東奔西走 vs愛媛 2-1

 近年苦手とする北九州が今シーズン未勝利という不発弾状態がやってきた中、初勝利を献上して見事に爆破処理。やっぱり小林伸二氏には勝てない。試合中に信じられないような事態が生じたような気もしたけど、思い出したくない。ウチの大人の対応は素晴らしいが、失ったものは返ってこない。

 でもって今日の相手も今シーズン未勝利の愛媛。J2昇格時の松山市長の無礼な言動からの因縁、対戦するたびに風化させてはならぬ(松山市HPにはもう残ってないらしいけど)。件の当時の松山市長が現愛媛県知事となり、『強い要請』でリーグ戦中止にしたのもいとをかし。中止にする判断は全然問題ないけど、リーグのプロトコルすっ飛ばして行政の鶴の一声で決定して、しかもそれをリリースしちゃう辺り、クラブも県も闇が深い。
  チームの方は、ポゼッションスタイル(仮)に見切りをつけ、今シーズンから和泉氏が指揮を執る。チーム創成期に携わっていたらしく、就任のパターンとしてはウチと似てはいる。志向するサッカーは、「愛媛らしい」というのがしっくりくる。ドン引き、蹴る、走る、削るっていうアンチフットボールで殴り込む。極端にドン引きではなくミドルプレス気味だったりするらしいけど、特筆すべき要素はない。ただ、相手の強さを消して塩漬けにする曲者ぶりは相変わらずらしく、長崎と千葉から勝点1を拾っている(サンプルの出来もよろしくないっていうのは人のこと言えないから止めとこう)。
 昨シーズンの対戦ではダブルを達成しており、悪いイメージを植え付けた。今日も残留を争いかねない相手を蹴落とし、6ポイントを制してほしいところ。

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 ウチは前節から5枚変更。慶記が今季初出場、前節怪我で途中交代の藤井に代わって平尾がLSBに入り、右に昇偉を置いた。広大→城和も納得、殊勲の働きをした中山の有給で奥村を抜擢。さらに、翔大が外れて前節スキップの岩上が帰ってきた。どういう並びなのか試合前に予想しにくくTLも困惑していたが、内田がRSHを務め、稔也が前線という配置。

 対する愛媛は、池田→茂木、田中→山瀬の2枚を変更。リーグ全体のリバイバルブームに乗っかり、懐かしい面々が戻ってきている。

前半

 水捌けの最悪な田んぼみたいなピッチに定評のあるスタのため、ボールが転がらない怖さもある豪雨の中、試合が始まる。

 やっぱり立ち上がりはリスクを避けて長めのボールを多く用いる。とはいえ、今日の城和畑尾CBコンビ+岩上が繰り出すフィードは可能性を感じる。当然相手はボール保持を放棄するため、展開としてはバタつき気味。

 最初のチャンスは28分。昇偉のスローインを奥村が綺麗に受けて大前へ。大前が上手く体を使って相手をブロックして反転すると、再び奥村へ渡す。奥村はワンタッチでKJへ。立ち上がりに平尾の動きを囮にシュートを打ったKJは、今度は平尾に絶妙なパス。平尾はそのまま右足アウトでシュートするも、ここは秋元に防がれる。平尾はこのプレーで足を気にするもピッチに戻った。一連の流れが素晴らしかったが、奥村のオフザボールの動きと、稔也がDFをわざと誘導する半円の動きが連動していた。こういうプレーはここ数試合見れなかったし、もっと増やしたい。

 続くチャンスは38分。自陣右サイド、昇偉のスローインから内田が左に展開。平尾・KJ・奥村でパスを回しながら頃合いを見計らっていたが、相手の陣形が整ったことで一度後ろに戻す。岩上→城和→昇偉と繋ぐと、内田がダイアゴナルランで引き付ける。そこで空いたスペースを奥村が使い、ワンタッチで内田に見事なパス。シュートに持っていける場面だが、内田はマイナスへのパスを選択。そのボールに大前が合わせるも、相手のブロックに遭う。が、何故かゴールキックの判定。何見てるんだろ。J公式の速報も当たったって言っちゃってるし。

このボールに反応した大前が右足でグラウンダーのシュートを放つ。しかし、茂木の体を張った守備に阻まれてしまう
弊クラブといたしましては、起きてしまった事象に対して下されたいかなる処分も受け入れますが、「日本サッカー界におけるレフェリングの質の向上」と今後このような事象が起きない為の「Jリーグ全カテゴリーでのVARの早期導入」「審判団のコミュニケーションの徹底」などを求める改善策を(公社)日本プロサッカーリーグにご提案させて頂きました。
https://www.thespa.co.jp/thespa/club_newsinfo/news/newsdesc.cgi?newsid=2021040201

 いくつかチャンスを作るものの、仕留め切れずに前半を終える。

後半

 後半の立ち上がりは愛媛が若干ボールを持つが、保持する時の中盤の重心が低く、完全に前後が分断されているため、ウチとしては守り易かった。セカンドを拾う回数が増え、嵌め方も分かったので、徐々に圧力を掛けるポイントを前にしていく。

