前向き vs相模原 0-0

 アクチュアルプレーイングタイムを極端に減らすアンチフットボールに対し、真っ向からフットボールを展開して撃破した開幕戦。開幕戦の勝利は3年ぶり、J2時代のみで考えると瀬川がドッピエッタした2016シーズン以来の勝利となった。失点時含め課題はあるが、過度な相手の圧力に屈することなく勝ち切れたのは勢いを生む。にしても37分しかないって、60分以上も動いてない時間を見せられてた俺らは、一体何といえば…。

 今節の相手は相模原。2試合続けてJ3昇格組との対戦となる。昨シーズンは9月以降に怒涛の追い上げを見せ、最終節で長野の初昇格とウチの南長野に行きたいという願望を打ち砕いて昇格を決めた。ユーリ、ホムロといったパワーのある前線を武器にしながら後ろを固める内容で手堅く勝点を拾っていた。かつて所属していた梅井もチームの中心として活躍している。開幕戦は京都と対戦し終盤の2失点で負けたものの、ある程度守備に手応えを掴んでいる様子であり、J2初勝利を目指して鼻息荒く試合に入ってくることとなる。

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 ウチは前節から2枚変更。前節ハムを痛めた広大が今節をスキップ。代わりに内田がCB起用。それに伴い、久保田が前節途中から輝きを見せたCH、そして右サイドにはキャンプに合流できず(憶測の域は出ないが)調整が遅れていた稔也が今シーズン初スタメン。最前線には、前節決勝点に絡んだ翔大が入る。オフェンスのメンバーは昨年から継続されており、どのような働きを見せるか期待が高まる。

 一方の相模原は、6枚の大幅変更。GKは三浦が3年まで初出場を果たしており、乗せると怖い。さらに、柏から期限付きできた鎌田、ウチに在籍歴のある夛田、G大阪U-23時に対戦した芝本、川崎、そしてホムロが入る。ホムロのコンディションがどこまで高まっているのかがカギ。

前半

 開始早々からサイドを突破しようという狙いを見せ、度々CKを獲得する。久保田がボールの前で立ってたところに勝手にボール蹴られてカード出されるっていうシーンで審判がハズレだって察したりもした(意図的に邪魔したなら遅延行為だけど、向こうが好きで始めて当てたのにカード出るのは違うし、百歩譲っても4分でカード出す場面じゃない、家本さんの手記を100回くらい読んできてほしい)。

 14分、右CKから昇偉が合わせるもDFに防がれる。そのこぼれ球を翔大が押し込もうとするも、稔也に直撃してゴールならず。

 18分、平松にアバウトなボールが当てられ、マイナスに落としたところをホムロがループ気味に狙うが、松原がライン上で落ち着いた対応を見せる。

 片方のサイドに寄せられるケースが多かったため、なかなか中央を割ることが出来ず、昇偉か平尾が同サイドで持ち込むことが攻撃の主な形となっていて、なかなか中盤がゲームメイクに参加しづらい展開となった。そんな状況でも久保田がしっかりセカンドボールを拾って落ち着かせ、周りを動かしていたのは前節に続いて好印象。

 前半終了間際、相模原のCKで川崎が合わせ、さらにゾーンを掻い潜ってフリーになっていたホムロがコースを変えるも枠に飛ばず。これが相模原が試合を通して唯一作った決定機だった。

 直後にウチもCKの流れから最後は稔也が頭で押し込もうとするが、GKの正面に飛んでしまい得点に結びつかず。スコアレスで折り返す。

後半

 後半も前半同様スタートから前への圧力を強めて入った。

 49分、翔大が倒されて得たFK。大前が狙いすますも少し弾道が浮きバー直撃。なかなかゴールが遠い。

 何とか攻撃を仕上げたいウチだったが、62分にアクシデント。昇偉が自陣で倒されたファールを得たところでクイックリスタートを選択。一気に左サイドを攻め込もうと平尾が相手をかわすと、相模原の右WBが全くボールアクションではないタックルを敢行。着地していた平尾の左足を踏む形になり、勢いに乗っていた平尾はアタックをもろに受け転倒。本人は倒れた直後に、「足首やった。厳しい。」とベンチに叫んでいたが、映像で確認すると、衝撃を受けて足首が曲がっているので間違いなく負傷しているが、足首から倒れる際に足が巻き込まれる形になり、もしかすると膝の側副靱帯等にも影響がある可能性も排除できない。ただでさえ小島が長期離脱中の中、ここで左サイドで良い働きを見せていた平尾を失うのは、試合状況のみならずシーズン通しても痛い。何より、昨シーズンも怪我で長期離脱し、復帰後も様々なポジションでタスクを遂行して、今シーズンの開幕スタメンを勝ち取ったのにまた離脱するとなると、本人のダメージも大きいのではないだろうか。
 ボールと関係ないタイミングで遠い方の脚を削ってるタックルは極めて悪質であり、一発レッドでもおかしくない。ましてや、カードを出された後も周りに促されるまで平尾への謝罪がないことも印象悪い。

