曖昧模糊 vs秋田 0-0

 新年明けましておめでとうございます。昨季はワールドカップイヤーだったことから、10月にシーズンが終わるイレギュラーな1年。例年以上に長いオフシーズンは史上最高とも言えるワールドカップの熱狂に酔いしれ、その後は高校サッカー見ながら年を越し、いつも通りの流れに。先日スーパーボウルも終わり、いよいよ娯楽が少なくなったところでの開幕である。ストレスで胃がキリキリする日々に耐えられる準備は全くできていない。

 開幕直後のスタートダッシュから徐々に勢いを失い夏場にかけての11試合未勝利、メンバーが18人揃わないア緊急事態なども乗り越えて残留を果たし、2023シーズンもJ2の舞台で戦う。広大、稔也、KJ、小島など数年に渡り根幹を担ってきた選手たちとお別れした。その一方、北九州で覚醒した佐藤、浦和ユース出身の石井・中塩・川上、福島時代から脅威に感じていた武など頼もしい面々が加わる。大槻体制2年目、まずは16位・勝点50以上の目標の為に積み上げていく。

 開幕戦の相手は秋田。何度目の開幕秋田か。開幕したことを寿ぐことが一切できない試合展開になることに定評がある。吉田体制も4年目を迎え、闘い方も洗練されている(洗練の方向性については触れない)。リスクを極限まで減らし、力(この場合、物理的な意味として用いる)で殴るスタイル。これで残留し続ているのだから、クラブとしても是なのだろう。サッカーには色々な形があることを実感させてくれるチーム。

 相手のやりたいことは明確になっている。その土俵に持ち込ませないように主体的にゲームを支配し、如何に最後に仕留められるかが鍵。

メンバー

 ウチのスタメンは骨格は昨年から継続。畑尾とコンビを組むのは城和ではなく酒井。長らく小島が務めていたLSBは中塩が起用される。また、CMFではレンタルから復帰した中田が開幕スタメンでJリーグデビュー。期待値の高い佐藤は左サイドでの先発。ベンチには石井・岩元が加入後初のメンバー入り。

 対する秋田は、GK田中、DFの千田や池田、中盤の茂、稲葉などが流出し、再構築の段階。今まで見慣れたメンバーとは多少異なる。とはいえ、飯尾、三上、中村、齋藤など厄介な選手たちは残る。

前半

 秋田のキックオフで始まった試合は、ピッチ上にボールがある時間が少ない秋田戦お決まりの展開。開始10分前のハーフウェー手前のFKでGKが1分近くボール持っていたのは笑いそうになった。

 9分に形を作る。自陣からの櫛引のキックを秋田が左サイドでコントロールできずにいたところを平松と長倉がプレスを掛けて蹴り捨てさせる。中央で中田が拾うと、左を走る川本を囮に平松を狙った鋭いパス。これは平松の背中に直撃するが良い感じの落としとなる。佐藤がバックしてバウンドを合わせながらシュート。これは勢いを伝えきれずGKに抑えられたが、即時奪回でフィニッシュまでいった良いシーン。

 13分、ウチがゴールに近付く。左サイドで佐藤がスローインを入れ、細貝からリターンを受ける。佐藤は間を作りながら細貝に戻す。細貝は左サイドから一気に右のPA奥を狙ったフィード。これを岡本がワンタッチで折り返す。ニアで平松が飛び込んだがわずかに届かず。
 このプレーに至るまでの作り方も多くの選手が絡んでおり、引き付ける動きとボールを引き出す動きが見られた。そしてこのシーンでは、岡本の前のスペースを見逃さなかった細貝は流石だし、サイドtoサイドからの折り返しはDFの対応が難しくゴールの確率も高まる。

 15分過ぎからは、秋田の時間が続く。プレーが細切れになり、セットした状態で相手に構えられてしまい、なかなかウチが勢いを持って前進することができない。徐々に受けに回るようになる。

 22分、ビルドアップ時に酒井から岡本へのパスが中に入ってしまいカットされる。飯尾が奪った勢いそのままアタッキングサードまで侵入し、カットインの動きを見せながら前方のスペースにパス。走り込んだ翔大が右足跨ぎを入れてから左足でクロス。これは櫛引と中塩が対応するが、セカンドをフリーの諸岡が振り抜く。仕留められてもおかしくなかったが、中塩が体に当てて難を逃れる。

 基本的に秋田はボールを刈り取るシチュエーションを好むため、だったら最初からボールを持たせれば良いじゃないっていうのがウチの策。ただし、監督コメント読むと、最初からそのプランを選択したわけではなさそう。
 ビルドアップ時に1stラインを突破できないため、川本にもっと落ちてボールを引き出すような動きで打破を試みる。川本がポジショニングを取ること、球離れを早めることについてベンチから指示が出ていた。が、なかなか改善されなかったため、川本と佐藤のポジションを流れに応じて入れ替え。前でボールを抑えるポイントを2つに増やした。

