原点回帰 vs水戸 2-1

 北関東ダービーとなった前節は、お互い決め手に欠けスコアレス。仕留め切れなかった悔しさは残るものの、後ろが崩れずにファイトしていたのは収穫だった。

 中6日での変則金曜日開催となった今節の相手は水戸。2週連続北関東ダービー。もっと言えばミッドウィークに天皇杯@K'sスタがあるから3試合連続ダービー。
 前節5-0で愛媛を粉砕し、意気揚々と群馬の地に乗り込んでくる。ザスパOB・元監督の秋葉氏率いる水戸は、殴り勝つサッカーで昨シーズンはトップハーフでフィニッシュ。が、レンタル移籍に活路を見出すクラブ方針の性だが、主力がボロボロ抜けた。田舎の山賊がまた北関東を襲ったらしく、トップスコアラーの山口(形上は鹿島にレンタルバック、靱帯の怪我で長期離脱中)、外山、安東(レンタルバック)と、続々抜けた。レンタルは地方クラブの永遠の課題にはなるが、スクラップ&ビルドの脱却を目指し、今シーズンはレンタル加入の選手の割合を減らし、安定的なチーム編成を目指した。
 様々なシステムを試し、試合中にも可変で戦っていた昨シーズンとは違い、今シーズンのベースは4-3-3でスタート。秋葉氏曰く「強者のシステム」で2位以内の昇格圏を目指したが、昨シーズン同様の出入りの激しいスコア、しかも若干赤字気味に。10節の秋田戦で敗れると、チームは現実的な路線にシフトチェンジし、目標を残留争いからの脱却に実質的には下方修正した。その後も可もなく不可もなくの試合が続く。

 ここ最近全然勝った記憶がなく、相性の悪い印象の水戸だが、ここで勝って流れを変えたい。

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 ウチは前節から2枚変更。栃木戦で負傷した岩上に代わりジャス。高木ではなく北川がスタートから。北川は加入後初スタメン。ベンチには、大卒ルーキーの高橋勇利也が初のメンバー入り。

 対する水戸は大勝の前節から1枚変更。GKが中山ではなく牲川に。

前半

 コイントスに勝った水戸がエンドチェンジで風上を選択。ウチが変えるのは良くあるが、対戦相手が選ぶのは珍しい。前節の勢いそのままに先制して蹴りを付けたいっていう思惑か。

 4分、いきなりのピンチ。ピッチの中央でボールを受けた村田が遠めからミドル。ドライブのかかったボールは風に乗って枠内に飛んでいたが、松原が冷静に外に弾き出した。

 7分、森のパスを受けた安藤が上手く畑尾と入れ代わって抜け出す。畑尾が懸命に足を伸ばしてボールに触れ、ボールは安藤のコントロール下を離れた。松原も反応したが、そこに安藤が躊躇わず突っ込む。当たり所によっては大怪我に至るような接触だったが、幸運にも負傷せずにすんだ。先月隣のクラブのラフプレーが世間を賑わせたが、それに匹敵する残念なプレーだった。シュートしようとする意図は理解できるが、あのタイミングで飛び込むのは危険すぎる。

 10分、KJから左サイドに流れた北川にパス。北川は前進しながら上手く反転してKJに戻す。動き出しでマーカーを外したKJはそのままシュートに持ち込むもサイドネット。中で大前がフリーになっていたが、囮にして自ら仕留めに行った。

 21分、右サイド村田のアーリークロスを松原がパンチングするも、こぼれ球を森が回収。森→平野とつなぎ、緩いクロスを上げると村田が合わせる。シュートは枠を逸れていたが、安藤がこぼれ球に突っ込むが、広大が体を張って防ぐ。

 水戸が攻勢に出る時間が長くなっていたがゴールが奪えず、徐々に焦れてきた。段々とパスの距離が長くなり、CBから1つ飛ばしてサイドを狙うパスが増えた。それだけウチのブロックが我慢して崩れなかったという証拠。

 42分、CKから村田が合わせるも松原が正面で処理。昨シーズンの対戦では散々CKからやられていたが、ここでは事なきを得る。

 44分、左サイドのペナ角から細かいパスを繋いで安藤が強引にシュートを打つも中山がブロック。こぼれ球を奥田が立て続けに2発シュートを打つが、どちらも中山が身を挺して防ぐ。最後の局面でゴールを割らせない。

