BT(Stutter Edit 2)ウェビナーメモ
このメモを書いた経緯
iZotope社よりStutter Edit 2というプラグインが発売されました。(平たく言うと音楽制作のためのツールの一種です)
開発者でありクリエイターBTの初の日本向けウェビナーが2020/6/27(土)に行われました。しかもゲストは浅倉大介氏。
その名も――
「Synth Wizard Method The next generation sounds from “BT”」
私は残念ながら当日見逃してしまった上、アーカイブ予定もないとのことで
視聴を諦めていました。
しかし、7/5(日)に再放送が決定し無事見ることができました。
貴重な機会だったので、メモを取りつつ見ていました。
今回そのメモと記憶を紐づけて補完しつつ、備忘録のような形で書き残そうと思います。(英語がわからない為、間違いもあるかもしれません。)
私はDTMについてそれほど詳しくない人間なので、技術的な話やこの
プラグインについての説明は、公式サイトを調べていただきたいと
思います。
専門的なお話というよりもBT・浅倉両氏のファンとして一種のライブレポを
残した――みたいな記事となります。
ウェビナーを見たかったけど見逃した人や、BT・浅倉大介氏(access)の
ファン。はたまた麻枝准さんのファンがここに辿り着き、こんな配信が
あったのかと読んで役立てていただければと思います。
お二方のざっくりとした私的説明(正しくはWikiで)
BT(ブライアン・トランソー)
通称『BT、Synth Wizard(シンセサイザーの魔法使い)』
アメリカ出身の音楽アーティスト。ジャンルはダンスミュージック系様々。
アーティスト活動の他、映画音楽も多数手がける。
ゲームクリエイター麻枝准に大きな影響を与えた一人。
麻枝氏が入り口となってBT「Flaming June」を知った鍵っ子も多いと推測します。私もそのクチです。
浅倉大介
通称『DA、大ちゃん』
accessのキーボード担当、作曲家、T.M.Revolutionのプロデューサー、
TMNのサポートメンバーとして知られる。
the end of genesis T.M.R. evolution turbo type D『Suite Season』は
色褪せない名盤。
小室哲哉との師弟ユニット『pandora』も素晴らしかった。
屈指のキーボードプレーヤーであり、シンセサイザーマニアのイメージ。
日本のシンセサイザーの魔術師の一人ですよね。
BTインタビューパート
饒舌に語るBTを翻訳して伝えてくれたのをさらにメモっているので正確かどうかは担保できません・・・
技術者特有の専門分野を饒舌に語る一種の技術オタクみたいな印象でした。初めてそのようなBTの姿を見たので、BTをより好きになりました。
スタッターの原点
10代の頃、BTはテープエンジニアのバイトをしていた。
当時のテープの編集作業とは文字通りテープを切り貼りするものだった。
ある時、テープを細かく刻んで貼り直したら、とても面白い音が生まれた。
これがスタッターの原点だった。
自らプログラミング
初めて買ったコンピュータはIBM機、サンプラーはAKAI S900。
BASIC(←うまく聞き取れなかった為、不確か)Fortran等を独学で勉強し、
プログラミングを始める。
バークリー音楽院で学び、自分で本格的にプログラムを作るようになった。
映画音楽を専攻し、その後プロの音楽家になった。
映画『ワイルドスピード』を手掛けている頃、Stutter Editのプロトタイプのようなもののプログラミングをしていた。
Stutter Editの誕生
MITにメンターがいた。
そのメンターに師事していた共通のメンティに、(このスタッターを生成するプログラムの)製品化を勧められた。
※メンターとメンティは師匠と弟子のようなイメージ
実際にリリースすると、ダンスミュージック方面のみならず、映画の効果等多岐にわたる領域で使われた。
そんな自身の想像を超えた使われ方にBTは驚き感激した。
(例)スターウォーズの効果音、テイラー・スウィフトのアルバムなど。
Stutter Edit2について
最近の音にマッチするようアップデート。
簡単な操作でこれまでにない音を作れる。
AUTOモードを追加。
マスターバスにさすだけで劇的に音を変えられるプラグインである。
BTおススメなのはプリセット「The Best of」をもとに試すという使い方。
テイラー・スウィフトやリチャード・フォータスからのリクエストでライブで使えるよう、フリーズ機能(一つの操作でON/OFF切替)を取り入れた。
これによりライブ中にスタッター効果を入れたり外したりが自在にできるようになった。
浅倉大介氏ゲスト(リモート出演)
ここからはゲストパート。
日本のSynth Wizard 浅倉大介氏がリモート出演する。
BTと浅倉大介
BTはaccessを知っていた。
(浅倉氏が)素晴らしい作品を作っていることをBTは知っていて、好きとのことだった。
浅倉氏がiZotope製品を使う理由
・AIを積極的に使っているので、クリエイティブな作業に集中できる。
リミックスを試行錯誤する中でStutter Edit1に出会い、使った。
(使用楽曲例)
2013年access/JOY TRAIN
2014年access/Be Nude(リミックス)
このプラグインは、エンジニアでなくクリエイターが作っているので、同じクリエイターとしてとても使いやすく設計されている。
Stutter Edit2ダイスケ的良い点
・AUTOモードが便利。一番最初にBTさんに感謝したい
【BT】
「自身でAUTOモードを使ってる。ほかのクリエイティブな作業に時間を割いて欲しい」(浅倉氏と思想が合致しているとのこと)
・UIもファッションと同じで変わる
・Curve Editorによって編集がとても簡単になった。これもBTに感謝したい。
意気投合する二人(会話形式)
