一日之長 vs甲府 0-3

 先週は怪我人なく90分終えた大勝利。ライブで試合を見ていればもっとダメージがあったとは思うが、スコア知ってから90分確認した印象としては妥当な結末かと。7割ボール持たされて1つ飛ばすパスが出ないで停滞、バイタルまで時間がかかったし、そもそも点が取れる気配は乏しかった。トランジションで勝負できる土俵にならなければ厳しい。
 球蹴り団相手の塩分の強い1ポイント拾うよりも、全員怪我無く帰群して他のチームから3ポイント取った方が価値ある。琉球さんが秋田戦で2人も負傷者出したことを考えても、前節のダメージは最小限。
 唯一の不満は、プロの試合できるコンディションじゃないピッチくらいか。あれは05の敷島よりも酷い。中央は荒れてるのを隠すために敢えてカットせず長くしてるからボール転がらないし、ゴール前はそこら辺の河川敷レベル。新スタ構想が暗礁に乗り上げて慌てて陸上競技場を改修した挙句、ピッチには手を施していないらしい。県の資料だと10億が予算計上されていたが、改修計画に競技環境の改善は皆無。勿論、芝生の張替え自体は数年に1度やっているだろうが(いくら酷くても張り替えてると願いたい)、大規模なピッチの改修は1995年まで遡る。スタに予算が付かないのはウチも他人ごとではないが、にしてもあの状態は目に余る。とはいえ、あの戦い方ならばホームチームは芝生だろうが土だろうが関係ないか。

 そんなコスパ低い前節はさっさと忘れて今週挑むのは甲府。アウェイでは立ち上がりから相手のインテンシティに全く対応できずに悲惨な結果となった。勝利の立役者である泉澤がアキレス腱断裂でシーズン終了してしまったが、とはいえ十分怖い。宮崎、リラ、中山等々、縦に仕掛けられるメンバーがズラリ。その後方には野津田がいることを考えると、胃が痛い。

 甲府は前節は京都に3失点で快勝と勢いに乗って群馬に乗り込んでくる。前回対戦時は試合前に陽性者が出たことでチームが団結し、序盤から飛ばしていたと敵将は述べていた。今回はあそこまでフルスロットルでスタートはしないだろうが、立ち上がりウチが下手な入り方をすれば一気に付け込まれる。注意して凪を保ちたいところ。

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 ウチは前節から4枚変更。松原→慶記、ミツ→昇偉、内田→中山、彰人→北川。稔也、大前、藤井は全体練習には復帰してるみたいだけど、無理せずスキップ。

 対する甲府は、京都を叩いた前節からノーチェンジ。売り出し中の宮崎、フィットしてきたリラの2人は前節も得点を決めており、波に乗っている。2019戦士の小泉はベンチ入りして敷島凱旋。

前半

 前回の先制点は7分。せめて15分は耐えたいという甘い考えは、開始6分でいとも簡単に打ち砕かれる。左サイドでボールを運ぶ宮崎に対するチャレンジがなく、するすると突破されてCKを与える。野津田のインスイングのボールに浦上がニアで合わせてゲット。ゾーンのポケットを突かれ、久保田と進で見るミスマッチとなっていた。一連のプレーに甲府の上手さと、ウチの状態の悪さが見て取れる。

 前回は息つく間もなく殴られていたが、今日はジャブを打ち返す。9分、岩上から昇偉へ渡ると、翔大とのワンツーでレーンを横切る。さらには真ん中の進も絡み、DFを引き付けたところで北川へ。北川は相手を寝かせてから落ち着いてクロス。これはDFにカットされるも、そのボールを翔大が拾ってシュート。これもクリアされるが中山が回収。ワンフェイクで間合いを外しシュートモーションに入ったが、落ち着いて久保田に渡す。久保田のコントロールは乱れたものの、進が右足を振る。しかし、これもDFのブロックに阻まれる。形は綺麗だったが決まらない嫌な流れ。

 14分、ゴールキックを北川の裏で進が受け、北川へ。北川は右に運んで昇偉に預ける。昇偉は縦に急がず岩上に渡すと、岩上は左サイドに目付しながら相手の間を通す見事なパス。これを北川がコースを変えて進が受ける。惜しくもオフサイドになったが、崩し方はこれも良かった。

 21分、右からのCK。岩上のグラウンダーのボールに対しニアで進がコースを変えて久保田へ渡す。久保田はファーにパスを出すも、大武には合わなかった。翔大が触れずによけた部分までデザインされたスペシャルプレーだったが、活かせない。

