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Route 246が嫌いだった

最近乃木坂46に限らず色々なことに対してナナメな見方をしてるというか逆張りをしてるというか、素直に見れていないのかもなと自分で思うことが多い。その一つが『Route 246』。オールナイトニッポンでの初解禁で聴いた時にがっかりしたのを覚えてる。

「『Route 246』が嫌いだった」と言ってしまうのは少し大げさかもしれない。でも少なくとも良くは思っていなかった。原因としてはまず小室哲哉氏復帰の出しに使われた感に対する嫌悪感。件の引退宣言からコロナ禍という都合のいいタイミングで流行りの乃木坂46に楽曲提供する、というのが何か気に食わない感じがした。ただまあそんな側の話が気になったのは最初だけでそこは大きいところではないんだと思う。じゃあ何なのってことになるんだけど単純に曲が圧倒的にダサいところなんだと思う。これがカップリングなら別にいいんだけど「小室哲哉復帰」という何もしなくても話題になることをやっておきながらその小室哲哉氏の曲がダサいことに普通に腹が立ってる。そのせいでもう全部嫌な感じに捉えてしまっていた。

加えてコロナ禍であることも自分のなかで大きかった。自粛期間含めコロナ禍における乃木坂46が『世界中の隣人よ』や46時間TVだけでなくブログやモバイルメールなどを通して「寄り添ってくれる優しさ」を伝えてくれていた気がして、その優しさをたくさん感じていたことが『Route 246』の「強さ」に狼狽えてしまう原因になっていたと振り返ってみると思う。久保史緒里が「凛々しさと強さを持ってエールを送る」(*1)と話しているその「凛々しさ」と「強さ」が世界と自分自身が沈んでいるときに受け取るには少し、いやかなり痛かった。『しあわせの保護色』、『世界中の隣人よ』と続く楽曲にたくさんの優しさを貰って救われていたので急に来た「強さ」に耐えられなかった。
まだまだ気を抜けないけど世界が少しずつ落ち着いてきた今、その「強さ」もある程度素直に受け入れられるようになったと思うし、改めて歌詞を見てみると意外と良い歌詞だなと思うところもあった。勿論「wow wow」を除いて。

Hang in there! Come on, keep at it!
Hang in there! I believe in you!
Hang in there! Make a run for it!
Hang in there! Don't you dare give up!

信じてるから絶対あきらめずにがんばれというエール。この時点で今までの乃木坂46(の表題曲及びリード曲)にはあまりない「強さ」を含んだ歌詞になっている。

夜を走り抜けてく
ヘッドライトの残像
目に映ったすべては
どうせ一瞬の幻なんだ

やがて夢も覚めるなら
今のためにもがこう
カッコつけて生きてても
いつかきっと悔いが残る

他人の目気にして
生きていたってしょうがないよ

いつかの場所から
歩き出せばいい

誰も変われるんだ
人は進化する
やがて過去を忘れ
そして明日を生きる

相変わらず強いけど受け取る人に力を与えるような、頑張ろうと思わせてくれるような歌詞になってる。ちゃんと見たら普通に良い。力強く手を引っ張ってくれるような気がする。

あの日 眺めていたのは
ショウウィンドウの未来さ
本物が欲しいなら
自分の手で掴むしかない

坂のない人生は
汗に輝きを知らない

You can do it! 君ならば
You can do it! できるはずだ

Hang in there! Come on, keep at it!
Hang in there! I believe in you!
Hang in there! Make a run for it!
Hang in there! Don't you dare give up!

2Aがとても良い。「坂のない人生は汗の輝きを知らない」も良い。坂を上っている乃木坂46だからこその歌詞だし、その乃木坂46が伝えてくれることに意味があってより沁みる。

Why are you going there? Say
No one can stop you, no way
Why are you going there? Say
Yes, I'm on your side, always

Hang in there! この通りで
Hang in there! 誓ったこと
Hang in there! 歩きながら
Hang in there! 思い出すよ

煽ってるの?ってくらい背中押してくる。目標に向かってあきらめるなってエールをくれる歌詞。

普通に良い歌詞。「wow wow」はダサいけど曲に感じる圧倒的なダサさは少なくとも歌詞にはない。今ならこの歌詞も素直に狼狽えずに受け入れられる。深化して完成度が高まったパフォーマンスを含めて、いいなって思える。だから今は嫌いじゃない。パフォーマンス込みで見たら寧ろ好きとさえ言える。「凛々しさ」と「強さ」を纏った歌詞とパフォーマンスにたくさん力を貰える。


Route 246が嫌いだった。



*1 アップトゥボーイ2020年10月号


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