捲土重来 vs横浜FC 3-3

 理想的な内容で2点のリードを得ながら、後半は5-4のブロックで大宮の攻撃を引っ掛けることができず3失点。ジェットコースターのような展開となった。コンディション的に難しさもあり省エネで勝てればベストだが、やはり相手を捕まえなければ勝つことはできない。

 連敗となってしまったが、再浮上のきっかけを掴むために迎えるのは横浜FC。このタイミングで首位との対戦。昨シーズンは1部で立ち上がりから躓き、お家芸の監督交代。それでも最後まで浮上することなく、J2降格。
 今シーズンは札幌HCだった四方田氏を新たに招聘。札幌監督時代は、ガチガチに守って都倉&内村で殴る戦い方でJ1昇格とJ1残留を達成した四方田氏。その時のイメージが強かったが、フリエで見せるサッカーはオフェンスに特徴を持つ。ミシャの下でコーチを務めたことによる影響は大きいだろうが、ミシャと仕事するとみんなネジが幾つか飛んでいくのかってくらい攻撃的になる。
 降格チームといえ、主力選手の多くは残留。ダメージが大きいのは瀬古(川崎)と松尾(浦和)くらいか。長谷川、小川、山下らを獲得して戦力的にはJ2でも頭一つ抜けている。ここまでの戦い方を見ても、WBが高い位置で幅を取ったり、ゲームコントロールに長ける手塚をCHに置いたりと、ミシャ式の要素は随所に見られ、開幕から12戦無敗継続中。このまま先行逃げ切りの可能性もあるが、直近数試合はやや勢いが削がれている。先週末はあの栃木相手に大苦戦してスコアレスドロー、ミッドウィークも町田に追い付かれてのドロー。やはり一筋縄に行かないのが魔境J2。

 秋田・大宮と悪い流れが続いているが、首位相手にどこまで通用するか。簡単には勝てないのは織り込み済みだが、立ち向かうのみ。

メンバー

 ウチは前節から4枚変更。城和→広大、稔也→彰人、天笠→山根、KJ→北川。城和が大宮戦での1発レッドにより有給となり、広大が今シーズン初のスタメン。

 対するフリエも引き分けた町田戦から4枚変更。中塩→武田、亀川→イサカ、高木→山下、伊藤→渡邉。イサカと山下が両サイドにいるのは怖い。

前半

 前節は開始早々仕掛けてリードを奪ったが、今日も立ち上がりは悪くなかった。スリッピーなピッチ状態を確かめながらも、少ないタッチで回しながら前進を試みる。

 7分、セカンドボールに対して北川が身体を張って対処し、平松が回収。平松→山中→岩上と繋ぎ、相手が撤退したことを確認した岩上は無理せず後ろで作り直す。広大と畑尾にもフリエはチェックに来たが、畑尾は1つ飛ばして右サイドの山根へ。山根はファーストタッチで正対する山下の矢印を外してから進行方向を変えて抜け出す。そこに髙橋がカバーしてきたので、一度岩上に下げて山根は再び前に動き出す。岩上はすぐに彰人に縦パスを入れると、彰人はワンタッチで山根の前方のスペースへ。山根はフリーでボールを受けると、迷わず右足でシュートを放つ。惜しくもサイドネットだったが、高橋の脇のスペースを有効活用できた。
 怪我から復帰後の数試合は途中出場が続き、試合に入るのに苦労した印象のある山根だが、この試合ではチームに推進力を与えていた。

 とはいえ、首位にいるチームは簡単にチャンスを作る。14分、ウチが前から嵌めようとして両SHを連動させて押し出す。北川が寄せてきたことを察知した岩武は時間をかけずワンタッチで平松-北川間を通す縦パスを刺す。岩武→手塚→中村→イサカと流れるようにボールが回る。イサカは縦への意識をチラつかせながらも無理せず中村へ。中村は中央の手塚に渡すと、スペースと時間を得た手塚は綺麗なフォームで中央にボールを供給。これは畑尾が跳ね返すも、セカンドを山下が拾い、ファーサイドPA深くへ浮き球を出す。すると、大外にイサカが走り込んで折り返す。そのボールを長谷川が胸でコントロールして左足を振る。これは小島に直撃するも、こぼれ球が小川の足元に転がる。決定機になったが、小川のシュートを櫛引が至近距離で足に当てて防ぐ。あれだけサイドを振られると追いかけるのが難しいし、深さも利用していて非常に守りにくい良い攻撃だった。

