切歯扼腕 vs千葉 0-3

 スペシャルプレーで先制に成功し、その後もコンパクトな陣形は保ったが、1stプレスのスタートが低くなり、終盤に少ないチャンスをモノにされて引き分けた前節。ベンチメンバーにFWがいないスクランブルな編成だったが、前半のうちにアクシデントが発生し、より難しい試合展開になった。4-4のブロックで対応できそだったが、4-5気味の配置になり、相手が押し上げるスペースを与えていたことが、最後に響く。それでも1は着実に積んだから、それを次に生かしたいところ。

 ホーム連戦となる中、迎える相手は千葉。このタイミングでのお犬様である。前回対戦時は、山中LSB天笠LSH起用がハマり、平松のゴラッソで勝ち切った。ヴェルディ戦の今シーズン初黒星を喫した悪い流れを断ち切る素晴らしいゲームだった記憶。
 その後も千葉は例年通りの平常運転。5月から6月にかけて3連勝したものの波には乗れず、現在は3試合勝ちなし。ウチとの試合では3バックだったが、その後は4バックを採用する試合が多かった。連勝時も4バックが機能していたが、ここ最近は分析されて機能不全に。すると、前節岡山戦は3バックに回帰。尹監督も分析されたことを感じた上での3バック選択。川崎から育成型期限付き移籍で静学出身の田邉が加入したことで、より3CBの人選がしやすくなった。前節の戦い方に手応えを感じている様子。

 どちらの布陣で来るかは読めないが、前回対戦時は3CBの脇を的確に突いて崩したことを忘れているのかもしれない(後半田口に好きにやられたのは忘れてほしい)。3バックだとチアゴ・デ・レオンソを頂点に置いているようだが、孤立気味。1人で何とかする馬力もなくはないが、1stディフェンスが得意なタイプではないので、1stラインを時間を掛けずに突破し、広く使って展開したい。

メンバー

 ウチは前節から2枚変更。アマ→高木友也、国友→KJ。今週リリースのあった高木友也が即スタメン。KJも久しぶりにスタメンに帰ってきた。とはいえ、前節負傷した国友はメンバーから外れた。

 対する千葉も引き分けた岡山戦から2枚変更。秋山→末吉、高木→ブワニカ。

前半

 この試合はどのように入るのだろうと思っていたら、息つく間もなく失点。2分、新井章太のロングフィードに対し、1列落ちてきたチアゴと岩上が競り合う。チアゴの頭を越したボールに岩上が何とか足を出して反応。しかし跳ね返すまでは至らず、ハイボールが後ろに流れる。マイボールにしようとするブワニカに対し、城和が早めにコンタクト。一度ボールを落としてしまうが、ブワニカに競り負けず、城和は後ろを戻すことを選択。しかし、後方にいた畑尾の頭を超えたボールは櫛引の手前へ。櫛引がキャッチして落ち着くかと思いきや、直前で風間宏矢が掻っ攫って無人のゴールに流し込む。電光石火の先制点。
 これは幾つか防ぎようはあったが、3つミスが重なると確実に失点まで結びついてしまう。チアゴが最終ラインよりも1つ下で競るのは意図していたわけではないだろうが、ここで跳ね返せればとは思う。その後の対応含め、開始早々であればセーフティな対応をしたかった(後ろに戻すのも勿論選択肢の1つではあったが、中途半端になってしまった)。

 出鼻を挫かれたが、その後は殴り返そうと前に出る。平松が左サイド深くまで抉る場面や、友也が持ち前の推進力を活かして縦への突破を見せてクロスまで至るも、中には合わずといったシーンを作った。

 が、効果的な攻撃を繰り返すことはできず。というのも、先制点を取った千葉は明らかに5-4-1(5-3-2気味になることもある)の綺麗な配列を敷いたので、ウチは全くと言っていいほど縦が刺せない。KJがいつものように左で浮いてボールを受けて前進しようとしたものの、次のパスコースがない。

 そして、フィニッシュまで持ってけずにロストすると、守りにくさも感じることに。福満と末吉が高い位置を取って友也と岡本をピン止め。それに対し、風間とブワニカが1列落ちて深さを手に入れる。ウチとするとCHの脇に入られると誰が捕まえるが曖昧に。ウチのCHが捕まえようとするとパスの供給源である田口と小林にプレッシャーがかからない。ブワニカ・風間・田口・小林の4選手がいるスペースを細貝と岩上の2人で対処するイメージになってしまった。

 機能しているとは言い難かったが、それでも最少失点で切り抜ければ後半は修正できるだろうという淡い期待は、簡単に打ち砕かれる。
 45+1分、新井がダブルタッチで友也のプレスを剥いで1stラインを突破すると、自ら隣のレーンのボールを運んで角度を作って、大外のレーンの福満へ。そこに小島がプレスに行くが、ハーフスペースに風間宏矢が走り込んでボールを受ける。風間に対してアタックに行けずPA内への侵入を許すと、優しいクロスにブワニカがフリーで合わせて追加点をゲット。
 前半の締め方が不明瞭になった。千葉も無理に運ぼうとする意思はなく、ウチもパワーを割かない様子だった。しかし、ボールを下げたことをトリガーに前で奪おうと圧力を掛ける。ここで引っ掛けられないとなると、一気に手薄になってしまう。
 とはいえ、そこからスライドもしきれずにゴールまで行かれるのは辛い。チームとしてふんわりしていた印象は強く、後ろの陣形が伴っていないままパワーを掛けた判断が最善だったとは言い難い。にしても、剥がされた後の対応も淡泊になってしまったことも悔やまれる。

