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レフとハニーのペアリング、エルとアズ誕生、「国際マヌルネコの日」制定、プリームラは上野へ。そしてペッキー逝く~日本のマヌルネコ年代記:2019年

(※このシリーズはWEBコンテンツや一般向け書籍を基に、執筆時点でわかる範囲で書いています。新たな情報が得られれば、その都度補足していきます)
(※新たにカバー画像を追加。左から2022年1月筆者撮影のエル、同年7月同じく筆者撮影のアズです。アズちゃんはこう言っていますが、マヌラー目線だと今のいかついエル君もかわいいですよね♪)

【できごと】

2019年1月30日

東山動物園にてマヌルネコ、レフ(雄)とハニー(雌)の「公開ペアリング」が行われる。
Akimさんのイラストによるとこんな感じだった模様。

2月3日

この日もレフとハニーの公開ペアリングが行われる。
レフがハニーを追いかける様子。

4月22日

那須どうぶつ王国のボル(雄)とポリー(雌)の間に8頭の子供が生まれる。うち1頭は死産、5頭は感染症で死亡。雄雌各1頭ずつが生き残る。
後に雄はエル、雌はアズと名付けられる。

4月23日

この年から、同日が「国際マヌルネコの日」に制定される。

同日、埼玉県こども動物自然公園にマヌルネコの屋外放飼場「マヌルロック」を整備するための寄付金募集が始まる。

4月27日

埼玉県こども動物自然公園にて同日行われた「マヌルネコに関するキーパーズトーク」の中で、同園出身でアメリカのレッドリバー動物園に移動していた雄のマヌルネコ、サーラルが2018年3月に死亡していたことが明かされる。

5月20日

埼玉県こども動物自然公園の雌のマヌルネコ、プリームラが上野動物園に移動。

7月13日

那須どうぶつ王国にて4月22日に誕生し、生き延びたマヌルネコの子供(雄雌各1頭)が公開開始。

8月9日

那須どうぶつ王国のマヌルネコの子供たちの名前が公募により決定。
雄はエル、雌はアズ。
(注:スマホアプリからの閲覧で↓の動画の表示に一時エラーが発生していましたが、現在は解消された模様です)


10月

埼玉県こども動物自然公園出身の雌のマヌルネコ、ハルと雄のペタンカの間に2018年5月に生まれた雌2頭、ノックスとペマがアメリカのホーグル動物園からカナダのカルガリー動物園に移動。
翌月、2頭の写真が発表され、ネットで大人気となる。

12月20日

王子動物園の雌のマヌルネコ、ペッキーが死亡。享年12歳。

【筆者のひとこと】

レフとハニーのペアリングですが、それなりに仲良くなってはいたようですね。繁殖期にはこんな場面もあった模様。

また、この年に亡くなったペッキーさんは、その時点で世界最高齢マヌルネコだったようです。


そして・・・
那須で生まれた子供たちに関しては、壮絶なエピソードがあります。
(↓のブログ記事は、公式サイトリニューアルに伴い2023年8月現在、リンク切れになっています)

赤ちゃんは8頭産まれましたが、1頭は死産(胎児が死んだ状態で分娩されること)でした。
残った7頭の子供たちは、産まれて5日間ポリーに任せていました。
しかし、ポリーの体調が思わしくなく、子供たちを人工哺育する事になりました。
ポリーは体調が悪くなったにもかかわらず、必死に子育てをしており、人工哺育に切り替えるのは苦渋の決断でした。
いざ、取り上げるとなった時も、ポリーは取られないように必死で守ろうとしました。
今思い出しても、とてもとても心が苦しくなり、きっとあの光景は一生忘れる事が出来ません。
しかし、取り上げたからには残った子供を育てる事に気持ちを切り替えて、ポリーの体調の回復と人工哺育が始まりました。
(中略)
その後5頭は感染症で死亡し、2頭だけが生き残りました。
ポリーから取り上げて、絶対に死なせない・どうにかみんなで守ると誓ったはずなのに
守れなかった。
次々と死亡していく子マヌルを見て、胸が張り裂けるような感情と同時に、残っている子をどうにか守るという感情の繰り返しの日々でした。
なんとか頑張り、生き残ってくれたのが「Cちゃん」と「Eくん」です。

https://www.nasu-oukoku.com/official-blog/2019/06/post-52.html

その「Cちゃん」と「Eくん」が後のエルとアズなんですね。
記事には続きがあります。
(こちらの記事も2023年8月現在、リンク切れとなっています)

可愛い写真を見て、「可愛いいから飼いたい」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、マヌルネコを飼う事は、絶対にできません。
上記に書いた感染症のリスクはもちろんですが、マヌルネコは準絶滅危惧種に指定されている希少な動物です。
生息数が減少している原因として、生息環境の悪化・「乱獲」などがあげられます。
「欲しい」と思う人がいれば、必ず「売る」人がいます。
「欲しい」と思う人がいれば、「乱獲」が起こる可能性が高くなります。
欲しいと少しでも思ったのなら、少し考えて頂きたい。
あなたの「欲しい」が、動物たちの絶滅する可能性を高めているということを。
マヌルネコだけでなく動物園で飼育されている動物たちは、簡単に家で飼える動物ではありません。
餌にはお金がかかります。
運動出来る広いスペースが必要です。
その動物種にあった温度・湿度の調整。
ライトの調整。
臭いの問題。
種類によっては、プールや砂場・高い木などが必要です。
また、お家で飼ってしまう事で、その個体の血統をこの世に残す事は不可能になります。
まだまだここには書ききれないたくさんの理由があります。

https://www.nasu-oukoku.com/official-blog/2019/07/2.html

ここ、非常に重要な話です。
マヌルネコと同様に人気がある野生の猫、スナネコに関しては、実際に密輸が横行しているようです。こんなショッキングな記事も。

この問題の啓発のため、2022年7月にはこういう歌も発表されました。

マヌルネコの話題から逸れてしまいましたが、大事な話なので書かせていただきました。

※この記事の参考資料(本文中で紹介した以外のもの)はこちら。いつもお世話になります。

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