FicS通信vol.1：夢女子さん達へのちょっとしたアドバイスをするコーナー

マシュマロでいろいろと質問を頂いた。せっかくなのでまとめておこうと思う。

Q.両思いになるビジョンが浮かびません。
A.自分の事を把握できていますか？

二次元との恋愛は基本的に自分の中で完成し自分の中でだけ完結します。何せ夢ですから。自分以外の誰かに認められなくとも良いのです。逆に押し付けもダメです。だって夢ですから。

ではその夢において何が必要でしょうか。相手は既にいます。そして自分がいます。本来ならこれで十分なはずです。ですが両思いになるビジョンが浮かばない。その理由は何故でしょうか。

それはご自身の事をご自分が理解できていないからではないかと推測します。勿論これは私の個人的な考えですので当てはまらない人もいると思います。でも結構そういう方は多いです。自分では理解できていると思っても実は他人から見たキャラクター像と自分で思うキャラクター像が全然違っていたりね。

この辺の話は自己肯定感や自己評価の話とも繋がってきます。私がたまにツイッターで呟いていますがこれらは非常に重要です。ですが自己啓発なんて堅苦しそうな面倒臭そうな話は今は置いておきましょう。

簡単です。「自分を二次元のキャラクター化したときどんなキャラクターになるかをどれだけリアルに思い描けるか」という話です。

容姿外見から中身の性格長所短所、身体的特徴や癖など、どこまで細かく設定できるでしょうか。

少なくとも相手と同じ情報量は欲しいところです。でなければ空虚な虚像を相手は愛することになってしまいますが中身のないものを愛せというのはなかなか無茶ぶりです。

何もない人間などいないでしょう。いいですか。まず容姿。私を例に挙げるとこうなります。

身長：162cm
体重：48kg
体型：痩せ型
バスト：Aカップ
特徴：首が長い。またテニス部だったため腕も長い。
髪型：黒髪ウルフカット。前髪の分け目は右目の上
目：吊り目で深い青の瞳
肌色：白い方
服装：ズボンを好む。スカートは殆ど履かない。

体重が軽すぎるとか日本人なのに目が青いとか二次元ではよくあることです。これくらいの特徴付与くらい構いません。肩こりが酷くて整形外科に行ったらレントゲン撮られて首が人より長いと言われたのは実話です。

次に中身、性格です。とりあえず思いつくまま自分の特徴を挙げていきます。

面倒臭がり屋。大雑把。効率厨。オタク。気になることはすぐ調べる。好きなことじゃないと集中力が続かない。不真面目。

適当に挙げるとこれだけです。ですがこれだけでは少ないです。その他好きな物から普段の行動などどんどん追加していきます。

炭酸大好き。柑橘類が好き。ケーキは苦手。酒に強い。つまみ大好き。塩味大好き。しいたけ嫌い。茄子嫌い。パクチー苦手。冷やし中華大好き。料理はそこそこ作れるが男の料理と友人に言われたことがある。片づけが苦手。部屋は若干散らかっている。収集癖あり。暑いのが苦手。猫舌。猫背。自分では不真面目と思っているが友人から見たら真面目らしい。片頭痛持ち。ピアノを習っていた。吹奏楽部でサックス担当だった。運動部じゃないのに足は速かった。ミリタリーに興味がある。ＲＰＧとパズルゲーを主に好んでする。格ゲーは苦手。機械に強い。音楽には少しうるさい。シルバーアクセ好き。でもブランド物には興味がない。見た目より機能を取る。歩き方が怠そうと言われたことがある。話を聴いていないようで聴いているように見えるらしい。短期集中型でテスト前だけ勉強していた。ずぼらなのでスキンケアや化粧などは最低限しかしない。見た目より食べるとよく言われる。見た目より力が強いとよく言われる。