 40分、畑尾の縦パスを受けた久保田が前を向いて積極的に狙う。不規則な変化をしてGKがキャッチできずこぼれたボールを翔大が拾い、ワンタッチでクロス。逆サイドに流れたが、進が再度折り返し。中の北川に繋がるも、ボールの高さが難しく、コントロールしたボールが足元に入ってしまい、難しい体勢のシュートはDFに当たる。最後は進が気持ちのこもったシュートを放つが枠を捉えられない。これだけ決まらないと、大体その後の結果は察しが付く。

 45+3分、ビルドアップのミスから、山田→宮崎→長谷川と繋がり、オーバーラップした須貝へ。須貝のクロスは辛うじて慶記が触れるも、荒木が詰める。強烈なシュートも慶記が反応、さらに立て続けに荒木に打たれるも、最後は顔面で防いでピンチを救う。

 チャンスはありながら追いつけない消化不良で折り返す。

後半

 46分、同じ轍を踏んで試合が決まる。アバウトなボールでお互いに収められなかったが、サイドチェンジの際にウチのバランスが崩れる。長谷川に対して昇偉がリスクを冒して飛び込んだことが裏目に出て空いたスペースを須貝に抜け出される。ニアで宮崎が潰れ、柔らかいクロスはリラの足元へ。リラに小島が対峙している時点で守備は崩壊している。何とかコースを消すも走り込んできた荒木がワンタッチで天井を打ち抜く。後半開始から52秒、ウチはわずか4タッチしかせず失点。WBに幅使われてマーカーが曖昧になるのは構造上仕方ないが、ボールホルダーに2枚行くならサンドして止めなければ局面は不利になる一方。カバーのためにポジショニングをした大武は手持無沙汰になり、一つずつズレが生じ、そのズレが最後にフリーでシュートさせる原因。

 2点差になって、もうどちらにとっても消化試合と化し、インテンシティは明らかに落ちた。

 それでも66分、甲府がトドメ。右サイドのスローインの流れから、荒木→山田→長谷川→リラと、徐々に中央に運ぶ。Pass and Goで動いた長谷川がリラの落としを受けると、斜めで深い位置へ通す最高のパス。これを受けた荒木が左足でクロスを上げ、この場面でもニアで宮崎が潰れ、最後はリラが難なくプッシュ。ニアで宮崎、ファーにリラというルールが決まっていることが窺える。長谷川と宮崎の関係も特徴的で、宮崎はサイドの深くまで引っ張る分、長谷川は比較的顔を出して、パサーと宮崎やリラの橋渡しを担っていた。頭数だけいても割られるDFにも過失はあるが、敵ながら天晴れの攻撃を見せて頂いた。

 その後は、0-3でも2ラインで重心の低いウチ、監督のルーツを感じる試合の殺し方を見せる甲府という印象が色濃く残る内容で推移。後半はほぼほぼ何もさせてもらえないまま0-3で終了。

雑感

 相手とのクオリティをまざまざと見せつけられた。あのサッカーは上でも十分通用すると思われるし、してほしい。去年のホーム福岡戦、今年のビックスワンと似たような感情。

 というものの、前半に限っては手も足も出ないという感じもない。上述の攻撃はどれも再現性のあるものだし、選手間の立ち位置の原則も浸透している。特に縦の攻撃の深さを相手に意識させ、ギャップを作ることができた。最後の仕上げは戦術ではどうにもならず、技量が左右する。こういう日もあると割り切ってケチャップの栓が取れる日を待つ。
 1つ印象的だったシーンは19分から20分にかけて。最終ラインでボールを奪うと、北川が相手を背負いながらかなり低い位置まできてボールを引き出し、押し上げる時間を作る。押し上がると今度は岩上から昇偉への大きい展開。昇偉はワンタッチで翔大に付けてインナーラップ、翔大は見事なボールキープから昇偉へ返した。惜しくもクロスはヘディングで弾かれたが、右サイドで翔大がポイントを作ってSBが駆け上がる形は、2019の将也と翔大を彷彿とさせた。どうしても青さの見える昇偉だが、躊躇わず思い切った仕掛けをもっと見たい。

 失点はノーチャンスに近い。WBで数的優位もたらされるのは百も承知だし、仕掛けに特徴の持った選手がそこにいたら守るのは至難の業。失点する時間帯があまりにも悪かったのと、スライドのバランスは修正したいところ。


 8月無敗からの2連敗で一気に掌返す雰囲気も感じられるが、今更何を焦るのか。ここで絶望していたら12月まで命持たないし、負け見たくないなら川崎の試合でも見た方が精神衛生的に良さそう。
 状況的にもさほど変わらないし、そもそも危機感は早い段階からある。あとはどこにピークを持ってきて勝点を拾うかが鍵。

 次の琉球も良いイメージはあまりないし、気候への順応も求められる。自分たちより順位の上のチームとの対戦が続くが、ウチより下のチームが6つしかない以上仕方ない。しぶとくポイントを稼ぎ、良い形で千葉戦を迎えたい。

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