一長一短 vs琉球 0-0

 チームとしての狙いが落とし込まれていて、流れるような連動性を見せる相手に対し臆することなく挑み、最後は相手をリスペクトしたうえでクローズさせた前節。終止ボールを握られながらも、サイドを的確に突いて得点まで結び付けた。久しぶりに出場機会を得た選手たちの奮闘もあり、チーム全体で1ポイントを持ち帰る。

 アウェイ2連戦でしぶとく積み上げた2ポイントを土産に帰ってきたホーム敷島で迎えるのは琉球。四の五の言わず、天王山だ。
 今シーズンの琉球はスタートから苦しんだ。3・4月でわずか1勝しか挙げられず、5月に上昇の兆しを見せるも再び下降。6月に喜名氏を解任し、倉貫HCがリリーフ登板。その後バレンシアのHCを務めたナチョ・フェルナンデス氏が就任。それに伴い、夏のマーケットで複数選手を獲得。スポンサーであるGMOコインが手掛ける暗号通貨が年俸の一部に含まれているらしい。
 新指揮官の下、チームは徐々に立ち直り、7月はわずか1敗。新加入のサダム・スレイと怪我から復帰した阿部拓馬が猛威を振るった。ただ、ここ数試合はまたも調子を落としている。この6ポインターを落とすわけにはいかず、チームとしてのモチベーションも高めて群馬後に乗り込んでくるだろう。志向する内容はスペインらしさもなくはないが、兎に角負けないことを重視している印象。残留するためならどうこう言っている場合ではないのだろう(他人ごとではない)。

 昨年残留できたのは直接対決を落とさなかったから。自分たちの力で未来を変えるためにも、ここで勝つしかないだろう。

メンバー

 ウチは前節からノーチェンジ。ベンチにはGKが帰ってきて、伊藤が初のメンバー入り。平尾が長期離脱から復帰、前節サポートメンバーだった中山もベンチ入りは久しぶり。

 対する琉球は大敗した新潟戦から6枚変更。李→中川、田中→人見、武沢→富所、加藤→池田、金井→大本、野田→サダムスレイ。中3日ということで大規模に入れ替え。

前半

 試合前にやや南風が吹いており、琉球が前半の風下を選択。

 風上に立って試合をスタートさせたうちは、DFラインの背後を狙うボールを使って前進を試みる。これは風を利用するという意図よりも、相手守備陣のウィークを突こうとしていたような感じ。セットプレーでゴールに近付くが、フィニッシュまでは持っていけず。

 対する琉球にいきなり決定機。12分、大森に対して国友がプレスを掛けると、ボールがディフレクトし、上原牧人の元に転がる。上原は隣のレーンの瞳に繋ぐと、人見は岩上を上手く背負って反転し、縦パス。これは小島が引っ掛けるも、再度人見が粘って上原へ。上原はワンタッチで草野に付けると、人見がスイッチしてPA内深くまで切り込む。抉ってからのクロスは畑尾が体に当てて対応したが、セカンドを人見が拾い、マイナスのパス。これを草野が右足でシュートしたがポストにクリーンヒット。さらにこぼれ球が草野の前に転がり、左足でシュート。しかし、山田が俊敏な反応を見せ、ライン上で防ぐ。

 1つピンチを乗り越え、ボールを握る。左サイドでガチャガチャさせ、友也のドリブルや国友の抜け出しで前進。琉球がボール保持時に富所をサリーダさせた3バックっぽくなり、人見や上原が高い位置を取るので、CBの脇のスペースを使う。友也の切れ味は抜群だし、国友もタイミング良く裏抜けしてボールを引き出す。そうなると相手は背後からアプローチするしかないので、当然ファウルは増える(チーム全体的な手癖の悪さもあるけど)。

 ウチがゴールに迫ったのは27分。相手守備陣のハイボール処理のまずさ及びその後の怠慢なボールコントロールを突き、川本がチェイス。こぼれたボールを岩上がピッチ中央で回収し、ワンタッチで細貝に流す。細貝は勢いを持ってボールを前に運び、右の大外の稔也へ。深くまで切り込んだ稔也は、切り返しのタイミングで相手と接触して倒れる。一応掴まれてはいたが、両足揃った状態での転倒はレフェリーとすると吹けない。で、ロストしたものの稔也・国友がボールホルダーの大本に圧力を掛けて前進を阻止。上原にボールが渡ると、今度は細貝が連動するようにプレス。選択肢がなくなり上原が蹴り捨てたボールを畑尾が頭で岩上に繋ぐ。岩上はフリーの状態のためターンして前を向き、友也へ。友也は緩急を使って相手の寄せを掻い潜り、アタッキングサードに入ると斜めにカットイン。PA角まで持っていくと、中央の川本へ。川本はワンタッチで落とし、最後は国友が右足でコントロールショット。巻いて落とすイメージだったが、ボールに厚く当たってしまいストレート系のボールになり、カルバハルの手中に。

