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PCの前で泣いてた弱小レイヤーが、マルシルに救われるまで。

これはコミケの2週間前、7月30日の私のサブアカウントでのツイート。

この数日前に撮影してもらったマルシルの写真がたくさん届いたので、1枚1枚確認していた時のこと。どのお写真も素敵だったんだけど、この写真の時になんとなく手が止まって、気づいたら年甲斐もなくPCの前で号泣してた。

そのとき私のサブアカウントに、思うままに書いたのが「いい写真だ、マルシルだ、マルシルがいるよ、受け入れられたい」だった。

自分でも気づいていなかった本音がぽろっと出てくることってたまにあるけど、これも完全にそうで。私はこの言葉の根底にあるものを探らなければならなかった。自分の言葉だっていうのに、まったく!

「似合う」と「好き」で悩んだ半年間だった

この写真は見た瞬間に「おーいライオス〜!」って聞こえてくるような、そんな感じがした。自分が被写体であることも忘れ「わっ、マルシルがいる!」って思った。

「自分に似合うコスプレ」を最近はよく考えていて、その軸で言えばマルシルは私に似合わないキャラクターだった。もう少し男性的か、あるいは黒々とした目元が特徴的なお姉さんキャラが似合うと思っていた。それで手放した衣装もあった。

だからマルシルの服は、ずっと購入を悩んでいた。でも「着たければ着るだけ着れば?」と思って、思いきって購入した。着たら、やっぱり撮ってほしくなってしまって、自信はないけど思い出になればと思ってお願いした撮影だった。

そんな後ろ向きな撮影だったのに、あがってきた写真が大変に良くてまずは感激したし、驚いたのだ。「好きは、似合うを超えるのかも」って。

そして思った。「諦めなくてよかった」って。それで私はあんな言葉を漏らしたのだ。

「そのままでマルシルだ」って、実は私も思ってた。笑

理由はもう一つある。

コスプレの写真って少し特徴的で、加工も含めて作品が完成するという文化(?)がある。

できあがった写真をよりキャラクターに近づけるために、目を大きくしたり、顎を小さくしたり、肌をつるつるにしたり。そりゃあそうだ。だって普段は髪型もお洋服も自分の顔型や体型に合ったものを選ぶのに、キャラをやるためにはそんなの関係なしに着なきゃいけないんだから、不自然な部分は直さないと「こんなのキャラじゃない🥲」となってしまう。だから直す作業は重要だし必要不可欠だ。

でも、私はその作業が、すごく苦痛だったということにこの時気づいた。
だって自分の顔を否定する作業なんですもの。ビフォーアフターを比較しながら加工するけど、ビフォーを見ると「誰これきっつ」ってなる。でもそれ、私なんよ。

しかもその過程で、顔に元々落ちていた微細な陰影も失われる。カメラマンさんが考えてくれたライティングをも否定するようで、それも辛かった。

でも基本的に伸びているのは、そうしてつるつるに加工した、完璧な状態の写真。2次元のイラストと3次元の写真の間のような、「2.5次元のイラスト写真」とでも言おうか。

そういうものがウケる、その事実も辛かった。ものすごく加工をして、もはや「誰?」みたいな写真にたくさんいいねがつくと、胸が苦しくなった。「私なんていらないじゃん」って。「みんな写真きらいなの?イラストじゃなきゃ好きになってもらえないの?」って。

でも、このマルシルの写真は違った。
開いた瞬間、そこにマルシルはいた。

私の素顔の良さも、カメラマンさんの腕もすべてこのまま肯定できる、そんな写真が初めてあがってきた。

コスプレを始めて1年、ようやくそんな写真を残せたことがとてつもなく嬉しかった。

10分くらいでこの整理がついた。悪い涙じゃなかった。でもPCの画面に反射した私の顔は、決してこのままで受け入れられるほど美しくなかった。

それでも私は、マルシルが好きだった。マルシルの笑顔を思い浮かべると、笑顔になれた。そんなマルシルを、そんな気持ちをたくさんの人に知って欲しくて、「才女顔(笑)」を鏡の前で練習して、コミケに行った。

そしてこのマルシル祭である

…このバズは、私があの写真を見て得た感想が間違いじゃなかったんだって、答え合わせのように感じている。

「鹿乃さんのマルシルマジただのマルシル」って言葉がとても嬉しい。つるつるじゃない、ちっともかわいくないシワッシワの顔した私が、マルシルっぽかったってことでしょう。

「この写真見て、ダンジョン飯買いました」と何人かの方が言ってくれた。「マルシルって知らんけど、すごく魅力的なキャラクターがいるんだな、観よう」って私を見て思ってくれたんでしょう。

「ダンジョン飯、もう1度観たくなりました」は、「マルシルのあの表情の豊かさがまた見たいな」って、私を見てあのマルシルを思い出してくれたんでしょう!

「何人かマルシルさんには会いました。でも、今日はあなたです」は、私の表情の豊かさが面白くて、マルシルのようだと思ってくれたんでしょう!

つまり私を見て「あ、マルシルだ、マルシルがいるよ」って思ってくれたんでしょう。あの時の私と同じように。

受け入れられたね、私、よかったね。ありがとうマルシル。

しかしバズったのは、私ではないのだ

その一方で、このバズは「コミケ」「ネタレイヤー」という要素ありきだってのも理解してる。そしてこれは束の間の祭だってこともね。

「マルシル」のトレンド入り、たっくさんのファンアート、ダンジョン飯アニメ公式の才女ポスト、そして会えずじまいだったもみじ真魚さんからのコメント。嬉しいことが多い数日だった。本当にありがとうございました。

まだ1日くらいは面白いことが続くかな…?その間、自惚れず驕らず、大切にこのお祭りを噛み締めたいと思っています。

そして「学校はじまって」のビリーナイスガイさん、「以来の才女」のどるやんさんのお二人はもちろん、一緒に写真を撮らせてくれた方々、本当にありがとう。あなたたちがいたから、こんなに見てもらえたの、私のマルシル!現時点で総いいね数は37万。ありがとうみなさん、ありがとうコミケ。

最後に。今回の夏コミで委託を受けていた、大好きな作家のおなやれおさんが「なんだかこの状況が本当に嬉しく"鹿乃つの"さんのファンアートを描かせていただきました」と贈ってくれた、最高に素敵な1枚を。

最後まで読んでくれてありがとう🌱

最後の最後に

カメラマンさん紹介を。あのおーいライオスな写真を撮ってくれたスライムコーポレーションの美津雄さん、ありがとうございました。スタジオ&データ代込み込みで、異次元の金額で撮影してくださります。元々海洋堂やJRとお仕事をしていた大ベテランさんだけど、写真以外の全て(営業活動とか宣伝とか)に無頓着な、でも私のわがままをなんでも叶えてくれる優しい方です。ぜひ素敵な写真を撮ってもらってください。

では、またどこかで。

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