 ベンチに左SBが本職がおらず、加えてベンチ組のアップのペースもそこまで上がっていなかったので、難しい交代となった。①右に城和を投入して昇偉を左に移す、②CBに城和、内田を一列上げ、岩上が右SB、③岩上が右SB、中山or奥村を真ん中に入れる等々選択肢は複数ある中で、指揮官はなんと中盤が本職の奥村を平尾と同じ左SBに入れる大胆な決断をする。右サイドの昇偉と稔也のコンビを崩したくなかった、若しくは守備面での不安はチームとして少なかったなど考えられる理由は様々だが、より攻撃を仕掛けたいという意図が見える選択だった。

 スクランブルな状況でデビューとなった奥村は、ガチガチになるのも無理はない状況。最初の数分は硬さが見られ、周りとのパスのタイミングも合わなかった。クロスを上げる場面でも、かつての寺田を彷彿とさせるようなクロスが見られたが、徐々に非凡なセンスを見せるようになる。

 相模原も選手交代によって打開を試みる。合流間もないホムロに替えて和田を投入してきたが、前線でポイントになれる平松とその周りを衛星的に動ける和田の組み合わせが、前がかりなウチに対するカウンターが有効打となる最も怖い組み合わせだった。しかし、その前に藤本を投入していたり、終盤にはインサイドで汗をかいていた清原を下げユーリを投入した。確かに藤本はタメを作りながら正確なボールを供給できるし、ユーリもプレーを見る限りボールをキープするパワーは持っていた。しかし、その分カウンターのスピードは大幅に減り、ウチのネガトラの方が速かった。陣形の整った状態であれば、今のウチのDF陣はそう簡単に崩れる心配はなく、脅威はそれほど感じなかった。

 ウチも進を入れ、その進が惜しいシュートを放つもポストに直撃。短い時間でも自らに求められている仕事を寡黙にやり続ける姿はやっぱり頼りがいがある。結果が付いてくれば誰も止められないはず。YSCC時代も結果を残したのは2年目であり、ウチでも覚醒はすぐそこだ。

 89分、翔大→高木、さらに久保田→城和で昇偉が左SB、奥村をCMFに置く形に。

 最後のチャンスは90+2分。自陣深くのリスタートから、岩上→進→岩上でリズムを作ると、インサイドに落ちてきていたKJに渡す。KJが落ちたことでできたスペースを昇偉が駆け上がりボールを受ける。昇偉が高木に付けると体勢を整えてKJに戻す。KJは再び昇偉へと展開。KJがDFを上手く引き付けて昇偉から奥村へとボールが渡ると、ワンタッチで昇偉へと戻す。KJに付いていたマーカーが昇偉に食いつき、マークの受け渡しをする瞬間、奥村が一気にスプリント。一瞬でフリーとなりボールを受けると、一度右足でボールを跨ぎ、相手のタイミングを外しながらアウトサイドでクロス。そのボールを大前がシュート。しかし、わずかに重心が後ろになってしまい、ボールは枠の上を越えてしまう。

 結局最後の局面を仕留めきれず、0-0で終了。

雑感

 勝ちたかったのは勿論だけど、難しい状況下で悲観するような試合ではなかったと思う。

 22本のシュートを打ちながら決めきれないのは課題であることは確かだが、チームがやりたかったことは見える攻撃だった。4-4-2vs3-5-2となれば、サイドの所でピン止めされるのが定石というか噛み合わせ的にそうならざるを得ないわけだが、サイドのKJと稔也を相手WBにぶつけ、その前のスペースを平尾と昇偉に狙わせる形。徹底して裏のスペースを狙い続けた。それができるのもKJと稔也がしっかりボールキープできるから。去年から継続して見られるSBの動きは機能している分、そこからの展開が今後改善されればゴールも増えていくのではないだろうか。現状はトップが流れてきて中が薄くなるので、サポートの距離感含めて考える必要がありそう。
 相馬体制の町田ほどでないにしても、ある程度圧縮を掛けてきた相手に対しても、そこまで嵌められることはなかった。

 守備は、先述の通りネガトラがすべて。途中から相手がペースダウンしてくれたことにも救われたが、あの強度・速さを90分続けられるのは確かな成長。それが、今年昇格組じゃない次節琉球戦でもどこまで通用するのかは楽しみな部分。前節に続いて、ロングスローでもアラートしなければならないのは大変だったが、落ち着いた対応で跳ね返す。ゾーンのポケットを1度だけホムロに使われたが、基本的には問題なかった。去年開幕直後のセットプレーの惨状からは比べ物にならない。

 0-0のこの試合への評価は千差万別であり、上を見据えるならば取りこぼしたという見方はできる。が、個人的にはそれほど悪い印象はなかった。選手交代が遅かったのも、アクシデントで枠を使ったこと及び手を加えづらい展開になったことが影響していた。大崩れはしていないし、攻撃も機能はしていた。この内容がシーズン終盤なら考え方は変わるが、2節でこの出来は及第点だと感じる。この勝点1を意味あるものにするためにも、次節で3ポイントを取ることを期待したい。

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