 時間が経過するにつれて徐々にフリエが敵陣でプレーする時間が増えていくと、24分にスコアが動く。畑尾のゴールキックを受けた高木のトラップ際を髙橋に狙われてロスト。髙橋→山下→長谷川と細かくつなぎ、右の小川へ。小川は中村に落とすと、中村はワンタッチで長谷川に斜めのパス。ここで高木のチェックによりボールを奪いかけるも、長谷川が即時奪回。長谷川からパスを受けた小川がPA手前でフリーで右足を振り抜く。濡れたピッチでは嫌な低い弾道のボールだったが、櫛引が落ち着いて弾く。ここでボールを落ち着かせて流れを切れれば良かったが、山下が寄せてきたので山根は最低限のクリア。陣地回復できず中村に拾われ、手塚へ。手塚は小さなフォームから目の覚めるような楔を渡邉に打ち込む。渡邉はPA角の小川に落とし、小川がDFラインを超す柔らかいボールを入れる。最後は走り込んだ長谷川が上手く合わせてフリエが先制。
 オフサイドっぽいってのは差し引いて、相手の攻撃が一度完結した時にウチがボールを確保できるかってのは前節の失点時にも見られた課題。攻められ続けるのは負荷が大きいし、攻めようとしたところで奪回されると陣形は崩れやすい。相手の注文通りのロストはやはり避けたい。セルフジャッジ気味だった部分は、大槻氏に厳しく指摘されるだろう(「あってはならない失点」と切り捨ててるし)。

 WBを捕まえられなくて悪戦苦闘。要因の1つとして、この試合ではいつもの右片上げではなく左片上げで対応しており、山中の所にどうやっても負担が大きくなってしまう。イサカをケアしつつ攻撃時は高い位置を取るってのは簡単な役割ではない。常にイサカにフリーでボールを引き出されるストレスはかなりある。

 1点取れば調子に乗って伸び伸び仕掛けてくるのは当然だろう。28分頃からひたすらボールを握られ続ける。中央の髙橋から左の武田へ展開。武田のクロスは畑尾が跳ね返したが、イサカが拾って中村へ。中村の高精度のクロスに小川の裏でフリーになった長谷川が合わせる。ドンピシャだったが、ここは櫛引が超人的なセーブ。どうやったらあの距離のシュートに反応できるのか、恐ろしい。
 で、防いだがまたも攻め込まれてCKを与える。手塚のインスイングのボールに渡邉がフリーで合わせて追加点。前半は右側のCKが多かったが、リーグ屈指のキック精度を持つ手塚にフリーでボールを蹴る機会を与えたらチャンスを作られるのは当然っちゃ当然。ボールにアタックしようとした畑尾に対してイサカがスクリーンしてきたことで、誰も競りに行けなかった(イサカの肘の心証は非常によろしくないが、VARのないリーグではどうにもならん)。

 自分たちのやりたいことができて2点のリードを得れば、フリエどんどん気持ちよく攻め込む。42分、敵陣でのハイボールに対して広大が果敢にアタックするも目測を誤り被ってしまう。こぼれ球に山中がアプローチするも、小川に剥がされる。ウチの左サイドに一瞬にして大きなスペースが生まれると、小川からパスを受けたイサカがそのスペースを使う。イサカはフリーでボールを持ち込み、PAに入るタイミングで右足をコンパクトに振る。低い弾道のボールは雨に濡れたピッチで良く滑り、櫛引の脇を抜けてゴールマウスに吸い込まれる。決定的と言える3点目。
 リスクを承知の上で何か変えようとしてチャレンジした結果の失点である。悪い方に転んだし、失点まで結びついてしまったことは問題だが、何とか流れを変えようとする前向きのプレー故のミスだと感じる。

