人生TOP3に入る自慢のきっかけは1番好きな作家のおかげだった
高校2年生のとき、僕は賢いわけでもバカなわけでもない本当に普通の学生だった。
学年順位は320人中130位。
可もなく不可もなく。
だけどなぜかそのとき実力テストで国語学年1位を取った。
全国で35位くらいだった気がする。
これが僕の数少ない自慢の1つで、何万人と居る受験者のなかでそんな順位を取れたことがとても誇らしかった。
そしてその要因となったのが、国語のテストに出てきた問題が1番好きな小説家でもある朝井リョウさんの作品だったことが非常に大きい。
「星やどりの声」というその作品は当時はまだ読んだことがなく、テストの中で読み終わった後に著者:朝井リョウと書いてありとても驚いた記憶がある。
東京ではない海の見える町で、喫茶店「星やどり」を営む早坂家。三男三女母ひとり。亡き父が残した名物のビーフシチューの香りに包まれた生活には、慎ましやかながらも確かな幸せがあった。しかし、常連客のおじいちゃんが店に姿を見せなくなった頃から、家族に少しずつ変化が。各々が葛藤を抱え息苦しくなる早坂家に、父が仕掛けた奇跡が降りそそぐとき、一家は家族を卒業する。(「BOOK」データベースより)
テストに載っていた場面はクライマックスに近い場面で、数行での前情報はあったものの積み重ねがない分、感動は本一冊に比べ当然薄れる。
だが、その薄くなった状態であっても読みながら少しだけ泣いてしまった。
テストである以前に作品そのものに入りきってしまったのは実力テストという定期テストに比べ、熱量がなく、成績にもあまりそこまでは影響しないのもあったのかもしれない。
そして作品としての満足度を存分に感じたあと、問題を解いていった。
手応えという手応えは特段になく、ただ楽しく解いた記憶は少しある。
そしてそれ以上に、このテストが終わったら買いに行こうという気持ちが心の半分くらいを占め、終わってから本当に買いに行った。
そこなら数ヶ月が過ぎ、忘れた頃にテストの結果が返ってきた。
先生に呼ばれ、教壇の前に行くと、テストを返す前に先生に「すごいな」と褒められ、見ると先に書いたように学年1位と書かれていた。
普段全くそういうのを取らなかったことから周りの人も、すごく関心を持ってくれていた。
朝井リョウさんを好きになったきっかけが圧倒的なまでの共感であったことから、恐れがましくももしかしたら作者の気持ちに他の人より近づけたのかもしれない。
もしそうであるならばそれほど光栄なことはない。
なんせ1番好きな作家の本が載ったテストで学年1位を取れたのだから。
そこからも逃すことなく、新作が出れば本を買い読んでいるのは面白さはもちろんすぎるが、この縁も繋いでくれているのかもしれない。
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