 点差を離されたショックを引き摺って前半を終える。

後半

 後半開始から小島→山中。HTの指示でもあったように、ボールの動かし方を少し変えた。前半は差し込むスペースがないので横・横・横で詰まっていたが、後半からはパサーとレシーバーの距離が多少遠くても躊躇せず繋ぐようになった。スピードの伴ったボールが左右に行き交っていたが、相手のスライドの綻びを生じさせるためにも有効な策。

 50分、この試合初めての決定機。畑尾がハーフウェーで跳ね返したボールを風間が落とし岩上へ。岩上→KJ→細貝→友也と少ないタッチで深さを使うパスが続く。友也にパスが入ったタイミングで山中が躊躇せずオーバーラップ。そこに千葉の意識が流れたところで友也はKJとのワンツーでボールを運び、中央でフリーの岩上へ。岩上は柔らかいボールを岡本へ送ると、岡本は難しい高さのボールを太腿で上手くコントロールして風間に渡す。フリーとなった風間がハーフボレーで合わせたが、千葉のGKのフィスティングによって防がれてしまう。
 この場面では、岩上と細貝のビシッと足元に収まる楔が入ったことで攻撃のテンポが生まれた。加えて、山中のランニングにより、友也・KJ・山中のトライアングルが形成されてボールを動かしやすくなった。ここが決まっていれば流れを持ってこれただけに、悔しい。

 その後も友也と岡本がサイドの幅を目一杯取り、そこで角度を付けて中に流し込む攻撃に活路を見出す。岩上・細貝から目の覚めるようなスピードの横パスがガンガン繰り出されており、揺さぶるためにはこれくらいの速さが求められると実感。前半は厳しそうな2人だったが、後半に入り大分動けるようになっていた。

 相手陣内でプレーする時間が徐々に長くなっていたが点差を詰められずにいると、75分に試合を決定付ける得点が生まれてしまう。ウチが左サイドから上げたクロスがカットされると、ブワニカが千葉陣内からドリブル開始。ウチの選手は前にパワーを掛けていたのでブワニカにチャレンジできず、ディレイするのがやっと。バイタル手前で減速こそさせるが、ブワニカは思い切って狙ってくる。シュートは櫛引が弾くが、足を止めずこぼれ球に唯一反応した櫻川の元にプレゼントが転がり込んだ。冷静にプッシュして3点目。
 観ている時にはダメージの大きかった失点。冷静に見れば、リスク負って前にパワー割いたので引っ繰り返されるのは無理もない。誰か1人がボールホルダーにアタックしたい状況ではあるが、コンディション万全ではない夏場の試合の75分だっていう要素は情状酌量の余地があるようにも(いい訳だって捉えられればそれまで)。

 その後は、敷島の綺麗な芝をわざわざ削ってからボールをセットし、時間を掛けて蹴った割に精度が悪すぎるキックでマイボールのスローインになるような展開が繰り返される非生産的な時間が過ぎていく。
 結局最後まで一矢すら報えず、0-3で終了。

雑感

 内容自体はどちらも低調。少ないチャンスを仕留めたことで千葉に流れが傾いた。

 ディフェンスの課題は失点時に触れたものが全て。開始早々の失点はその後の展開に大きく影響するので、今後も減らしていきましょうってのが大きなポイント。

 攻撃に関しては、試合中の印象よりもバイタルまで進む回数は多かった。そこからの最後の仕上げが噛み合わず。友也の推進力は十分分かったので、次は中の選手とのタイミングが合わせたい。
 また、試合後の大槻氏のコメントでは左サイドのロストについて言及されていたが、これは前半の距離感の部分が該当すると思われる。友也が高めの位置で大外に張っていた時に、KJが手前のスペースに落ちてボールを引き出す。この動き自体は元々チームとして落とし込んだ部分だが、KJがボールを持つポイントが友也と同じレベルになってしまい、深さがない。加えて、KJと友也がすぐ隣のレーンに位置するので、小島がオーバーラップ(orインナーラップ)するタイミングとスペースが失われて窒息した。その為後半は、KJがサイドに流れ過ぎず、代わりに山中をどんどん高い位置に走り込ませたのかと。

 ずっと内容の良い試合が続くことはあり得ないし、夏場の消耗激しい時期はコンディション調整も難しくなる。ただでさえ体が重いところに立ち上がりの失点でメンタル的にも厳しい状態に陥った。選手のケアの部分は現状足りておらず、環境整備はやはり急務なのだろう。

 試合内容としては傷の深いものだったが、これで折れる訳もなく。過ぎたことから悪い部分は修正し、またすぐやってくる次の試合に挑むといったサイクルを継続するほかない。相手がどこであろうと、やるべきことを真摯に続けていけば戦える。
 横浜でひと暴れしよう。

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