 首位との差を痛感させられる45分。0-3のビハインドで前半を終える。

後半

 後半開始から、山中→奥村、彰人→KJの2枚替え。システムも次のように変えてくる。

 立ち位置を変え、誰が誰を捕まえるかをハッキリさせると同時に、WBが幅を取って相手への牽制をしようという狙い。3点もリードがあればフリエ側もリスクを回避する思いが出てきて、無理に前には動いてこないはず。

 兎に角相手がこの立ち位置に慣れる前に点差を縮めたいウチは、後半開始から圧力を掛ける。フリエの3CBに対してウチの前線3枚がマーク。パスの供給源となる手塚にも奥村がマンマークに近い形で監視。WGが落ちてボールに絡む際には、岩上も押し上げて逃がさない。当然、そのプレスを回避されると一気に人数が薄くなってピンチに陥るわけだが、3点差がある以上御託並べる前にまずは実行。

 47分、自陣PA内で山根がパスカット、すぐにKJに渡す。KJはボディフェイクで相手3人のタイミングを外して山根へリターン。山根はハーフウェーまで運び、味方の上がりを待つ。タメを作ってDF2枚を引き付け、再びKJへ。フリーなKJはそのままバイタルまで侵入し、PA左へラストパス。これを受けた山根は左足で切り返して右足でシュート。しかし、上手くミートせず右に逸れる。後半最初のチャンスを逃したが、前半にはほぼなかった鋭い攻撃を見せた。

 48分、敵陣で長谷川がもたついているところを小島が掻っ攫ってマイボールにする。奪った時点でフリエの陣形は崩れており、小島は平松に縦パス。平松は中央のKJを選択。KJは後ろから走り込んできた奥村のスピードにピッタリ合わせた見事なパス。奥村は左足で細かく2タッチすると、スライディングする髙橋を尻目に右側にボールを流す。そこにはフリーで待ち構えていた平松。GKに当てないように丁寧に左足で浮かせてゴールに流し込む。
 高い位置でボールを奪えればチャンスになる。加えて、ボールを奪ってから小島・奥村・KJ・平松と4人の選手がPA内に入っていたし、岩上と北川も前向きに動いていた。これだけ人数掛けてフィニッシュまで持っていければ、ゴールの確率も高まる。そして、誰一人として動き出しや走り込むスペースが被らなかったのも、それぞれの判断が適切だった証拠。

 殴られまくった前半の重い雰囲気を後半立ち上がりの1点で少し和らげた。脳裏に過るのは4日前の記憶、45分あれば3点取る可能性は十分ある。

 マーカーがハッキリしたことで相手の前3枚に自由を与えず、ボールを引っ掛ける場面も増える。56分、ここも渡邉が1列落ちる動きに畑尾が付いてき制限し、次の局面で山根が回収。このプレーがゴールの起点になった。山根からパスを受けた広大が一度櫛引に戻すと、櫛引はワンタッチで岩上に楔を刺す。岩上→畑尾→KJと少ないタッチで繋ぎ1stディフェンスを掻い潜る。一度右サイドでの攻撃を模索したが、無理せず最終ラインへ。落ち着いてボールを左方向へ進ませる。敵陣に入ったところでKJがボールを受けると、左足で晒すようにコントロール。身体を開いて左足でのパスを出すと見せかけ、右足のアウトサイドで針の穴に通すようなスルーパス。KJにアタックに来た中村と山根のマークに付いたイサカの間を通すのは至難の業、しかもアウトサイド。完璧なパスを受けた山根はPA角からグラウンダーでクロス。GKが飛び込めない絶妙なコースに転がすと、そのボールに平松が反応。最後は身体ごと押し込んで1点差に詰め寄る。
 ゴール裏のアングルから見るとKJのパスが如何に変態かが良く分かる。右アウトのコントロールは言わずもがなだが、中村が山根に1歩寄せたタイミングを見逃さずにパスが出てくるのは流石。その後の山根のクロスも、あのコース・スピードとも文句なし。