※ここからのやりとりは、会話形式で記します。
内容も完全に覚えているわけではなかったり、BT、浅倉氏のそれぞれの口調も勝手なイメージなので、正確なものではなく参考程度だと思って読んでください。
【浅倉大介氏(以下、浅倉)】
「BTのインスタ見てるといつもスタジオにいっぱいシンセが映ってて凄いなぁって思うんだけど、いちばんお気に入りのシンセはなんですか?」
BTは頭を抱え、う~んと困ったような表情で考えてしまった。
【BT】
「Roland Jupiter-8――とはいえ選びがたい。『(あなたのペットの中で)どのペットがいちばん好きですか』と聞かれるくらい難しい質問ですね。
温かみのあるアナログの絶頂期の音だと思う」
【浅倉】
「デザイン含め音もバランスがいいですよね」
【BT】
「Prophet-5、OB-Xも・・・」(←確実には聞き取れなかったです。OB-8かもしれません)
本当に苦渋の選択といった様子だった。
【浅倉】
「世代が近いからフェイバリットシンセも重なるんですよね。なんかずっと語り合えそうだね」
【BT】
「(浅倉氏のスタジオに映っている)そのMOOG ONEが羨ましいよ」
浅倉氏は、カメラに(つまりBTに)向けて可動式の机ごとMOOG ONEを引き寄せて見せた。
【BT】
「Wow!?その机動くのかよ!?」
興奮した様子のBTとそれをみてほほ笑む浅倉氏とのやりとりは、このふたりがシンセサイザーを深く愛しているのだという象徴的なシーンだった。
【浅倉】
「僕の初めて買ったサンプラーもAKAIのS900、BTと同じ。作ったライブラリは今でもすべて保存していますね」
【BT】
「それは早く実際に会ってお話ししたいです。ぜひうちに招待したい」
――Youtubeコメントからはふたりで音楽制作して欲しいという要望が。
【BT】
「ふたりで一緒に曲作りは絶対にやりましょう」
【浅倉】
「いまはこうやってネットで作れますしね」
【BT】
「確かに。ただうちの家のネットが遅い。結構な田舎に住んでいるので、
木の上にアンテナがあってその回線の調子によります・・・仕事でも
データの転送が遅いといわれる」
実はこの日のウェビナーもBTの動画がよくフリーズしていた。理由は通信環境の問題だったのだ。
【BT】
「ウェビナーが終わったあとに、ぜひやりましょう。私はaccessや浅倉さんの作品を素晴らしいと思ってます」
――浅倉氏からStutter Editについて要望
【浅倉】
「僕はキーボーディストでもあるのでステージ上でパフォーマンスする機会も多いんだけど、Stutter Editの機能がハードウェアシンセにも組み込まれて欲しいなぁと思いました」
【BT】
「素晴らしい。私たちの考えは合致しています。(意味深な表情で)一年後くらいにまたお話ししましょう」
本当に考え方が似ている二人だなと感じた。
――Youtubeコメントから質問「Curve Editorのおススメの使い方」
【BT】
「プリセットを試してほしい。私もかなり作りました」
【浅倉】
「とにかく細かいところまで数値で入力できるから便利ですね。ただ、これから使う人に向けてのアドバイスは、細かすぎでわからなくなったときは一つずつ、(エフェクトを)オフにして使っていって、試しながらどういう音になるのか探っていくといいですね」
【BT】
「素晴らしいアドバイスです」
――Youtubeコメントから質問
「二人が音楽活動を始めるとしたらユニットネームは?」
【BT】
「このウェビナー終了後にふたりで話し合って決めます」
【浅倉】
「ふたりイニシャルで呼ばれること多いですよね~。(BTとは)音楽や技術のお話、したいね~」(ニコリ)
確かにBTはブライアン・トランソーのイニシャルだし、浅倉大介氏はDAと呼ばれている。
浅倉氏の愛犬ベルカちゃん起きる。
YOUTBEコメントも最後はベルカちゃんがすべて持っていった。
最後にBTから日本のファンへメッセージ
――知っておいてほしいのは私が、日本のこと、日本のファンのことが好きだということです。
安全で、健康でいてください。この自粛が明けて感染症が落ち着いたら、
皆さんとお会いしたい。
そして原宿のFive Gというシンセショップが世界一好きなので、また行きたいです。(笑)
浅倉大介氏メッセージ
――このStutter Edit2で魔法使いになれる。BTの魔法を是非手に入れてみて
ください。
皆さん、引き続き健康にもお気をつけて。
まとめ(私の感想)
メモ書きと私の記憶は以上となります。ここからは私の感想です。
BTのウィキペディアはそれこそ麻枝氏の影響で読んでいたのでStutter Editの
ことは知っていました。
しかし、こういったプラグインソフトはメチャクチャ高価であったり、実際
買っても使いこなせなかったり、縁遠いものだと思っていました。
今回Stutter Edit2のサイトで価格を調べると2万円前後ということがわかり、想像より遥かに安くてびっくりしました。BTの魔法が2万円は安い!
操作も簡単とありますがそこは個人個人の感じ方でしょうね。
YoutubeでiZotope公式がアップしてる宣伝動画見てる限りはシンプルそうですけど。
DTMに明るくなくて買おうか考えている人は試用版使ってみて、いけそうか確かめて購入検討をすることをお勧めします。
私のイメージだと浅倉大介氏は作曲家でありシンセサイザー技術者でもあったので、BTとは共通点があると思いました。
いざ対談のフタを開けたらすごく意気投合していて、「シンセサイザー好き少年二人」の言語を超えた語り合いがとっても温かかったです。
それにしても対談中に話題に上がっていたBTとDAのコラボ、本当に実現したらいいなぁ。
今から非常に楽しみです。
最後に、この貴重なウェビナーを開催、そして再放送してくれたiZotope社・
BT氏・浅倉大介氏に深く感謝いたします。
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