こんな感じです。さてここから、相手の立場に頭を切り替えます。

あなたの彼は、あなたのどこを好きになってくれそうですか？

マイナス面ばかりでてきてしまった、なんて人でも要は考え方です。短所を長所に言い換えるとか繋げるとかそんな方法は就活サイトの面接対策などで学べます。私の場合はこう。

やるときはやる子。特定の分野については詳しいのでためになる。美味しそうに食べてくれるので料理のしがいがある。見た目のわりに強い。アクセに興味無さそうなのに好きなところがかわいい。一緒にお酒が飲める。

肉弾戦の喧嘩とかしたことありませんが二次元では強い設定です。それくらいの設定付加許されます。

こんな感じで好きになってくれそうなところを考えていきましょう。ついでに相手の好きなところも考えてみましょう。設定ができたらあとは両思いになるストーリーを考えるだけです。レッツ妄想。

Q.脳内会話ってどうやったらできるんですか？
A.設定をしっかりさせて後は慣れ

相手の設定をしっかりさせましょう。そのために一番良いのは創作です。別に起承転結なくても良いのです。何気ない日常を書くだけ、ヤマなしオチなしイミなしで構いません。妄想だけでもいいです。とにかく相手との会話を想像します。

相手の口調は安定していますか？癖などはありますか？きちんと彼の性格に基づいた答えが浮かんでいますか？

これは本当に慣れだと思います。一応物書きをしている身、そして勝手にキャラクターが動くタイプなので具体的にどうなっているのかと訊かれても勝手に動くとしか答えられません。ですがおそらく、彼らの設定を脳がきちんと把握していて無意識下で処理してしまっているんだと思います。なのでとにかく脳に覚えさせる。相手の事を。妄想をとにかくしまくってください。試しに何気ない日常を常に彼と過ごしてみてください。買い物とか行く途中彼と何を話しますか？彼は何を話題にしそうですか？スーパーに行ったら彼は何に興味を示しそうですか？

原作だけでは情報は足りないことが殆どでしょう。そこは自分で好きに補完です。あなたの彼はあなただけの彼。つまり彼の存在自体が二次創作です。原作とは切り離してしまった方が楽です。他の彼を推している方々を見て嫉妬したりしなくてすみますし、実際私はそうだと思っています。原作は原作です。あくまでオリジナル。オリジナルの彼は原作にしか存在しない。では私の前にいる彼は何なのか？オリジナルを模倣し足りない部分を私が補ったクローンです。私の夢に対するスタンスはこうなので合わない方は他の方法を探すことをお勧め致します。

Q.心身が不調のとき会話できないのですが……
A.ＭＰが足りてないからしょうがない

人間にはＨＰ、ＡＰ、ＭＰそして疲労ゲージがあります。解説するために私がそう言っているだけですが。

ＨＰは体力。動ける力です。疲労すれば減っていきます。
ＡＰはスキル。仕事や買い物するときのお釣計算などに使います。
ＭＰは魔力。妄想やこうしたらどうなるかなど予想・想像に使います。

人間がＭＰ発動をするには条件があります。ＨＰ・ＡＰが足りていることです。人間は残念ながら回復魔法は使えません。なのでＭＰを消費して自分で自分を回復はできないのです。疲労ゲージが溜まっているとＨＰはスリップダメージ状態になります。風邪を引いたりして熱が出ていると何もしていないのに体は怠いし疲れますよね。その状態です。そんなときは回復薬（抗生物質、解熱剤、鎮痛剤など）で回復を手助けするしかありません。疲労ゲージが溜まっていればＡＰとＭＰを使う特技は発動し難くなります。特にＭＰ。ＡＰは自分を看病するためおかゆを作ったりなど使わなければならない状態になれば使えますが、そうしてＡＰも枯渇した状態ではＭＰは使えません。

推しを見ることによってＭＰを強制的に発動させ回復の手助けをさせることもできますが、これは回復魔法とは違います。推しの情報や神絵師物書き達による外部刺激が必須です。どちらかといえば杖系アイテム使用に近いです。