 後半立ち上がり15分で2点を返したことで、ウチの手応えとフリエの焦りがだんだんと現れる。特に、KJを誰が捕まえるかが全く定まらない。基本的には中村が付いてくるが、深追いしすぎてスペースが空く。そこに山根が走り込んで行くので、前半あれだけ前線に張っていたイサカを最終ラインまで引き摺りだした。縦への速さで相手に的確に恐怖を植え付けていく。

 ウチは北川→深堀でさらにスピードで脅威を与える。フリエも流れを変えるべく、小川→サウロミネイロ、長谷川→松浦。2シャドーをどちらも替える。ミネイロの投入で攻め残った後の最大火力は幾分上がったが、そもそもボールが入る機会が少なく、たとえボールを持っても広大が落ち着いてDF陣が落ち着いて対処。

 迎えた67分、ついに同点に追い付く。内田からのフィードを深堀が頭で落とし、さらに平松が逸らす。このボールは50:50だったが、岩上が出足の鋭さを見せ、ワンタッチで左サイドに解放。左で幅を取っていた山根は右足でボールを持ちながら左側に重心を置き、どのタイミングで縦に仕掛けるかが分からない。相手に飛び込むきっかけを与えずPA角まで持ち込むと、一度減速してKJとワンツーで抜け出す。左足でのクロスは大きすぎたが、右サイドで内田が回収。内田・小島・奥村・深堀の4人で回してリズムを整え、畑尾まで戻して作り直す。畑尾は広大への横パスではなく、WG・WB・CHの中間点にポジショニングしたKJに斜めのパスを入れる。ここにはイサカがチェックに来たので岩上へ。イサカがKJに付けば山根が空くため、岩上から山根へ渡る。ここにも中村が寄せてきた。KJがイサカを引き付けながらスプリントして中村が空けたスペースへ走り、岩上も山根をオーバーするランニングで高橋をボールサイドに寄せる。この2人のランニングによって中央にスペースが空き、山根は奥村へ。このパスが少しズレるが、今シーズンの奥村は球際でも戦える。臆せずボールにチャレンジし、KJへ。KJは山根へ落とし、山根は再度奥村へ繋ぐ。山根・KJ・奥村のトライアングルで回して相手を翻弄しフリーになった奥村は、完璧な1stタッチ、2タッチ目の右アウトでの置き所もベスト、からのコントロールショット。右足から放たれたボールはポストの内側を掠めてネットを揺らす。
 

 ゴール直前の場面。KJがイサカを釣り、岩上のランニングで高橋を引き付けることで、奥村の前方にスペースを作った。これはKJが(相手にとって捕まえづらい)中途半端な位置に立ったことでイサカがそれに付き、山根に対して中村が対応せざるを得なかったことに起因する。本来であれば、KJのマークには高橋を持っていき、イサカは山根番、中村は中央で構えるのがベストだと思われる。CBの横のつながりをウチが分断した時点で相手は崩壊していた。仮に奥村がシュートを打たなくても、右サイドで深堀or小島がフリーになっており、選択肢は複数ある。深堀・小島のケアに山下が下りてこなければならないって事情を考えると、やはり相手に後ろ向きにする時間を増やせばチャンスは生まれる。
 元を辿れば山根が相手のフィードを跳ね返えしたところから攻撃がスタートしており、右に左に前に後ろにボールも人も動かし続け、29本のパスが繋がり、最後に奥村がフリーとなった。フィールドプレイヤー10人全員がボールに触れており、それぞれの動きも連動してスペースを作り出す、まさに「チーム全体で決めたゴール」である。

 こうなれば勢いに乗って逆転まで持っていきたい。大槻氏もスタンドを煽って雰囲気を作る。
 フリエはミネイロにボールを当てる展開を多用していたが、正直その攻撃には怖さを感じない。逆に言えば、ウチのプレスを真っ向に受けてそれくらいしか攻め手がないということか。

 79分、左サイドでのFK。岩上からファーへのボールを畑尾が肩で落とし、最後はPA角で奥村がボレー。枠の上に飛んだがドライブのかかった可能性のあるシュート。

 81分、自陣深い位置から畑尾が長いボールを供給。平松が胸でコントロールして奥村へ落とす。奥村はワンタッチでサイドの小島へ。小島は、DFラインの後ろへグラウンダーのボールを送ると、抜け出した深堀がフリーでシュート。逆転かと思いきや、わずかに左に逸れる。

