互角 vs京都 2-2

 2週連続の北関東ダービーだった前節は、覚醒した北川の2ゴールの活躍で2-1の勝利。対水戸戦では2016年以来、実に5年ぶりの勝利となった。水戸側の評価では、圧倒しながら仕留め切れずに焦れたことが敗因とのことだった。確かに、ボールを支配していたのは水戸だったが、ウチとしても持たれることは織り込み済みであり、リトリートしながら安全に対応できていたように思う。無失点で締められなかったことは勿体ないが、80分過ぎまでの出来は今シーズン1番の出来だった。
 ミッドウィークの天皇杯でも水戸を3-0で一蹴し、一時期の悪循環を脱した感じもある(水戸ちゃんがボロボロって話もあるが)。

 そんな勢いに乗って向かう相手は京都。ここ最近好調を維持しており、現在首位と勝点差なしの2位にいる。
 今シーズンから指揮を執る曺氏の下、ポジショナル的な要素を取り入れて攻めるのと、根底の部分は湘南時代同様、圧力を前にかけてくる。武富、中川、松田といった湘南スタイルの骨格を形成していた面々がいる中、破壊力抜群のウタカ、ポジショニングで常にカオスを生み出すバイス、去年の甲府の心臓となっていた武田など、J1でも遜色なさそうなメンバー。チーム内で問題を抱えなければ、昇格の可能性も十分あるだろう。

 できればこの流れで対戦したくない相手だが、戦力差を勢いで多少ごまかしちゃいたい。

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 ウチは水戸を粉砕した前節からノーチェンジ。広大、畑尾、KJ、久保田はミッドウィークに引き続きのスタメン。

 対する京都は前節から2枚変更。荒木→中野、中川→ウタカ。数試合メンバーを外れていたウタカがこの試合から復帰。

前半

 現状のチームの順位からしても、クラブ規模としても小手先では太刀打ちできないとは思っていたが、大方の予想通り立ち上がりから押し込まれる。ボール保持時の3枚の京都のDFラインに上手く数的優位を活かされ、簡単に前進を許す。
 ハーフスペースに付けるパスも面倒だが、バイスからの対角線のフィードのケアもしなければならなくて厄介。

 12分、あっさり失点。ハーフウェー手前で荻原が回収し、川崎を経由してバイスへ。ウチは直前のフェーズで内田が一列前に押し出していたこともあって、中盤のバランスが少し崩れていた。なので、最終ラインとのギャップを埋めるためにFWは自重気味、全体としては左寄りにスライドする。バイスの前に自由なスペースができると、フィードのタイミングを窺う。内田の背後で上がっていった武田が広大とジャスの間を抜けた刹那、バイスから正確なボールが供給される。武田が落下点に入って基本に忠実な体の向きで折り返すと、待ってましたとばかりにウタカが右足でハーフバウンドに合わせる。
 CBの間且つ広大の視線に入るように立つウタカ、スペースを見つけて動き出す武田、ピンポイントで通すバイス、個々のクオリティの高さが噛み合えば白旗を上げるしかない。もう1・2歩大前が寄せるorジャスがマーカー捨てて1つ中のレーンに絞るかが、かろうじての対応策となりそう。とはいえ、これは相手を褒めるべき崩しかと。

 自分たちの流れの時間帯に狙い通りの先制点を奪ったことで、京都は思うがままに攻勢に出る。
 23分、自陣のスローインからバイスがワンタッチで左サイドに展開する。荻原がそのまま持ち込んでシュートを放つも枠を逸れる。
 30分、中央でパスカットした川崎がそのまま強烈なミドルを放つも松原が落ち着いてパンチング。
 37分、京都のスローイン、敵陣深くまでバイスが上がっていくも、ボールをウチがカット。稔也がクリアを試みるも、不十分になってしまい、飯田がカット。飯田はレーンを斜めに横断しながらドリブルすると、ウタカにラストパス。ウタカはトラップした後に静止。対峙する久保田が間合いを詰めた瞬間、ウタカが左のフェイクを入れて右足を振り抜く。これを松原が何とか反応。

 ウチの反撃は39分。松原のフィードが久保田へ。久保田→中山→KJ→久保田へと小気味良く回す。久保田が一気に加速してピッチを切り裂く。DFを剥がして数的優位に。久保田がギリギリまで引き付けて稔也にラストパス。しかし、惜しくも稔也はオフサイド。

 前半途中まではウチがワンタッチでボールを回すことが京都に読まれていて、特に大前、KJのワンタッチのパスが引っ掛かっていた。京都の2度追い・3度追いを厭わないプレスは効果的で、プレスの矢印を途中で変えられるのは強み。しかし、相手の選択肢を限定することが優先するプレスであり、1発で刈り取るほどの強度で圧を掛けてない。ウチとすればパスを受けてそのまま反転し、自ら仕掛ければ、相手を剥がすことも可能となる。この久保田のプレーもそうだが、徐々に修正し、自分でターンする場面が増えた。

 42分、京都が押し込み続けてバイスが上がっていく。左サイドのミドルサードで「何故そこにバイス」状態からワンタッチでウタカにパス。ウタカはオープンタッチで久保田を置き去りに。自らも打てる状態だったが、クロスを選択。誰に当たっても1点という場面だが、畑尾が気合のブロックをして難を逃れる。