 37分、秋田に決定機。自陣で佐藤が前進しようとしたところで中村が後ろからスライディング。これがボールアクションとしてノーファウルの判定。そのボールを得た髙田がアーリーで上げる。DFラインとGKの間に落とす絶妙なボールにファーで翔大が合わせるも、シュートはバー直撃。さらに齋藤が詰めていたがバウンドが合わずに枠の上に飛んでいく。ウチとすると肝を冷やした。高い弾道のクロスに誰がアクションするかは再確認したい。

 時間経過とともに秋田ペースで進んだが、要所は抑えスコアレスで折り返す。

後半

 後半になっても流れは大きく変わらない。1つ1つの短いプレーに神経を研ぎ澄ませる。

 55分、ウチにこの試合最大のチャンス。プレスに臆せずボールを繋ぎ、畑尾がノープレッシャーで蹴れる状況を作る。畑尾は左の川本へフィード。川本は仕掛ける姿勢を見せつついると、中塩がスイッチして佐藤に縦を付ける。佐藤は迷わずクロスを選択すると、CB間に長倉が走り込んでフリーになる。が、ターンの向きで利き足ではない左足でのシュートが必要となり、振り抜いたが枠を捉え切れなかった。
 プレスを掻い潜りながらもパスを繋ぐことでその後の展開が楽になることが良く分かる。長倉はいつも良いところに走り込んでいると改めて感じた。

 このチャンスを逃した後は、秋田が押し込む時間が続く。兎に角ウチが前を向いてプレーする時間が限られていて、攻撃に転じようとしてもベクトルを折られることが数度続く。

 67分、秋田もチャンスを迎える。圍のパントに齋藤と畑尾が競り合い、こぼれたボールを拾った翔大がループで狙う。頭上を越えるような軌道だったが、櫛引は落ち着いて下がり、ラインを割る前に掻き出した。
 このシーンは畑尾のカバーとして酒井が後ろで構えていたが、結果として翔大を離すことになった。ベストの立ち位置は難しいところ。

 その後、佐藤→アマ、細貝→風間、平松→北川の3枚替えを敢行。タイプの異なる選手の投入によりプレス回避が少しずつできるようになり、長倉が前を向いて仕掛ける場面が増えた。プレーイングタイムの短さなどもあって大きく戦況は変わらず。

 90+5分、左サイドでロストするも即時奪回×2でマイボールにし、作り直す。酒井のフィードは跳ね返されるが、クリアを畑尾が拾ってそのまま前に浮き球で付ける。PA内で最後は長倉が合わせたがミートしきれず、GKに抑えられる。

 開幕戦らしからぬ塩分要素高めの試合はスコアレスで終了。

雑感

開幕まで4か月待ったのに、プレーが止まる度に再開までとことん待たされたぞ(ウチもゴールキックに時間かけたけど)。

 酒井・畑尾・中塩の3CBで作りたい意図は明確に見えたし、チャレンジしようともした。ただ、プレス強度の部分を直に受けてしまったことでナーバスになり、長いボールで相手に握らせることを選んだ形。3CBと他の選手との距離感がまだ定まっておらず、出口に辿り着かなかった。多分、もう少し後ろで手数掛けて相手を誘き寄せてから、平松の頭を超すボールやサイドアタッカーをスペースに走らせるボールを入れたいのだろう。これは試合を重ねるとともに改善されると思いたい。
 また、秋田がボールサイドで窒息させに来る分、出口としてFWが2枚とも寄ってきてパスを受けることがあった(特に左サイド)。そこでボールを落ち着かせられるのは良いのだが、結局PA内にフィニッシャーが不在になってしまう。逆サイドが絞って侵入していくのがサイドの人選を考慮すると理にかなっているのかなと思う。

 守備はピンチを迎えながらも0で締めた。ボールサイドに相手が寄ってボールを受けたがるので、CMFもCBもそれぞれの距離感が難しかった。細貝や酒井がその辺りはフォローして、マークの受け渡しもエラーが起きないように徹底。
 また、酒井はハイボールの処理に長けており、セットプレー時にファー側で相手のレシーバー1番手のマークに付いていた。これによって畑尾が中央でどっしり構えられる陣形となるため、昨年よりもセットプレーの失点は減るでのはないだろうか。

 戦いにくい相手との試合を無難に追え、次節はアウェイ町田。サイバーエージェントが本腰を入れはじめ、ウマ娘資金をベットして大型補強を敢行。新加入選手が多すぎて誰が出てくるか読めん。難しい相手であるのは間違いないが、せっかく開幕したんだから、ちゃんと「サッカー」の試合が見たい。

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