 86分にも決定機。ゴールキックを畑尾が跳ね返し、セカンドを深堀が回収。深堀→岩上→山根と繋ぎ、山根は平松へ浮き球のパス。これを平松が上手く逸らし、KJが抜け出す。KJは中村に掴まれて前進できなかったがボールをキープし、右の深堀へ。深堀は右足でシュートを放ったが、ブローダーセンがファインセーブ。惜しくも決まらぬ。

 後半は防戦一方だったフリエも、最後に試合を決めるチャンスを迎える。畑尾からKJへのボールに対して山下がチェックし、こぼれを手塚が拾う。手塚はワンタッチでクレーベへ。クレーベは外を回った松浦を使うと、松浦はワンタッチでマイナスのクロス。フリーで受けた山下は2タッチでミネイロにラストパス。フリーのミネイロは左足を振り抜くがボールはクロスバー直撃。後半唯一のチャンスを生かせない。相手のシュートミスではあるが、最後の最後に広大が身体を投げ出して寄せたことも効果があった。

 ATも縦への鋭さを見せ、ラストプレーでもPA内まで侵入したがゴールにまでは至らず。3-3で終了。

雑感

 学ぶものが多い試合。そして、シーズンを通して1つキーポイントとなるかもしれない。

 ディフェンス面では2試合連続3失点と厳しい結果になってしまったが、相手の勢いに多少呑まれてしまった部分は否めない。やはりWBに対して掴み切れなかったのもあるし、そのWBが1列落ちて且つハーフスペースを使ってくるとそう簡単には対応できない。ましてや、リーグ首位の決定力となれば尚更だ。立ち位置的にサイドに歪みが生まれやすいのに、山下とイサカが前向いて突っ込んできたら成す術がないというのが正直なところ。
 じゃあどうすれば防げるのかと考え、リスク承知で前から限定し、WBのポジションを押し戻すことを後半は行った。また、可変ではなく常時5バックにして相手とのマッチアップを固定させた。ミシャ式に対してマンマークは有効と言われているが、明らかにWBの部分がハッキリした。試合後のコメントで「開き直るしかなかった」と大槻氏は述べていたが、3点のビハインドを負っていたからこそ、ベクトルを前に向けたチャレンジをしたのではないだろうか。そして、前から嵌める姿勢こそ、シーズン当初からウチが示していたスタイルである。原点に戻って積極的にプレッシャーをかけることで、相手の勢いは削がれた。ここ2試合は難しさも感じたが、自分たちの目指すべき形を遂行すれば苦境も乗り越えられる。

 攻撃では今シーズン初の3ゴール。前半から何回か形を作っていたが、後半は完全にペースを掌握した。連動した守備からのポジトラで相手を上回り、高い位置で前向きにプレーする時間が長くなったことで、チャンスを多く創出した。
 加えて、3点ビハインドでも躍起にならずにボールを繋いだことも大きい。特に印象的だったのは、2点目に至るシーン。広大が櫛引に戻したところで、大きく蹴り出すのではなくワンタッチで岩上に縦パスを入れた。このプレーを見た時に、「このチームは大丈夫だ」と確信した。結果、岩上もワンタッチ、畑尾はツータッチでシンプルに叩いてパス回しにテンポを生み、ゴールまで結びつく。負けている状況だとどうしても焦って前に逸ることがあるが、自分たちを見失わず原則に基づいた判断ができており、チームとしての結束を感じた。

 試合結果だけを見れば、前後半で評価が変わるのも無理はないだろう。しかし、90分を通して見ると、前半が極端に悪かった訳でもなければ、決して偶然追いついた訳でもない。一部分を切り取って断定するのは、まさに『短絡的』という表現が適する。

 秋田・大宮・フリエと嫌な流れが続いたが、どんな状況でも自分たちを信じて貫いたことで、徐々に流れが上向きになっている。この流れを確かなものにするためには、次節の甲府戦は重要。ここをモノにできれば、2022シーズンのウチは次のフェーズに突入するだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?