収まるレベルではなく、来年こそ間違いなくJ1に帰るだろう(貸出元がJ1に残れるのかは知らん)。神村学園時代から注目されていたが、いよいよスケールが図抜けてきた。
久しぶりの複数得点。得点に結びつかない場面でもデザインされた崩しが繰り返し繰り広げられており、今後もコンスタントにゴールを奪えるのではないかと期待してしまう。甲府戦も同様に、ハーフスペースを使うという狙いを持った形が見えているが、その形が活かせるからこそ、対4バックは最高。
2失点目の時点で万事休す、というより、正直個人的には半ば絶望してしまった。だが、最後までゴールを直向きに目指すチームを見て、己のメンタルの弱さを改めて反省。
と同時に、このチームのしぶとさを実感した。この戦いを継続できれば、着実にポイントは積んでいける。
まずは、次のダービー。グリスタに続き、鬼門ケーズでも初勝利を。