取りこぼし vs長崎 1-2

 今シーズン未勝利の愛媛の爆弾処理を無事に完遂し、格の違いを見せつけた前節。最後の失点は余分だったものの、終止ゲームをコントロールし、2ゴールを奪った。あの内容がスタンダードになってくると、自ずと順位も上がってくるだろう。

 連勝を狙い挑む相手は長崎。相性は最悪の1勝1分け10敗。16年は1勝1分けとなっており、唯一の勝利時のスコアラーは駿太のドッピエッタとガンウっていう懐かしい方々。それ以外は全部負け。落ちた年の開幕戦の絶望感も脳裏に焼き付いている。思えば、04年の天皇杯のヴェルディ戦@長崎の時から、長崎に対して良いイメージは全くない。
 昨シーズンは開幕から快走していたものの、第3コーナーを回った付近から失速し始め、最終盤はエジガルジュニオを獲得し札束で殴りにかかったものの及ばずに昇格を逃した。
 シーズン終了後にゴタゴタした話も出てきた手倉森氏を切って、コーチだった吉田孝行氏を監督に据えた。基本的には昨年の戦い方を踏襲しているようだが、毎熊やら氣田といったサイドの担い手を引き抜かれた影響もあってか、エンジンがかからない。開幕戦こそ勝利したものの、そこから勝てず、ようやく前節勝利を収めるというウチと似たような流れ。あの愛媛と引き分けたのは驚きもあるが、それでも個の力は強力であることに間違いない。一説によると、去年をベースにした主体的なサッカーは噛み合わないものの、個々の力で何とかなってるらしい。まあそりゃ、秋野とカイオセザール並べて、前にエジガル置いときゃ点取れるでしょうよ。何でウチの近くの順位で寝ているのか不思議だが、今日も眠ったままでいてもらいたい。

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 ウチは勝利した前節からノーチェンジ。ベンチには理不尽な出停から中山が帰ってきた。

 対する長崎もノーチェンジ。勝ったチームは手を加えないのは常套手段。お金を掛けていることが良く分かる陣容。

前半

 スタートが少し緩くなり、いきなりCKを与えてしまう。秋野のインスイングのボールは僅かに合わず、何とかウチが掻き出すと大前が落ち着かせる。そこからアウトサイドでKJに見事なパス。KJがワンタッチでDFを剥がすと、そのボールを受けた稔也が一気に加速。ゴールが近付くにつれて足取りが怪しくなり、GKに間合いを上手く詰められてしまう。千載一遇を逃すかと不安に思ったが、稔也は落ち着いて右へパス。そこまで並走し続けたKJがプレゼントを受け取って決め切り、電光石火の先制。開始早々の展開に頭が追い付かなかったが、素晴らしいトランジションからのカウンターだった。09の三ツ沢でサクが決めたスーパーカウンターを彷彿とさせる流れだった。

 最高の試合の入り方をしたチームはここから捲し立てる。17分、KJのクロスを内田が上手く頭に当てるが徳重のファインセーブ。さらにその直後のCK、大前からのボールを内田が折り返すと、前節ゴールを決めた畑尾がヘディング。これもバーに当たって追加点のチャンスを逃す。しかし、このプレー、現地で見ていた時は割っていないかと素直に納得していたが、映像をよくよく確認すると、ボールが完全に割っているように見える。バーに擦ってバックスピンがかかったことで、バウンドした後に戻ってきたのではないか。角度的に肉眼での確認が難しいので、GLTがないとなかなか判断できない。

 チャンスが立て続けに訪れたタイミングを活かし切れなかったものの、その後も堅実な試合運びを見せる。長崎の2ラインを敷く位置が著しく低かったので、2CB+岩上or奥村のパス回しは造作なく行えており、いつでも攻撃のスイッチを入れられる状況だった。KJがビルドアップの出口になることが多かったが、平尾との距離感が良かったので相手に警戒されても前進できた。
 また、長崎のビルドアップの場面でも、2トップと連動してセントラル2枚のうちの1枚が必ず押し上げていた。特に30分54秒頃からの追い込み方は理想的だった。ボールを持ったフレイレ。近くの選択肢(新里、二見、秋野)を内田、稔也、大前で牽制。それを見たフレイレがボールを前に運び、縦のギャップを作ろうとする。しかし、中のコースを稔也が限定すると、唯一縦に空いていたカイオセザールに付ける。ここに奥村が反応すると、カイオの後ろへのパスに対して、そのまま矢印を向けてプレス。最初から予測していたからこその動きで秋野にも圧力を掛けると、フレイレに戻す以外の術がなかった。フレイレはぎこちないボール運びからアバウトな縦パスを通そうと試みるも失敗し、ウチの術中にハマった格好となった。連動した動きで強力な相手中盤に仕事をさせず、ボールを回収できていた。