 その後もDFラインの背後にボールを落としてそこで嵌めようとする形が続く。ラインはコンパクトになるので事故が発生する確率は減少するが、バイタルに入ってからのイメージが共有できず。

 41分、自陣での小島のスローインから。岩上のリターンを受けた小島がワンタッチでDFラインの背後へ。国友が抜け出して受け、そのままボールを運ぶ。ゴールライン際で細かいタッチを見せ、相手のタイミングを外す右足アウトサイドでインナーラップしてきた友也に渡す。友也のクロスはニアでクリア。
 シュートまでいけずとも、背後に抜け出して相手を引き寄せ、ハーフスペースにサポートが来る良いシーン。友也に通った後の中とのつながりの構築ができれば結果に結びつく。

 42分、左からのCK岩上のインスイングのボールをニアで川本が合わせたが、シュートはバーに嫌われる。ポジション取りで上手く川本をフリーにさせたが、あと数センチ足りなかった。

 どちらもスコアを動かせず、0-0で折り返し。

後半

 後半に入っても似たような展開で時間が経過する。56分、稔也に替えてKJを投入。

 すると、そのKJがネットを揺らす。60分、友也が左サイドで粘りに粘って得たCK。国友が数歩のバックステップでフリーとなりヘディング。これはDFに当たるが、こぼれ球をKJが豪快にボレー。決まったかに思えたが、KJの振り上げた足が高かったためファウルの判定。
 反対サイドの出来事のため良く分からなかったが、佐山さんのゴールアナウンスが尻すぼみだったことでゴールが認められていないことを察した。映像で見返すと、確かに足を振り上げているように見えなくはないし、頭の高さに足を上げているとなるとファウルは妥当かと。

 その後は順位相応の内容。ウチは左サイドの友也のところの質的優位性で終止殴り続けていたが、結局中とのタイミングが最後まで合わず。
 対する琉球も、なかなかバイタルまで至らず。何本かインスイングのアーリー気味クロスを供給し、触れば1点という状況を作り出したが、合わず。多分、アベタクがいれば一発でやられていたのは想像に難くない(大外で待ってるアベタクにフリーで合わせられる失点、何回見ただろうか)。

 福村のCKがバーに当たるなど、事故発生の機運も多少見られたが、最後までスコアは動かず。終盤はウチはノッキングの嵐でスピード感が失われていき、怖さは半減。6ポインターはスコアレスドローに終わる。

雑感

 内容見る限り、妥当な結果だろう。負けるようなひどい内容ではないし、勝てるほどのクオリティがあったともいえない。終盤の事故で負ける試合が往々にして起こり得る中で、勝点を積んだことはプラスの要素だが、直接対決で負けなかったことを良しとするような段階ではない。残り試合数が少ない状況下で、3ポイントを積んで相手の息の根を止めたかったのが本音だろう。やはり残留争いは一筋縄でいかない。

 そこまで攻められたわけではないので、守備時に目立つポイントもこれといってない。強いて言えば中盤の強度が試合に直接的に影響を及ぼすので、後半は後ろで捕まえる時間が長かった。相手のクオリティの面も考えると、後ろで捕まえても崩される危険性は低かったものの、やはり前にアプロ―チしてゴールに近い位置でボールを奪いたい。
 あとは、川本と国友のプレスバックが如何にチームを救っているか。出足が鋭く、パスコースを埋めるのも早いので、相手に蹴り捨てさせることができている。

 オフェンス面はバイタルでのアイデアに尽きる。友也がスーパーの働きを見せて左サイドを打開しても、その先に合わせるポイントがない。国友が流れ、川本が中央に位置した状態で友也がボールを持つシーンが何度かあったが、ボールサイドに選手が偏ってしまうので、もう1枚ファー側に入ってこれると、横幅も深さも上手く使えるのではないか。

 勝てない悔しさは残るが、チームは止まらずすぐまた試合を迎える。ここ3試合で積み上げた勝点を無駄にしないため、折れずに立ち向かう。

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