 最少得点差で折り返すのでも御の字かと思っていた45+3分。内田が前線へラフなボールを入れると、北川が懸命に追う。北川が視線に入ったか、麻田のヘディングの対応が中途半端になる。北川がGKより先にボールに触れると、大前がそのボールを回収。強引に打つこともできたが、状況を冷静に見極めて北川に渡す。北川がコントロールしてシュートを打とうとしたところ、京都の松田が決死のスライディングで防ごうとする。しかし、これが北川の足に掛かって倒され、PK。絶好の同点に追い付く機会、キッカーは大前。今シーズンまだリーグ戦でのゴールはないものの、天皇杯でゴールを決め、コンディションは上々。緊迫した場面で大前が選択したのはど真ん中。相手をあざ笑うかのような見事なクッキアイオを沈め、前半終了間際にタイスコアに戻すことに成功。

後半

 同点に追い付かれたことで、HTの京都の監督コメントはかなり強めに。

 49分、京都に早速決定機。ウチのゴールキックからのビルドアップを拾われると、武田からハーフスペースに位置したウタカへ。背後から迫る中山を楽々かわし、あとは決めるだけだったが、モーションのみで打たず、右の福岡へプレゼントパス。しかし、福岡のシュートは松原の正面に。

 60分、ウチがポジトラしようとしたところでバタついてしまい、ボールはウタカの元へ。ウタカはクライフターンで持ち替えると、ダイアゴナルの動きを見せた中川に付ける。中川はヒールで落とし、福岡がフィニッシュ。しかし、これも松原の正面に飛ぶ。

 直後の61分、ウチの中途半端なスローインの流れから悪い形でロストすると、福岡はウタカへボールを供給。ウタカは丁寧にタイミングを見てシュートを打つも、スピンがかからず枠を外れた。

 立て続けのピンチを切り抜けたかに思えたが、64分に再度リードを許す。三沢の動きで内田を釣ると、空いたスペースにランニングした松田へ川崎から縦パスが入る。松田からウタカへのパスは戻った大前がカットするも、再度松田の前にこぼれる。畑尾と広大が懸命に対応するも、ボールがウタカへと転がってしまう。ウタカは松原をかわして冷静に流し込む。1人1人の対応は食い下がっていたが、各々の対応が少し後手に回っていて、それが最終的に大きな歪みになってしまった。

 70分、ウチにも決定機。左で崩していき、勇利也がクロス。これを昇偉が折り返し、高木がスルー。そして待ち構えていた大前が右足一閃。画面の前で全ザスパサポが腰を浮かせただろが、ボールは惜しくもバーに弾かれる。左右に揺さぶった良い崩しだが、あれが入らないのか…。お祓いしよう(n回目)。

 75分、昇偉のクロスは合わなかったが、荻原の怠慢な対応でCKを得る。大前のニアへのボールはウタカに跳ね返されるが再度CK。今度はファーサイドを狙うと、合わせたのは広大。高木、畑尾、内田がニア、広大はファー、稔也が大外と交差する動きでマーカーを釣ると、広大が見事にフリーだった。バイスとGKの間のポケットに蹴る大前のキックの精度も流石。京都の対応としては、早い段階でGKのOKの声が出たため、それを聞いてバイスは競るのを止めていたが、GKが処理できずに失点した。そもそものCKに繋がったプレー含め、拙さが招いた失点だった。

 勝てる試合を2度も追いつかれてしまい、京都は何とか勝ち越しを狙うも焦れ、決定機を作れず。ウチもブロックを固めて対応しており、前半からの継続的な我慢の時間により疲労の色は濃く、無理に攻めには行けなかった・行かなかった。

 両者にとって捉え方の異なる1-1で試合終了。

雑感

 上位相手にアウェーで価値ある勝点1を得た。

 クオリティを見せられての2失点とはなったが、22本のシュートを浴び、もっと失点しても不思議ではないほどピンチは多かった。それでも、シュートが松原の正面や枠外に飛んでいくのは、DFの寄せやコースの限定が効いていたからではないだろうか。
 また、立ち上がりこそ噛み合わせの優位性を自由に使われていたが、試合中に修正し、時間が経つにつれてマークの捨てる判断・受け渡し・DFの立ち位置が改善されていた。水戸戦もそうだったが、稔也とKJの立ち位置が守備の基準点になっていて、正しく立つことで距離感が保たれる。一方で2人への負担も大きく、今日もKJ→シラの交代があったが、上手く選手交代でインテンシティをキープすることが鍵。

 600分近く無失点だった相手からの2ゴールはポジティブ。どっちもセットプレーだが、そこに至るまでの過程はウチが圧力をかけたことから。
 北川がいることで前にポイントが出来てボールが収まるだけでなく、大前が自由に動くことができるようになっている。北川の貢献度は極めて大きい。中継で映る時の表情も以前とは雲泥の差で、笑顔が多く見られる。腐らずやってきた結果だが、やはり結果を残して本人としても肩の荷が下りたのかもしれない。

 次は町田。ここでポポヴィッチなのも面倒だが、この勢いを確かなものとするため、降格圏と縁を切るため、90分走り切ることが必要。

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