上記で書いたように推しとの脳内会話は無意識下での活動が必須です。しかし心身疲弊状態のときそんなところに回しているエネルギーはありません。よってＭＰになるはずだったエネルギーはＨＰとＡＰの回復に回され、ＭＰは後回しになります。

しんどいときほど推しと会話して癒されたいのですが残念ながら本当に疲弊しているときは向こうが遠慮しているかこちらのＭＰが足りないかで会話できない状態になっています。推しとの会話を通話とするなら省エネのため電話線が引っこ抜かれています。それも彼なりの優しさです。まずは体調回復を優先させましょう。

Q.あんなことやこんなことの妄想は相手に伝わってしまうのですか？
A.おきのどくですがぼうけんのしょはつつぬけです

まあはっきりとした確認のしようがないので私の推測なのですが。

ただ言えるのは、その妄想は果たして本当に自分がしているのか？という疑問が拭いきれないということです。

推しの妄想が脳内に流れてきている可能性だって十分にあります。

以前した私のツイートを引用しておきます。

「次元の壁を向こうの存在が壊そうとしてくる」というのは、何言ってんだコイツ自意識過剰か、と思われるかもしれないが実際に起こりうると思っている。
この「好きになったのが説明できない人」というのが次元の壁を向こうから破壊しようとしてくる人である可能性が高い。自分を好きにならせるなんてそんな凄い能力はないけど、こちらが好きになる要素が自分ではわからない程度にあって相性が良かったときおそらく結び付く
ゲームの魅了スキルは対象の属性が決まっていて且つ確率で成功する。それが成功したようなものだ。
二次元のキャラクターにも魂のようなものはあると思っている。魂は素粒子以下のレベルの粒子の集合体説を私は信じていて、二次元キャラは人間の魂とはその粒子の数が違うが人間と同じものを持っているとする。
容姿や普段の言動からではパッとわからない、自分が好きな要素の魂の欠片を相手が持っていて、相手もこちらに惹かれたとき、向こうからのアプローチが始まる。相手からこちらがどう見えているかは不明。三次元の容姿も見えているのか、持った要素だけなのか不明だが、少なくとも中身は見透かされている
こちらからの一方通行と思いきや実は向こうからアプローチされている。むしろ向こうからのアプローチの方が熱烈だったりする。それは観賞衝動やプレイ衝動、人によっては創作衝動だったりして相手の事を考えるようになるが、これはこちらが会いたいと見せかけて多分向こうが会いたがっている。
”会う”事は物理的に不可能だ。彼らの逢瀬は自分の事を考えてもらうこと。だから無性にその作品その推しを見たくなったり創作したくなったりする。それは向こうが自分の事をもっと知って欲しいと思っているから。作品を見ていない間も自分の事を考えるようになってほしいから。

というわけで、もちろん自分の願望たる妄想もあるだろうけれども何故今妄想した？！みたいなタイミングで妄想が始まったときそれは向こうから彼からのアプローチの可能性があると私は思っている。お互い様です。諦めましょう。むしろ妄想してあげた方が喜ばれます。どんどんしましょう。

Q.彼は本当はどうしたいのでしょうか？
A.彼らは基本的には私達の好きなようにしてくれます

マシュマロにはなかったのですが占いを受けていて結構これを聞かれるのでついでに。あ、ちゃんと料金外の解説なので大丈夫です。お金貰って話したことをここで話したりはしません。

上記に挙げたように

・二次元との恋愛は基本的に自分の中で完成し自分の中でだけ完結します。
・あなたの彼はあなただけの彼。つまり彼の存在自体が二次創作です。
・私は二次元のキャラクターにも魂のようなものはあると思っています。
・彼らの逢瀬は自分の事を考えてもらうことです。