 56分、今日最大の決定機。自陣でパスカットしたKJが素早く稔也に付ける。稔也は大前に渡すと一気にスプリント。そこを目掛けた大前の縦パスはDFに拾われるも、稔也が猛烈にプレス。その迫力に負けたDFがキックミスすると、そのボールを内田が奪ってゴールへ一直線。あとはゴールに流し込むだけというところで、まさかのミスショット。巻き切れずに千載一遇のチャンスを逃す。

 決めきれずに嫌な流れなりそうだった61分。CKのこぼれ球を岩上がアバウトに蹴ると相手のディフレクト等で何故か畑尾の足元にいい感じにこぼれる。畑尾から稔也にスルーパスが通ると、稔也は落ち着いてコントロールして柔らかいクロス。DFの頭上を越えていったボールに唯一反応していたのは稔也にボールを出した畑尾だった。畑尾の高いジャンプからのヘディングで開幕戦以来の先制に成功する。

 1点取ったことで落ち着くと思ったのも束の間、山瀬のシュートのこぼれ球を近藤が押し込む。これはオフサイドによって取り消されたが、映像で見ると多分セーフ。DFとFWの進行方向が逆+ボールの軌道を追って視線が移動した等々の要素により錯覚しやすい状況だったが、この判定で試合結果が左右されることを考えると何とも言えない。2試合連続でこういう場面を見ると、ジャッジの向上はやっぱり課題だと感じる。

弊クラブといたしましては、起きてしまった事象に対して下されたいかなる処分も受け入れますが、「日本サッカー界におけるレフェリングの質の向上」と今後このような事象が起きない為の「Jリーグ全カテゴリーでのVARの早期導入」「審判団のコミュニケーションの徹底」などを求める改善策を(公社)日本プロサッカーリーグにご提案させて頂きました。
https://www.thespa.co.jp/thespa/club_newsinfo/news/newsdesc.cgi?newsid=2021040201

 その後は冷静に試合をコントロールしていた中での87分。自陣でまたもKJがボールを引っ掛けると、右サイドに流れていた翔大に当てる。そこから再びKJがボールをもらうとワンタッチで大前を走らせる絶妙なパス。大前も懸命に走ってボールに追いつくとそこから先は職人技。キックの名手にあれだけの時間とスペースを与えれば、そりゃあの精度のクロスが上がる。そしてそのボールに走り込んだ久保田が合わせて待望の追加点。久保田は7年目にして嬉しいJリーグ初ゴール。

 これで締めれば完勝と言えたものの、直後に余分な1点を献上。試合終盤に後ろいじって5バックにするのはリスク大きいし、難しいピッチコンディションにアジャストするには時間が掛かる。とはいえ、あのスリップは少し頂けない。

 1点詰められたことで、最後まで緊迫した内容になったが、上手く時間を使って2-1で開幕戦以来の今季2勝目。

雑感

 相手の出来というかクオリティに救われた部分は大いにあるけど、それでもこの内容で殴れたことはポジティブに捉えられる。

 ここ数試合攻撃の形が全くと言っていいほど見えなかったが、遂にクロスから、それも2発取れた。そこに至るまでの展開も確実にスピードが上がっており、縦パスからスイッチを入れて押し上げる場面が多かった。
 昇偉は右の方がやっぱりフィットするし、平尾とKJのところは安定。内田を右の前で使うのは意外だったが、思った以上に機能した。シュートが入らないのはご愛敬だが、セカンドボールを拾えるポジショニングセンスがある。サイドにボールを落ち着く場所ができた分、重心が下がらずに済んだ。
 城和・畑尾のコンビは足元の心配がなく安心して見られるし、岩上がビルドアップに加わると、3人全員局面打開できるフィード能力を持っており、相手のプレスを的を絞らせない。
 加えて、試合後に映像を見返すと要所要所で奥村がかなり効いてた。先述の通り前半の2つのチャンスに絡んでいたが、それ以外でもゲームをコントロールし、そしてよく走っていた。中山が帰ってくる次節、誰をチョイスするのかは贅沢な悩み。

 ディフェンス面でも、これまでに比べると数段クオリティが下がる相手ではあるが、危ないシーンはほぼほぼなかった。
 初スタメンの城和は、コンタクトの部分で必要以上に厳しくファウルを取られていたが、気にする必要は全くない。時に基準のブレる審判に巡り合うことも当然あるが、相手に前を向かせない意識の強さが感じられる。藤井がどれくらい離脱するかは定かではないが、いない間は今日の組み合わせがファーストチョイスになることに異論はないのではないだろうか。

 3連敗で嫌な流れになったが、叩くべき相手をしっかり叩いて3ポイントを得た。まだまだ団子状態とはいえ、これで13位にまで上がった。次節は、今シーズンエンジンのかからない長崎。去年のホームでの戦いを思い出すと、あのメンバーでこの低迷は信じ難いが、きっかけ一つで浮上することも考えられる。相手を眠らせたまま、連勝で上位に食らいつく。

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