見出し画像

スーパーカブを知らないが『スーパーカブ』は良い

アニメ『スーパーカブ』の2話を遅ればせながら見た。

原付バイクへの注目が最近集まっているような気がする。ゆるきゃんでも乗っているし、出川哲郎だって乗っている。

ちょっと前までは水曜どうでしょうがカブの商標を持っているのではないかというくらいスーパーカブ=大泉洋という図式が成立していたような感覚だったが、今は二分、三分されていそうだ。

高校の友達も最近スーパーカブを買ったらしい。先を越されたような気分だ。悔しいからフルフェイスのヘルメットだけでも買って対抗したい。

『スーパーカブ』には今のところ、ある特徴がある。

ドビュッシーの曲が使われていることである。第1話、第2話ともにドビュッシーの曲が使われていた。しかも第1話の冒頭から。大役を任ぜられている。

ドビュッシーの曲がアニメになんともノスタルジックな雰囲気をもたらしている。とても良い。こんな青春を味わった経験はないのだが、懐かしくなってしまうのは何なんだ。マンデラ効果か?

私の記憶に残っているドビュッシーの曲を用いた作品は『ときめきメモリアル2』くらいしかない。なぜか幼少期編の昼のBGMに使われていたような気がする。

第2話で使用されていた曲は『亜麻色の髪の乙女』だった。

そういえば、すぎやまこういちも似た名前の曲作ってたな~と考えること数分、思い出せなくて調べたら同名の曲だった。やば。叙述トリックである。

『スーパーカブ』に使用されていたのはドビュッシーの前奏曲第一巻の8曲目のほうの『亜麻色の髪の乙女』である。プライムビデオでは10分56秒あたりから12分23秒あたりまでで耳にすることができる。

この12分23秒には第2話のサブタイトルが表示される。スーパーインポーズではない。白地バックにタイトルだけが表示されるのだ。

再現画像はこんな感じ。シンプルでつくりやすい。

サブタイトル名はカブ仲間の女子の名前である。ここで初めて名前を提示することで、より鮮烈な印象を視聴者に与えている。そして、主人公のセリフの代わりになる役目を果たしている。非常に良い。

第1話ではそのような演出は入らなかった(はず)なので、インパクトが強い。

ただ残念なことにプライムビデオでは先にサブタイトルが表示されてしまっている。きっと完全な初見のほうが楽しめただろう。テレビでリアルタイムで視聴したかったという気持ちが久しぶりに湧いた。

さて、10分56秒から奏でられる『亜麻色の髪の乙女』はクレッシェンドを経て徐々に盛り上がりを見せる。そして、12分23秒。サブタイトル表示時に頂点のmf(やや強くの意)へと到達し、コードで言うところのBが奏でられると、音が減衰して曲は終わり、場面が転換する。

個人的に第2話の最大の見どころはここである。

ちなみに『亜麻色の髪の乙女』の原曲はここでは終わらない。このクライマックスは一時的なもので、すぐに下降が始まる。楽譜をみてみると、この頂点に達してから緩やかに下降していくところまでがワンセットなように感じられる。専門的な勉強は全くしていないので違っていたらすみません。

そのために、『スーパーカブ』がクライマックス地点で『亜麻色の髪の乙女』を打ち切ったことに対する違和感があった。体は下降することを求めている。その違和感、ある種の気持ち悪さは画面を二度見させることを強要する。二度見をしたタイミングでのサブタイトル表示である。画面にくぎ付け状態だ。

『亜麻色の髪の乙女』のこの効果は共感者がいない可能性がある。

それを差し引いてもこのサブタイトル表示までの構成は秀逸であるといえる。

アニメを通して全編がドビュッシーまみれということではない。ほんの1,2分でしか用いられることはない。ただ、そのわずか数分が効果的にこのアニメに良い影響を与えている。

今のところエモさのお手本のような作品で、流し見するというよりはじっくり鑑賞したいという気持ちにさせられる。

肝心なストーリーというかスーパーカブについては恥ずかしながら実物を見たことがないので、よくわからない。非常に申し訳ない。

それでも『スーパーカブ』をただのスーパーカブ好き専用のアニメではなく、私のような地獄に落ちるべき厚顔無恥ど素人にも興味をもてるような仕上がりになっているのがすごい。現代っ子なので称賛の言葉は「すごい」「やばい」の2つしかもっていない。褒めなれていない。

今後どのようなドビュッシーの曲がどのような場面で用いられていくのか。

そういった面でアニメに注目するのも楽しみの一つである。

私の最も好きなドビュッシーの曲は小組曲である。どこかで採用されないだろうか…。

亜麻色亜麻色と狂ったようにたくさん言ってきたが、礼子の髪色は黒かった。

まあ高校生だしね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?