 前半を通してある程度主導権は握っていたが、時間が経つにつれてボールが触れないエジガルがしびれを切らして1列下がって顔を出す場面が増えた。FWに仕事をさせていない証拠なので、決して悪い兆候ではないのだが、生憎噛み合わせ的にウチのセントラルの脇に丁度良くハマってしまう。上記のように、セントラルが押し上げてるので一時的に底に1枚しかおらず、その脇に好き勝手歩かれると、事故気味でのボールでも収まる危険性が生じてくる。しかもエジガルの場合、1人でも攻撃を完結できちゃう力を持っているので益々厄介。前半は仕留められることはなかったが、少々不穏な雰囲気で前半を終える。

後半

 後半も前半同様早々の得点を狙うが、なかなかシュートまで持っていけない。

 54分、ウチの右サイドで引っ掛けようと城和と昇偉が対応するも抜け出されてしまい、亀川がノープレッシャーの状況でクロス。それに大竹が合わせるも、慶記が間一髪で防ぐ。

 後半のスタートから、大竹の立ち位置が前半に比べると前にいるように感じ、エジガルと2トップに近い形となっていた。ウチの真ん中への牽制をしつつ、ハーフスペースを上手く使おうという魂胆かと。しかし、60分過ぎに大竹→ルアンに替え、ボールを落ち着かせるポイントを作る。
 そして恐らくこの辺りから長崎は中盤を捨てた。エジガルを走らせつつ、その動きの警戒で下がったラインにより生じたギャップをルアンが使う狙い。

 68分、相手の思惑通りのプレー。ウチのファーストアタックに続く中盤の押し上げが間に合わず、前のプレスが少し弱まると、フレイレが蹴ったアバウトなフィードにエジガルが抜け出してループ。試合を振り出しに戻す。
 悔やまれるのは、このプレーへの入り方だった。直前のシーンで大前が倒されたもののアドバンテージ→KJが惜しいシュートを放つという流れ。大前へのコンタクトに対する抗議をしていたこともあり、チーム全体のポジショニングにわずかながら歪みが生じてしまった。それにより、リスタートへの反応が遅れ、中途半端な感じに。そもそも、大前が倒れていたタイミングでウォーターブレイクを設けても何ら問題ない場面だった。そんなことを言っても仕方ないが、またも小休止直前で失点してしまう。

 中断直前にゴールを与えたことで、長崎は俄然元気に縦ポンをする。75分、押し上げられてプレスに行けずにいると、エジガルのポテンシャルを引き出して逆転弾を許す。2点目の展開は、ある程度長崎の理想とも言えそうな崩し方だろうし、去年も目の前で見せられた。

 そこからは見事に塩漬け。ラスト5分のラフプレーの数々は到底上に行けそうにないあちらの現状を物語っているだろうが、結果が全てなので、ウチが何を言っても引かれ者の小唄にしかならん。選手を守ろうとする奥野さんの激昂には感銘を受けた。

 連勝ならず、1-2で試合終了。

雑感

 勝てる試合、内容も上々だっただけに悔しさも倍増。
 ポイント拾うために途中で割り切っており、強化版愛媛と化した相手に屈した。

 トランジションの質の高さを見せつけたが、状況を上向かせるためには20分までで試合に蹴りを付けなければならなかった。タラレバになってしまうが、あそこで相手の戦意を削げれば結果は違ったのは間違いない。
 前節に引き続き、ビルドアップが機能して縦パスがどんどん入る。岩上と奥村の異なるタイプの中盤は見てて楽しいし、あのゆったりしたボールの持ち方から一瞬でパスを通す奥村はやっぱり逸材。

 が、60分頃から奥村・内田のところは徐々にインテンシティが落ちていて、ピッチに残すメリットとデメリットを天秤にかけて判断するのがすごく難しかった。攻撃面で違いを生み出せる部分と、プレスの懸念材料のどちらを取るかは判断しかねるが、今日に関しては後手を踏むことになってしまった。結果論でしかないため、一概にそこが原因とは言えないが、最初の失点の場面では裏目に。

 とはいえ、悲観するような内容では断じてない。もう1つ2つ仕留める必要はあるが、根本的に今の戦い方が間違っているとは思わない。次節の6ポインターをしっかり取り切り、また勢いを付けたい。

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