2024年6月短歌まとめ
はじめに
ここに掲載してある短歌は非商用利用であればどれも自由に引用してOKです。筆名はそのまま「うつろぎ式」で引用してください。動画投稿サイトの収益化機能を利用して動画投稿・生配信をする場合も引用可とします。ただしコメントや批評はポジティブなものだけにしてください。
なお、テーマや季節感などはバラバラで特に統一性はありませんがあらかじめご了承ください。
今月作った短歌たち
訓練でのんびり避難する人と一目散に逃げる非常口
お互いの好物一つずつ頼み半分こずつしてるファミレス
揺れていた気持ち定まりベクトルはその絶対値だけになってく
センサーで明かりがともるトイレにて部屋暗くなり幽霊になる
照明を支配しているセンサーのもとでメトロノームになる我
人間の動きを感知するはずのドアが開かずにまたも幽霊
冬前に顔認証を導入し正月明けでもう非認証
永遠は便利なだけで実在はしない単語と知った日の夏
中指にうちわを乗せて何秒間耐えられるかを競う少年
幼子がVtuber見て端末の裏覗き言う「誰もいないね」
カフェインが取り除かれたコーヒーのアイデンティティばかり気になる
読み終わる前に返したファンタジー熱心に読む見知らぬ少女
自転車はいつも前だけ見てるからわたしは後ろ向きの担当
教室の窓際で白い雲を見て青い形を切り取っている
無理をして正五角形平面に敷き詰めているような人生
専門家が必死に理由を書き並べ除く外れ値こと私です
方解石かざし二重の君が言う どちらが本当の私でしょう
回らない寿司と誰かが言ったから死んでない生命になる我
感情の押印をして宛先は404のNOT FOUND
水滴で反射した虹の外側の虹色になれなかった光
日本語のタグの隣で大御所の威厳を保つ#tanka<<ハッシュタグたんか>>
静けさと絡まりあったもう二度と触れあうことのない静けさと
じゃんけんで死ぬまであいこし続けたいその確率がゼロになるまで
芸術の秋に爆発したせいで瓦礫だらけになった冬の街
うんともすんとも言わないのすんの方ばかりたずねてもう三千里
ストローを刺す位置までも決められてどこにも行けなくなった人たち
体温を包み込むとき両腕は目盛すらない巻尺になる
高速を降りて全てがゆっくりと動き始めるときの会いたさ
本能という字がまるで本能を感じさせない深夜のテレビ
いい歌を詠むため絶景スポットに赴き白紙のメモ帳一つ
目の前の人を原子に分解し理解するための量子力学
新宿で初めて君に会ったときから分岐している世界線
尖ってるもの同士だから手を取ってなんとか二足歩行をしてる
一年に三ヶ月だけ歳を取る夏の四倍年老いていく
丸一年経っても変えてないPINを打つ度君を裏切っている
来世では道路に何故か落ちている片方だけの靴になりたい
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