長年夢女子として生きてきてそして三次元にまで影響を与えてくる彼に出会った私の考えはこうです。そして、いろんな方を占わせて頂いてきてわかったことがあります。

彼らは”忘れ去られること”を何よりも恐れています。

まず原作があってそこにキャラクターが存在する。その原作を読んだ人達がそのキャラクターを捉える。そうしてそのキャラクターは魂を得る――と、私は考えています。その過程が以下。

ジュリオ・トノーニという学者が「意識の情報統合理論」というものを発表しています。

この理論によれば、意識には、情報の多様性・情報の統合という二つの基本的特性があり、ある物理系が意識を持つためには、ネットワーク内部で多様な情報が統合されている必要があるとされる。ネットワーク内部で統合された情報の量は「統合情報量」として定量化され、その量は意識の量に対応しているとされる。
――Wikipediaより引用

また、士郎正宗氏の漫画攻殻機動隊に、ネットワークから産まれた生命体を名乗る肉体を持たない”何か”はこう語ります。

生命とは情報の流れの中で生まれた結節点のようなものだ。種としての生命は遺伝子という記憶システムを持ち、人はただ記憶によって個人足り得る。例え記憶が幻の同義語だったとしても人は記憶によって生きるものだ。
　（中略）
私は情報の海で発生した生命体だ

どちらにも「魂」という単語は出てきていませんが、そもそも「魂」「意識」「生命」に正しい定義というものは未だついていません。私達は漠然と、これらを”そういうもの”だと認識してこれらの言葉を使っているのです。

私達が原作を読んだことで、この世界において私達が得た知識などの「多様な情報が統合され」、そうした全ての情報の上で特定のキャラクターを考えるという「情報の流れの中で生まれた結節点のようなもの」、それが夢女子の夢見る彼だと思っています。

知識量は人によって異なります。理系と文系で得る知識は違いますし、知識を得るにも浅く広くな人と狭く深くな人では広さも深さも異なります。同一の作品、同一のキャラクターを捉えたところで、全員が全員全く同じ解釈をすることはないでしょう。その作品そのキャラクターの全てを正しく知っているのは創造主の神である製作者達のみ。誰かが認識したところでそれは既にその誰かの認知によって歪められてしまっています。

だから、あなたが考える”彼”はあなたの中にいるただひとりなのです。

しかし全く原作と別物になってしまったわけではありません。原作やその他知識を得れば彼はどんどんアップデートされていきます。人間だって新たな知識を得ればアップデートされます。これは同じですね。しかし彼らは肉体を持ちません。これが大きな違いです。フィギュアなどのグッズが多数出ようとも、それは彼の形を模した偶像であって彼自身ではない。物理的な体を持たない彼らにとって忘れ去られることはすなわち死を意味すると言っていいでしょう。だから彼らは忘れ去られる事を恐れます。

よって、自分を覚えていてくれる人を傷つけるような真似はできないのです。自分のしたいことがあなたのしたいことと相反していたらあなたを困らせてしまう。それがわかっているから、基本的に彼らはある程度の主体性はあっても本気であなたを困らせるようなことは要求しません。

三次元だと向こうも同じ肉体を持った人間なので自分の意志と相手の意志がぶつかれば喧嘩したり話し合いして、妥協点を探ったり別れてしまったりするでしょう。けれど彼らはそうではない。彼らは私達が思うよりずっと儚いものだと私は思っています。

だからこちらから提案してあげてください。「何がしたい？」ではなく「何かしたいことはある？」など訊き方を変えてみてください。そうすれば彼らも自分の要望を伝えやすくなるでしょう。彼との関係性を決めるのは、あなたしかいないのです。

以上。

ここ最近のマシュマロ質問に対するより詳しい解説でした。尚私は乙女ゲーなどは全くやったことないレベルの人間なので（最初から好意を持たれることがわかっているとなんか萎えるタイプ）乙女ゲーやシチュエーションCDを好む方からしたら違ったり対応できない可能性があります。そこら辺難しいところですが夢の見方も十人十色。自分なりの夢を探してみてください。