 風下で0-0は御の字と考えていた45+5分。ジャスのスローインから稔也が内田に繋ぐと、ワンタッチで内田がクロス。これに北川が合わせると、ポストの内側に当たってゴールに吸い込まれる。相手CBが直前に被る&微妙な高さのボールという合わせるのが難しい場面だったが、上手くミートしたボレーだった。今季初スタメンだった北川が一発回答。

 久しぶりに先制に成功して前半を折り返す。

後半

 水戸ボールのキックオフで始まると、なかなかマイボールにできず、ふんわりと試合に入ってしまう。そのままズルズルとボールを握られると、大崎→森で左サイドを抜け出してクロス。安藤が合わせたが、松原がファインセーブ。同点のピンチを救う。

 50分、敵陣左サイドから、大前のFK。鋭いボールがファーに流れると稔也が滑り込んで合わせる。しかし、ここはGKの手に当たってしまい追加点にはならず。

 65分、広い展開から左サイドで水戸がボールを持つ。森→新里→奥田とつないでネットを揺らす。しかし、奥田がオフサイドポジションだったため認められず。映像を見るとタイミング的には結構ぎりぎりだったが、VARがなければピッチ内の審判のジャッジは絶対(嫌な思い出もある)。

 79分、遅延行為をしないようにレフェリーから注意を受けた直後の松原のゴールキック。右サイドのタッチライン際に北川が流れていて、そこを狙って蹴ったようだが、ボールが中に入り大前のもとに。松原は狙いと違うキックとなり謝るような声も聞こえた気もする。身長差があり、競るのが難しいかと思われたが、大前は上手く体を使いながら相手を背負い、前を向いてトラップをする。このトラップの時点で大勢は決していたし、どうやったら浮き球をあのようにコントロールできるのか。素晴らしいファーストタッチから、優しいラストパス。ワンタッチで撃てるところに通されたボールを受けた北川が厳しいコースを決め切りドッピエッタ。勝利を手繰り寄せる追加点を決める。直後に足を攣って交代となるほど力を出し切っていた北川だが、最後の力を振り絞ってぶち込んだ。

 85分、ウチの足取りが遅かったところが遠因となり、この試合初めてSB-CB間を突くスルーパスを通され、森が流し込む。

 その後も水戸が同点を目指すが、ウチが一丸となって守り切り、8試合ぶりの勝利。

雑感

 ダービーは結果が全てであり、これでダービー首位浮上。2016シーズン以来の水戸戦勝利らしい。

 ここ数試合良さを見せていた守備陣だが、今日は1つの理想形となった。失点が余計だったとはいえ、チームとしての連動性が今シーズン1の出来。
 2CB+平野が回し、両SBが外に押し出されるスタンダードなシステムの水戸に対し、SBを事前に捕まえることを諦めた。というより捨てた。KJと稔也のSHがプレスにはいかずに正しい位置に立つ。ハーフスペースを物理的に遮ることで、相手の縦の矢を入れさせなかった。SHが二度追いする必要があるため、夏場はきつくなるが、今日に関しては見事に機能した。
  プレスに行かないことがバレた後半は、相手のビルドアップのスタート位置が高くなった。また木村がウチのFWの間に構え、縦のギャップを作って斜めのボールを受けようとしたが、これもウチが蓋をする。

 この中央を締めてサイドに追い込むのは、2019の布さんのやり方に近い。そのうえ、KJ・稔也・ジャスっていう2019を経験した選手が中枢を担って戦っているのは感慨深かった。このやり方を熟知している選手たちがいれば、やりやすさはあるだろう。

 足りなかった前線のピースもついに見つかった。守備時のプレスバックも効果的だが、結果を残したことは何よりも多くのものをもたらせた。ハイボールのターゲットも厭わず競り合ってくれる分、前での回収率は高くなるし、今まで闇雲に上げていたクロスに対する期待感も大きくなる。
 山口戦での屈辱のインアウトを経て、腐ってもおかしくない状況にも折れず、スタメンでいきなり結果を出すことは並大抵のことではない。インタビューも素晴らしかった。「腐らずやり続けていた結果、ボールが転がってきた。」そのひたむきさは、北川からも、チーム全体からも伝わってきた。

 まだ8戦勝ちなしが止まっただけとはいえ、これで3戦負けなしにもなった。金沢、栃木と拾ってきた勝点が、今日の勝利でより大きくなった。この戦い方をベースにしながら、地道に勝点を積み上げていくしかないが、あのディフェンスができれば、自ずと結果も付いてくるはず。まずは天皇杯で水戸をもう一度叩いて、上位京都に挑みたい。

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